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気がつけば、そこは見慣れた室内だった
何故、と思った
先程まで外に居たはずなのに
ぎゅうっと心に締め付けられる様な痛みが襲う
慶次のあの言葉は、全てを崩してしまいそうな言葉だった
「っ」
「凪」
前屈みに胸を押さえて居ると、兄の声が外からした
「頼から聴いた。交渉は決裂、もう無駄だ。お前は黙ってそこでアイツらが力尽きるのを見てろ」
「まっ―――――」
「チャンスは与えた筈だ。もうお前に出来る事は無い。いいな」
そう言うと北斗は去っていった
そして、戸を開ければ戸の端の柱に兄の部下が二人立って居た
「…貴方が、ここに?」
「…………」
無言の頼
しかし彼は頷いて凪の問いに答えた
何を話していいか分からないので、凪は室内に戻った
しかし一人だと考え事をしてしまう
自分は間違っていたのかと
でも
だって
(心、)
もう、わからない
■■■■■■■■
橋を渡りきり、城の中へと入り込むと弓矢の雨が三人を襲う
それぞれが、それを難なく交わしたり防ぐ
しばらく進むと辺りが多少静かになった
室内は血で汚れ、辺りには屍体が転がっている
死者特有の嫌な気配を放つそれらを一瞥すると、佐助は走る二人を止めた
「恐らくこの先には、さっきの連中や死神、竹中半兵衛に豊臣秀吉がいる。何処でどう当たるかは分からないから、取り敢えず、このまま進「進まなくても、ここで防ぐぜ」
佐助の声を遮り、聞こえた声
三人は辺りを見る。何処だ、何処から聞こえた
「成実っ!右に避けろっ」
慶次は成実へ避ける様に言った
え、と思い右へ何かを避けたが、その瞬間左頬に何かが霞めた
ぬるり、と頬を伝う血
それを左手で触ると、攻撃されたと理解する
再び臨戦体勢になる三人
そこに、彼らはやって来た
「なー、イイのかよ。師団長は、ごえーしてろって言ったのに」
「これも護衛の一つ。攻撃は最大の防御、ここで塞ぎきれば問題は無い。それにアイツらばかりに任せられるか」
三人の前に現れたのは、先程凪についていた二人の人物
「ぢゃあ、本気だしちゃおーかな」
「ほどほどにな、颯」
ジャキンッ!
銃が向けられた
白銀の、銃
黒鋼の、銃
「さぁ、血の宴をはじめようぜっ!!」
…―同時刻、政宗・小十郎―…
ギィン、と刃の重なり合う音
小競り合いの後、政宗の方が力で勝ち相手を押す
パチパチと雷の気を纏い、獰猛な笑みで敵を次々倒して行く
「ha!手応え無さスギだぜ!!」
頬に敵の返り血を付けたまま、独眼竜は疲れる様子を見せない
雷の咆哮は、鳴り止まない
敵兵が少なくなって気を緩めた時だった
・・
小十郎はそれに気付いて、政宗の前に出た
パァ…ンッ
「ぐっ…!!」
「!?、小十郎っ!?」
間一髪、だった
銃弾は小十郎の右肩に当たり、そこからは血が流れ出ていた
右肩を押さえた小十郎は、銃弾が放たれた方を向いた
「…I took it off…」
(訳)(…外した…)
戦場独特の気配の間から、そこら辺にいる兵士と違う雰囲気を持つ人物が現れた
灰色の髪
青の瞳
白磁器の様な肌
その手には白の紐がついた銀の銃が握られている
小十郎の肩に、いや、自分を狙ったのはこいつだと一瞬で理解出来た
「次は、外さない」
ジャキンッ、と銃を構えた
「Shit!ナメられたもんだな…!!たかだか銃一つ…」
「釉…、行きます…!!」
二人は、目の前に現れた刺客に殺意向きだしにした
釉は、銃の白い紐を風に靡かせ、任せられた事を成し遂げようと相手を睨んだ
…―同時刻真田幸村―…
「どけどけぇぇえええっ!!」
暑苦しい程の気迫で敵を薙ぎ倒す幸村
覇気を持って敵を倒している様なもので、一部の敵兵は戦意喪失して逃げてしまった
「うむ、このままだったら佐助の元にも行けそうだな!!」
そんな幸村に、一撃が襲った
銃だ。それを察し、上空へ飛び上がり避けた幸村
上から撃った人物が見えた
着地すると、幸村は二槍を構える
「虎の若子か…、こんな暑苦しいの相手…。外れじゃないか!!」
「お主は…」
幸村と対峙している人物
少年の様に見える
身の丈は幸村の肩ぐらいだろうか
ホルスターから少年はもう一つ銃を取り出した
「くたばりやがれこのヤロー!!」
…―同時刻長曽我部元親―…
「オラァッ!どうしたッ!!豊臣の力ってのはこんなもんなのかいッ」
長曽我部家御自慢の絡繰り兵器を駆使しつつ、長曽我部軍は進軍していた
その大将でもある、元親は先陣の先陣をひたすら走っていた
敵を引きつけられるだけ引きつけ、蹴散らす
それが元親に出された策だった
(――ま、仕方無ぇな)
彼は自分が何故そう言う役割になったかを知っている
それを知らなければ、こんな所からさっさと移動して、お宝奪いに城へ攻め入っている
「うわぁああ!!!」
自軍の右翼から悲鳴が上がる
何事だ!とそちらを見ると、次々に野郎共が倒れていくではないか!!
元親は直ぐさまそちらに体を向けて走り出す
「くそっ!新手かよ!!」
行き着くと、そこには燃える様な赤い紅い色の髪を持った女がいた
「まぁ、情けない事ですの。西海の鬼の駒ならば、もう少し手応えが有りませんとつまらないですの」
ジャキ…ッ
その手には、銃がある
「貴方が西海の鬼ですの?西海の鬼でしたら、是非此処で――――――死んでいただけます??」
…―同時刻、某場所―…
木の上から戦を眺める人物がいた
左右に結った髪の先を風に靡かせて、何をする訳でも無く、ただ戦いを見ていた
(お前は…)
不意にある人物の言葉が脳裏を過ぎる
行くんだ。行かなければ、何のために此処まで来たのか分からない
ふ、と下を見ると
・・・
ざわり、と何かが疼いた
あれ、は
…―同時刻、某場所―…
彼はぼんやりとだけ見える視界を頼りに、石階段を降りていた
手には、世話になった刀匠から譲り受けた一つの刀
ゆっくりゆっくりと歩き、それを止める事は無い
耳に届く合戦の音。戦いは始まった。ならば、行かなくてはいけない
彼女が自分の身を案じてくれているのは分かるが、それは本意では無い
どんな時も
「守り ます」
「――――――貴方が」
ふ、とぼやける視界に入ったのは、誰かの姿
声色からするに男だと察する
「貴方が、匡二か?」
その一言に
匡二は、刀に手を掛けた
役者は揃った
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