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「誰、だ」
目の前に現れた男に匡二は警戒した
男はゆっくりとこちらに向かって来る。じり、と後退りしてしまう
「あぁ、警戒しなくても良いよ?俺はアンタを舞台に上げる為此処に来た。石動匡二、異なる世界の守り人、俺は四国の異能の一族―――――、一夜と言う。姉からアンタは手紙を貰った事が有る筈だ」
手紙?と思い出してみる
四国、手紙…
「姉は、四月と言うんだ」
「あぁ…!!あの手紙…!!あの手紙の主を姉、と言う事は…」
「おとーと。まぁそれは置いておいて」
一夜は、匡二の前に立った
そして匡二の頭を掴んだ
「なにす…!!」
「目ぇ、ほぼ見えないんだろう?形がぼんやりと見えるだけ。あんたは、この舞台に上がらないといけない。その為に俺は来たんだ」
さぁ、
と一夜は手を差し出した
匡二は頭に?を浮かべる
「言っただろ?俺は異能の一族、アンタが望む願いを一つ叶えてやる」
「――――」
願いは
「 」
「…承知した」
――――――――――――
「結構、良い体してるネェチャンじゃねぇーか。どうだい?戦いなんかじゃなく、俺と一晩ヤり合うってのは」
「下衆の言う様な言葉を並べるのですね。まぁ、私は、貴方の様な気品の欠片も無い殿方と交わるつもりはありませんけどっっ!!」
ジャキンッ!!
女は銃の引き金を引く
銃を撃っているとは思えない程軽快な動き
元親は打ち込まれる前に走り、弾を避ける
打ち込まれた場所には弾丸がのめり込んでいた
銃口からは硝煙もあがる
(狙いは正確だ…)
彼女が撃った場所は、本来元親がそこに立っていれば急所となる様な場所ばかり
それを元親は躱していた訳だが、彼女が本気で撃ったのか威嚇で撃ったのか遊びで撃ったのかで《躱す》意味合いは変わってくる
本気なら、まずなんなく勝てると自信が持てる
しかし遊びだったり威嚇だったならば、それは実力以下で行われた事となり―――――――怪我は免れない
(とんでもねぇ隠し玉じゃねぇか!!)
――――――――――――
じり、と足を横にずらして間合いを取る
小十郎も政宗も目の前の釉に対して本気を見せていた
先に動いたのは釉だった
周りにいる伊達の兵士の足を、次々銃で撃ち抜く
ぐぁ!、等苦しみの声が政宗達を取り囲む
政宗と小十郎と釉以外、そこに立っている兵士はいない
「まずは、邪魔もの排除」
弾丸に弾を込める釉
その隙に斬りこもうと、政宗は刀を持つ手に力を込める
そして、釉に斬りかかった!!
「なっ!!」
一撃が入る!と思って刀を振った瞬間、そこから釉が消えた
塵埃のみがあとに残っているだけだ
「チッ!何処に消えた!!」
釉は、先程まで居た場所からほんの数メートル離れた所に立っていた
「銃で戦うのは、ちぃとキツいんじゃないかっ!!」
釉に対し今度は小十郎が斬りかかる!雷の気を帯びた斬撃を釉は銃で受け止めた
(こいつ見掛けによらず力があるじゃねぇか…!!)
小十郎との押し合いで、押し負かされる様子は無い
寧ろ、力比べはほぼ互角といった所だろう
じりじりと押し合いは続く
しかし、釉は一度強く押すと、後ろへ飛び退いた
後方へバック転をし、再び構えた
しかしそこへ間髪無く政宗の攻撃が入る!!
釉はそれを躱し、政宗の左側へと回し蹴りを入れる。政宗は、左腕でそれを止めると、釉の腹目掛けて横薙に刀を震う!!
「ぐっ…!!」
急所は免れたが、腹に一文字の傷が走った
「Blood…」
ぬるりとする自分の腹部
衣服も破れ、そこからは釉の肌が見えた
幾つか深い傷のついた肌だ
「邪魔」
釉はビリビリと衣服を破き出した
何してるんだ!今は戦い中だぞ!と思うが、服の下から現れたものに二人は目を丸くする
あれは、
「…………………………………………………………girl?」
「あの膨らみは…女子でしょうな」
サラシを巻いた胸に小さいながら山を見た
「Boyじゃなかったのか…!!」
パァンッ!
