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妬きもちを妬いて

ルック「…君は…何時から気付いてたんだい?」


メグ「最初から。だから彼が思い悩んでいた風なのも、知ってたわよ?」


ニヤリ…と、意味深に笑うメグ。

ルックは薄ら寒いものを感じた……。



メグ「追い掛けてちゃんと弁解した方が良くない?」

ルック「…弁解、ね」


メグ「彼女の方も自分で何とかしてね☆私、カラクリ修行で忙しいからvV」


ニッコニコ笑顔を浮かべ、呆然としているナナミとニナの腕を掴み、いそいそとその場を立ち去ってしまったのだった……。



ルック「………はぁ;」


溜め息と共に、その場から消えたルック――。



静寂していた酒場が、徐々に騒がしさを取り戻し始めるのだった。




*******



ヒンヤリとした風に吹かれ、艶やかな黒髪が美しく流れる――。

しかし、絵になるその姿形には、どこか暗な雰囲気が滲み出ている…。



ティア(………思わず出て来ちゃった…;)


溜め息を吐きながら、瞳を閉じた。


ティアの中には、後悔の念と、懸念で一杯だった。


ティア「……………」


しかし、思わず飛び出して来てしまった手前、戻る気力は無い。
無いのだが……、



ティア(いや…でもっ;今日はルックと呑む約束してんだよね…;うっわあぁ……どうしようっ)


思わず頭を抱えるティア。

約束を取り付けたのは自分だという事を、今更ながらに思い出す。
そして焦りが募る。それと同時に、切なくなってくる…。



ティア(………。楽しみにしてたのにな……)



ずっと忙しかったルック。擦れ違うばかりで、ろくに話せてもいない。
そんな淋しい月日が過ぎて行くなか、漸くルックが休暇を貰えた。

正直な所、折角の休み位はルックにゆっくりと休んでいて貰いたかった。
しかし、彼も逢えない時間に何かしらの思いが有ったのだろう……。

トランの自宅。自分の部屋で寛いでいた時に、突然現れた。
現れるや否や――。




ルック『――明日、何処か行きたい所でもある?』


なんて訊ねて来て。
吃驚しながらも“特に無い”と答えた自分。


ルック『…ならしたい事は?僕は有るけど…』


って訊いて来た。
それならルックのしたい事を優先しようと、僕は笑って答えた。



ティア『それも特に無いかな。僕はルックと一緒に居られれば十分だから。ルックのしたい事しよ?』


って答えた途端、細められたルックの翡翠色の瞳――…。
ニヤリ…と、意味深に口端を上げ、僕の両頬を包むルックの掌。

合わさった視線。
ルックの低く、心地好いテノールが僕の心を乱した…。


ルック『――僕のしたい事は、一日中君を抱く事なんだけど』


ティア『――っ!?///』


嗚呼…、しまった…。と思った。

羞恥に染まる顔。
ルックにより俯く事が出来ない僕は、睫を伏せた。
返答に詰まった僕の頭上から、クスクスと愉しそうに笑う声が降ってきた…。


ルック『けど、それはまた次の機会で叶えてくれれば良いや』


ティア『………』


次の時は叶えてあげなきゃいけないのかと、恥ずかしく思いながらも、次の言葉を待った。



ルック『明日は一日、君の御願い事を叶えてあげようと思ってるんだ。何か無い?』


急に訊かれても…。と、内心思ったが、ふと、ある事を思い付いた。


スッと、ルックと視線を合わせる。


ティア『じゃあ――明日は久し振りにルックと呑みたい…』



これが約束の始まりだった。



意外そうに驚いていたルックも、僅かな時間で表情を変えた。

柔らかく微笑み、承諾してくれたのだ。



ルック『じゃあ、今日はもう遅いから君の部屋に泊まる』


ティア『うん』


当たり前の様に一緒に同じベッドに入って。
直ぐ寝る事なんて到底出来なくて。
久方ぶりに感じる御互いの熱に感情が昂ってしまって。
当然、身体を重ねる行為に没頭……。

お陰で、起きた時間は昼を少し過ぎた時刻…。


苦笑し合いながらも、軽く身支度を整えて、ルックの移転魔法で同盟軍本拠地へと移動したのだ。
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