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「凪…?」
凪に呼ばれた気がしたが、彼女はこの城には居ない
奥州に重傷のまま帰城した成実は、政宗らを色々な意味で驚かせた
何から話せば良いか分からなかった。だけど、自分の年と同じ年数を付き合ってきた政宗と小十郎は何が起きたか察した様だった
直ぐさま大阪城に情報を集める為に何人かを派遣した
成実は、その重傷を負った体で大阪城に向かおうとしたが、それを政宗は許さなかった
下手をすれば成実は死んでしまう位の傷なのだ。有無をいわさずに、政宗は成実を私室に軟禁した
昼間は鬼庭が見張り役として、常に部屋にいるが今は夜
鬼庭はいない。そして、この部屋には誰もいない
成実は不意に聞こえたソレが、何故か空耳でも風の音でも無いと思った
─────凪が、自分を呼んだ
「…グッ」
この傷さえなければ、今すぐにでも大阪城に向かうのに
「くそ……ッ」
手の平を宙に延ばして、己の状態を悔やんだ
■■■■■■■■■■■
兄を睨み付けて、自分の意思を強く伝えた
そんなの、無駄かもしれないと思ったけれど
「私の運命は、私が決めます」
あの世界での自分を思い出した
自分をさらけ出す程仲の良い友達はいなかった。だけどこの世界に来て、私は自分をさらけ出す事の楽しさ、辛さを覚えた
好きな───────愛する人も出来た
「離してください」
帰ろう
あの人がいる、場所に
「私は、帰ります」
「帰さない」
雪が綺麗な
あの国へ
「帰ります」
「…ッ!帰さないと言っているだろう!!!!!!」
蒼の、あの人達が笑って待っている
痺れを切らした北斗は
ギリッと歯ぎしりを奥歯でして思わぬ事を言い出した
「はんべーッ!!こいつを軟禁しろ!!そんでもって、さっさと」
「軟禁?良いのかい?」
「あぁ。目の届く範囲にいるなら何だっていいさ」
「ちょっ…」
竹中は、北斗から凪を受けとると、その細い身体の肩に凪を乗せた
「降ろしてください…ッ」
「無理だね。さぁ、あの部屋に戻ろう。起きたばかりだし、何より身体に障る」
優しく語る様に話す半兵衛に凪は黙った
凪を肩に担いだ竹中。暴れても、降ろしてはくれないだろうし、無理に暴れれば落ちてしまう
(逃げなきゃ、)
匡二を連れて
此所に居たら、銀髪の男と結婚させられてしまう
嫌な汗を凪は額に浮かべ、目を閉じた
―必ず、戻ります―