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いつも、思う
何が正しいのか、何が良くないのかと
でも、それを思うと自分は前に進めないと感じる
ただ、ひたすら前を向くしかない
あの、小さい手を、手放したあの日から
「勝手に外に連れ出して、進歩なし?お前意外と奥手なのか」
「奥手なわけないだろ?あのね、僕にもやり方があるんだよ。黙っていてくれないか」
こんなやり取りも飽きた
凪はあいも変わらずあの部屋に拘束されているが、北斗はいまだ彼女の前に立とうとしていない
「はんべー」
「あの子は流石君の妹といったところだよ。とても強固な意志を持っている」
それはそうだ。育てた親は一緒なのだから
しかし、与えられたものの多さは自分が多いかもしれない
「そして、彼女には想う人が居る。伊達成実、奥州の双璧、竜の刃。そうとう彼女は好きみたいだ。とても大事にされていたらしいね。まぁ、理解はできるかもね。奥州の考えも」
「…」
「彼女を落とすのもいいけれど、彼女は奥州攻略に使える。春が来るまでに関係は進めておくけど、それだけは覚えておいて。君に恩はある。とても大きな恩が。でも僕は君より、天下の方が大事なんだ。分かってくれるよね?」
「まぁ、な」
「天下を取ることは君の願いを叶えるための一番の近道だろう?」
「あぁ」
「なら、せかすのはよしてくれ」
「あまり得心いっていないがな」
「あぁ、あとそれから」
半兵衛は付け加えるように言った
「彼女、伊達成実の事も心配みたいだけど、君の友達の事もたいそう心配しているんだ。まだ彼は」
それは誰の事なのか北斗には分かっている
だがあの日…
少しだけ北斗の感情に揺らぎが見えた
「会える状態じゃ無い…」
「そうか…」
会える状態では無い、それは何を指すのか
「、そうやって」
半兵衛は北斗を見据えた
真っ直ぐで、彼の奥底に有るものを捕らえるように
「一人で全てを背負い込んだら、一体最後には何が残るのだろうね」
その言葉に、暫く間があく
それから北斗は考えて、半兵衛の問いに答えた
「さぁ?まぁ、こんだけ血で手を染めたなら、最期はろくなモノじゃない…と思う。それでもいいさ。自分の真ん中から、奥底にあるモノを強く思って、生きて死んで行けるなら。銃を手に取り、アイツらを殲滅して、守りたいモノを守れるなら。最期にそれが残るなら」
俺はきっと構わない
そう思う
「半兵衛」
「何」
「…アイツを、頼む」
「それ、前から聴いてるよ」
クスクスと笑う半兵衛
「そうだ、な」
だけど今までとは違う意味なんだ
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