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夢を見た
幸せな、あの人が暖かい日差しの中
笑いかけてくれて居る、穏やかな夢を…
「くそー」
単独で秀吉の城に乗り込もうとしている影が一つ
全てのものが寝静まり、異形のものが動く時間。息を潜めて、城の様子を、じぃと見る
「本当に凪ちゃん居るかなぁ」
木の一つの枝に立ち、彼は空を見上げた
迷彩の忍び装束に、夕焼けの髪色
腰に下げた独特の武器
武田、真田幸村
その幸村に仕える真田忍隊の頭、猿飛佐助だった
「取り敢えず城内を探るか」
彼が何故ここに居るのかと言えば、彼の上司の一言がきっかけだった
―――――――
『佐助、大阪城へ偵察に行ってくれぬか』
五日前だっただろう
呼ばれた直後に言われたのだった
理由は知らない。知る必要は無い。説明があっても、無くても与えられた事をすればいいのだから
『了解』
そう言って、そこを出ようとした時に幸村は呟いたのだった
――――――――
「『青龍の花』、ねぇ」
それを言われて察しない程頭が回らない訳では無い
青龍、つまり伊達
花、つまりは凪の事だろう
大阪城に、何故か伊達に居るはずの凪がいるらしい
相変わらず人使いが荒い主。その主に情報を流した人物を恨んだ
「どうせなら噂の部隊を見たいんだけど、広すぎて厳しいかな」
警備が思った以上に厳しい
しかし偵察らしい事をしなければと、佐助はその場から消えた
――――――――
ホウ、ホウ
何処からか梟の鳴き声が聞こえた
普段なら、そんな声で目覚めるはずは無いのだけれど凪は起き上がった
そして格子がある窓を開けると、下弦の月が空に浮いていた
はっきりと見える星の煌めき
「梟がいるのかな」
ホウ、ホウ、ホウ
身を乗り出せる訳も無いので、鳴き声が何処から聞こえるのか分からない
しかし、こんな静かな夜に梟の鳴き声は風流がある
こんな所では無く、そう。縁側で月を見上げて、彼(か)の人と寄り添い、風が過ぎ去る音の中梟の鳴き声を聞き取る。そんなものが風流だと思う
「 」
何故か久し振りに歌いたくなった
穏やかな旋律を紡ぐ
時を場所を忘れて、彼女は紡いだ
「 」
想いを乗せて
―――――――――――――
― ―
「ん?」
不意に聞こえた何かが佐助の動きを止めた
遥か上を見上げて、そこにあるものを見つけた
「あれは…」
屋根から屋根へ、器用に移動し、あっという間に城の中部までやってきた
「凪ちゃん…?」
佐助の前には、以前凪にあげた鳥がいた
コレがここに居るという事は、当然凪がここに居るという事
さらに佐助は上を見上げた
そして彼は、ためらう事無く、更に上を目指したのだった
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