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妬きもちを妬いて

その視線に気付いたメグは無邪気に笑う――。



メグ「何度も何度も必死に頼まれてるのを断り続けてたら、段々、私が悪者みたいになっちゃうし。それに、最近そのやり取りにもウンザリしてたトコだったのよねぇ」


ニナ(…メグちゃんは本心ではそう思ってたのね…;)

落ち込み座り込んでいるナナミに付き添うようにしゃがんでいたニナ。
体勢はそのままに、顔だけをメグ達に向けひっそりと思った……。


ルック「ウンザリしてたら投げ遣りに面倒事を僕に押し付けるのか?


句点も付けず、一気に捲し立てたルック。
彼の額には青筋がくっきりと、浮かび上がっている…。


メグ「あ。ルック君、青筋浮いてるよ?


にっこりと笑い、指差し指摘。

ルックの眉間のシワが一本余計に増えた。



ルック「気にする所はソコじゃないだろ


切れの良いツッコミ。

メグは目を見開き、驚きを表現。


ルック「驚く所でもない。僕は漫才がしたい訳じゃないんだよっ


苛々し始めたルック。
メグはクスクス忍び笑い…。
ルックは不愉快そうに腕を組む。
ソレを見て又メグは、クスクスと笑う……。



端から見れば、この二人が恋人同士に見えなくも無い……が、それはガチで有り得ない。



ティア「…………」


――嗚呼、ホラ……。又…。君が珍しく他人と長く話をする度に…、心臓を鷲掴みにされた様な衝撃を胸に感じるんだよ……。



ジッと見詰めていた2つの瞳が、辛そうに歪められる…。

ソレに気付いて居ないルック達や酒場の客……。


ティアは、ルックの返事も気になるが、それでもソコに居座り続けられる程、強くもなかった――…。



メグ(……あらら~)


唯一、気付いてメグ。

メグは困ったもんだと、ルックに気付かれ無い様、ひっそりと溜め息を溢した。


メグ「それでそれで??どうするの?」


ルック「………」


メグの問いに、ルックは考える素振りを見せた。

ソレをじっと待つメグ。



ルック「…デートすれば諦める。じゃあ、逆に言えば断れば諦めないって事だったりしないよね?」


メグ「…つまりは、断る気満々って取って良いの?」

ルック「僕の質問に答えて」

メグ「……。さあ、どうかな?ソコは本人に直接訊いてみないと判らないよ」


ルック「…普通、訊いとくだろ…」


メグの返答に、呆れるルック。

メグはニコニコ笑うだけで返す。



ルック「…君、こう言う場合は協力したくないんだろ?」


メグ「そうだよ。どうして?」


ルック「さっきからどうも…君の話には違和感しか無かったんだけど。今やっと判った」


メグ「…何を?」


真剣な目のルック。
彼の翡翠色の瞳を見詰めて、先を促すメグ…。

ルックはゆっくりと口を開く……。



ルック「君、さっきから矛盾ばかりしてる。君がしたくない事を態々するなんて、可笑しいだろ」


ニナ「えっ?でも!それは…メグちゃんがウンザリしてきたからだってさっき言ってたじゃない…」


メグより先に声を上げたニナ。
彼女は瞳に困惑の色を湛えて、ルックを怪訝そうに見詰める。



ルック「言ってたからこそだよ」


ニナ「????」


益々判らない…、と首を傾げ続けるニナ。

漸く立ち直ったナナミも、ニナ同様に首を傾げるが、口を挟む真似はしない。



ルック「僕は言ったよね。そんな事したら僕が恋人と喧嘩してしまうって」


メグ「言ったね」


ルック「それなのに君は僕に浮気を進めるのかい?君だって、僕の恋人が誰か位、判ってるだろ?」


ルックの質問に、メグは二度頷き応える…。

ニナもナナミも首を傾げるばかりだった。
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