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燃え盛る建物と庭
それから葉が燃える木と木の下に青年
血を流し手を広げる成実と上を見上げる慶次
止まらない涙を流す凪と視線を慶次と絡める北斗
それらを一気に動かしたのは―――――――
「っ、頼!!」
その声に、木の下で伸びていた青年が目を覚ました
悩んでいた凪は、今の一声で飛び降りようとした
「凪!?」
上半身から崩れるように飛び降りたため、頭から真っ逆様に落ちる形となった
「受け止めろ!頼ッ!!」
成実の元に行くため飛び降りた
たとえ、地面に叩き付けられて大怪我で済まなくても良かった
ヒュッ!
しかし重力の掛りが変わった
下に掛かっていた重力が無くなり、ふわりとした感じに変わった
・・・・・
落ちて無い
目を開ければ群青色があった
成実を刺した青年に抱き抱えられて、下とは逆方向の上に向かっていた
「え、」
抱き抱えられ、兄がいる渡り廊下に着地した
頼は凪を降ろすと北斗の隣りに立った
「すみません、少し気を失っていました」
「いや、それは良い。大丈夫か?」
「はい」
「凪ッ」
下で成実に肩を貸した慶次が吠えた
本格的にこちら側にも火の手が回って来ている
熱さと焦りが彼らを襲う
「北斗!何で凪を…!!」
「お前が、戦に巻き込むからだ慶次。だから、このまま豊臣に連れて行く」
「「な…!!」」
「頼」
「はい」
ひゅううう、と風が彼らを襲う
成実は霞む視界にぼんやりと凪の姿を見た
―···いなくなるな、行くな、いかないでくれ···―
遠くで自分の名前を呼んでいる声がしたけれど、成実はその瞼を閉じて意識を手放した
「成実さぁあああああん!!」
そして、凪の叫びが聞こえた直後、頼・北斗、凪は渡り廊下から消えていた
燃え盛る建物の中未だ匡二は成実を見つけられずにいた
高温が支配する室内はとてもきつい
いつまで探していてもこちらが黒焦げになってしまう
ここは一度引き返した方がいいだろうと踵を返した
そこに突風が吹く
ひゅうううと熱を孕んだソレは、匡二を抜けていった
目を開ければそこは外で、振り向けば砦の外にいた
「なんで…」
「そりゃ連れて来たからな」
「北斗!!」
北斗は黒衣に身を包み、腕には凪がお姫様抱っこで抱かれていた
「凪さ…!!」
「おっと!」
ぶわっとまた風が吹く
近付きたくとも近付けない
「凪様を離せ!何故人を殺める!!誓いはどうした!!どうして…!」
全てを問い質したいが言葉が出てこない
けれども彼は分かっていた
「…運命は変わらない。俺達がして来た事は無駄なんだ。話を聞く気があるなら俺の手を取れ」
すっ、と差し出された手は前よりごつくなった気がした
彼の瞳を見て匡二はためらう。でもこのまま凪を連れて行かれるだけは阻止したかった
連れて行かれても自分がいれば守れるし、逃がせる自信があったからだ
成実には悪いが、彼なら前田の誰かと合流し事の次第を奥州に伝えてくれるだろうと思った
匡二は北斗の手をとった
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