政宗の足元近くに銃弾がめり込んだ
「死んで」
パァンッ!パァンッ
政宗をしつこく襲っている攻撃に、小十郎は政宗の前へ飛び出して銃弾を防ぐ
そして政宗は銃弾を躱し、釉へ近付く
「ha!背中ガラ空きだぜっ」
後ろへ回り込んだ政宗は、こちらを向く釉より速く刀を振り下ろした
背中に一本の筋が走る
パァンッ、と一つの銃声が音を奏でたあと、釉の身体は地面へと倒れた
溢れ出る血
傷が深ければ致命傷になるだろう
うう、と呻き声を上げて釉は起き上がろうと土を握る
けれども、背中の痛みはそうさせない
近付いて来た小十郎に銃を取り上げられた
「かえし…て」
「返したらまた攻撃されかねない。そいつは却下だ」
「うう……!」
どくん、どくん
痛い、痛い痛い痛い痛い痛い!!
熱い、熱い熱い熱い熱い熱い!!
「取り敢えず、こいつは放っておきますか?」
「いや、手当てして縛っておけ。色々聞き出したい事が有るからな」
「はっ」
「…Don't touch me!!」
痛みが支配する身体からふり絞り出した声
「敵に…捕まるくらいなら……!!」
ひゅっ、と風が彼女を包み彼女の姿が消えた
しかしそれは一瞬で、どさりと、先程までいた場所から10メートル離れた場所に彼女は倒れていた
「おいおい、死にてぇのか?」
「わたしは、死なない…」
「あ?んな訳ねぇよ。手当てしねぇでこのまま放っておいたら、血が足りなくなって死ぬぞ」
「なら、試してみればいい…!!腕を斬り落とされても、首を斬られても、血を失っても、わたしは…」
と言った所で、釉は気を失った
失血し、貧血にでもなったのだろうか
政宗は、倒れる釉に近付いて、釉の背中を鞘でつつく
「こんだけ出血しときながら死なねぇ訳が無いだろ。小十郎!手当てして、縛りつけて置け!!」
―――――――――――
「くっ!!」
幸村は防戦一方で押されていた
幸村を襲った少年は、物陰に隠れながら、攻撃を止める事無く撃ち続けている
いくら幸村といえど小さな弾を防ぐ事には限界があり、何か所も既に銃弾が霞めたりしていた
(このような時佐助が居てくれたら…)
ハッとして先程の気持ちを振り払う様に頭を左右に振った
佐助はここには居ない
いつも戦場で、陰ながら幸村を守り戦っている佐助は居ない
自分一人だ
あの様な少年一人倒せなくて、御館様の天下統一の手伝いなんてできる筈が無い
槍をぎゅうっと握ると幸村は前へと走り出した
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
突進してくる幸村に少年は顔色変えず、打ち込む
弾がきれたその少しの隙に、幸村は襲いかかった!!
「うわっ」
振り下ろされた槍は地面にめり込んだ
少年は間一髪、そこから退く
「こ、これだから熱血馬鹿は嫌いなんだ!何するか分からねぇ!!師団長の判断にイチャモンつける気は無いけど、俺は護衛がよかった―――!!」
「お主…豊臣のものか?」
「あ?豊臣じゃねぇーよ。俺は、あのゴリラに仕えてるつもりはこれぽっちも無いね」
銃を肩で、トントンと叩く
「俺が仕えてるのは、師団長ただ一人さ」
「豊臣のものではない、ならば何故この戦に介入するのだ!!」
はぁと少年は溜め息を付いた
「俺が仕えてる人が、そうしろと言ったから」
もういいか?と少年は二つの銃を持ち構えた
「させぬっ!」
幸村は炎を纏った槍を振るう
「うわぁ、熱い。あっついのは、人格だけにしとけよなっ!」
幸村の腹に一撃をお見舞いした
が、幸村は槍を地面に立てて前方へと空中一回転し躱した
後ろ手に槍を持ち、少年へ再び突進する!!
ギィンッ
ギンッギンッギンッ
「ちょ、うわっ!!力技止めろって!!」
幸村の槍での攻撃を一つ一つ銃で受け止める
「こンの馬鹿力っ!!」
ガッ、と槍を受け止めていた二つの銃から手を離した
「なっ…!!」
受け止める力が消えた事により、幸村の槍と彼の銃は地面に沈む
「俺の本領はこっち」
そう言って懐から出したものは、絃だった
「死神の部隊っていうとさ、銃使いっつー感じなんだけど、俺にはこっちの方が性にあっててね」
両の手に絃を巻く
そして幸村目掛けて突進して来た!!!
幸村は槍を構えて、どう来るか分からない攻撃に備える
「ばーか」
彼は、幸村に攻撃してこなかった
幸村の直ぐ背後に抜けた彼は、その指に絡んだ絃をクイッと引いた
「…!!」
引いた次の瞬間、幸村の二槍の矛先が地面に音を立てて落ちたのだ!!
そしていつの間にか地面から消えている、彼の銃
それが彼の手元に今、あった
「すこーし、眠ってくれよ」
一つの銃声が、戦場に鳴った
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