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奥州の冬を舐めていた
「さ、寒い」
寒さに耐性があまりない凪は本当にそう思った
冬なんてどこも一緒でしょう
そんな甘い考え
そんな事ないのに!
「さ、寒い!!着物厚着してるのに」
凪は北国の寒さを知らなかった
そう。雪国は昼間も半端なく冷え込む。冷え性でもない人の足や指先が冷たくなるほどに。
防寒具なんてあってもないようなもので、この時代だ。ヒーター・ハロゲン・電気絨毯なんて有るはずもない
「寒い寒い言うな。奥州じゃこれがcommonplaceなんだよ」
もう産まれたときからこの厳しさに耐えつづけている彼らにはどうって事ない
慣れだ。慣れ
「そういえば成実さん見かけないんですけどどこいったんですか?」
「Ah?あぁ、あいつは今大森城に帰っている」
「大森城?」
「あいつの親父が主をしている城だ。成実が生まれた城でもあるな」
政宗は肘を突きながら茶碗を空いている手で持ち啜った
「ここ暫く戦だ、同盟だ、執務だのでまともな報告出来なかったからな。いい機会だから今日の朝行かせた」
春になったら戦が始まるだろう
そうすれば腰を落ち着かせる暇もない筈
そう考えると冬にしかこういう機会を与えてやることしか出来ない
成実は要らないと言っているのだが政宗は何が何でも帰らせていた
「此処に帰ってくるのは2週間ほど先になるぜ」
「そんなに?」
「休暇だと思え」
そっかー、成実さん2週間もいないのか。と凪は呟いた
その瞳は何処か寂しそうである
「寂しいか。連れていかせば・・・」
「全然。」
そうはっきりと答える彼女はそれでも寂しそうだった
時折だがそんな色を出すときがある。ほんの一瞬なのだが、それは成実も小十郎も気にしていた
一番気になったのは猿飛が「元の世界に帰ろうとはおもわないの?」と言った後の凪の様子だった
追求はしないと思ってはいるがその何かが覆うものは放ってはおけない
「お前ら、最初より仲良くなったように見えるのに冷てぇ関係だな」
「冷たいとか、冷たくないとかそんなのは関係ないです。ただ、家族のそう言う時間に他人は居ちゃいけないですもん」
無粋じゃないですか…と呟く凪
無粋、か
確かに凪が言うことも一理ある
まぁそんなものも政宗には理解できないのだが
でもきっと成実が居なくて凪は寂しいはずだ
なんだかんだ言って殆ど毎日顔を合わせていたのだから
成実も部屋を訪れる凪を招き入れ、部屋に居ることを許していた。年も自分より近い(といっても成実と政宗の年の差は一歳だが)
話も合うだろう
何より成実が凪を受け入れようとしていた
人はその様を一文字で表すのだが、まだそれと呼ぶには幼い
政宗は、苦笑すると凪に話し掛けた
「Do you sleep together today?(今日一緒に寝るか?)」
寒いし、一人で寝るより暖かいぜ?
冗談で言った
本気では無い。もしそんな事が成実の耳に入ったら「何してんだ!梵!!」
と言われるに違いない
「あーいいですねぇ!一人で寝ると寒いんです!!じゃ、夜布団持ってお邪魔しますね!!」
「あぁわか・・・・・Huh!?」
「あ、手伝いの時間です。じゃあまた夜にー」
凪は出て行ってしまった
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