4
あなたの名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
信じていた
だからこそ、君に
「これは?」
「あちらの世界の武器だ」
北斗が何やら新しい武器を手入れしていたので、聞いてみればそう答えられた
鈍く黒光りするそれは、銃だった
「それは見たことが無いね」
「当たり前だ。最近こっちに持ってきたんだからな」
「そうか」
時折彼は城から姿を消す
それは、隠れ里に武器の製造・弾丸の製造の様子を見るためだったり、彼の目的を果たすための偵察だったりと様々だったが、時折こうして新しい武器を手にして帰ってくる
それを一度分解してまた組み立てて構造を半紙に書き込み、それを製造に生かすらしい
「君はとことん不思議だね。世界を行ったり来たり。君自身、異能の持ち主なんじゃないのかい?」
北斗の作業の手が止まった
暫く無言の友を不思議に思った半兵衛は、彼の肩を叩いた
「北斗?」
「······異能が生まれつき有ったならこんなに苦労なんかするか」
「北斗…?」
半兵衛がききとれない位小さな声で、北斗はつぶやく。北斗は、はぁ、とため息を吐いて
「半兵衛には教えようか。だれにも、言うなよ」
といった
それは普通なら考えない事、してはいけない、事
半兵衛は漏らされた言葉に動揺を隠せなかった
「正気かい…!?医者の癖にそんなのを受け入れるなんて…!!」
「俺にはそれしか無いからな。それに今の俺があるのは、凪が居たからだ。真実は、未来は、どうであれ、凪を助けたいが為に俺達は頑張ってきた。今の俺を形作ったのは間違なく、凪なんだから、凪を助ける為に提示された力なら、それに準ずる程のモノを掛けなければ」
「それを、誰か他に知ってる人間は?」
「他人には初めて話したんだぞ?この話」
クスクスと笑う北斗
「いいんだ。それにその恩恵で、お前だって助かったんだから、悪い契約内容じゃないだろ??」
「確かにそうかもしれないが、君は…君は…!」
コレ
「他人が契約に干渉できる問題じゃない。俺がそうしたかったから、そうしただけだ。内緒だぞ」
北斗は自分が思った以上に、重りを背負っている
妹が妹なら兄も兄で
頑固と言うか、芯を貫くと言うか厄介な人間だ
元来、芯を強く持つ人間は強いモノだが、ここまで追い詰めながらも、尚まだ前を向いて血の道を歩く人間はそうは居ないだろう
半兵衛はぎゅっと拳を固めた
爪が手のひらに食い込み、血を流させる
…彼は僕より強い
(時間が惜しい)
「それよりはやく、姪か甥を見せろ。この世界で生きてもらうにしても、まずは幸せな家庭を築いてもらいたいからな」
「無理矢理婚姻させておきながら、そう言うかい君は」
少し呆れた様に半兵衛は笑いながら言うと、宙を見上げた
「医者の端くれなら、ややがそんなに直ぐに生まれるなんて事無いって分かってるだろ?今は仕込みでいっぱいだよ」
「それならいい。ま、一晩にあんだけやればいつかは出来るだろうがな」
「あんだけ…って、もしかして…北斗」
「……………あ」
「夫婦の営みを盗み聞きかい?妹のそんなのを聞いて…。変態だね」
「お、俺じゃない!頼が見張ってて聞こえて来るから、って報告してきてるだけだ!!」
だれが凪の喘ぎ声と男の艶声を盗み聞きするもんか、と呟いた
上手く最後、北斗は濁したけれど、蟠(わだかま)りが残る
目的を言い忘れたが、聞いて良かった様な、悪かった様な内容だった
(君は馬鹿だ)
北斗の行動で、色んな意味で胸を痛めてる妻
さらにコレを知ったら彼女はどうするのだろう
next