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妬きもちを妬いて

メグ「こう言うのはハッキリと言ってあげた方が良いじゃない。でもまぁ…、ショックは受けてたケドね」

ルック「……君さ、僕の気持ちが判るって言うなら幾ら頼まれても、断るのが筋じゃない?それを引き受けるなんて…」


メグ「………」



不機嫌…とは無く、訝しむ様なルックの表情にも、メグは落ち着きを払っていた。


メグ「うん。まぁ…そうなんだけどね」


ルック「?」


メグ「言って駄目だったのよ。だからさ、口利きはしてあげるけど、期待しないでって言ってあるし。それに、私達はちゃんとその子にルック君は駄目だよって何度も言ったもん。責任は自己よ」


ルック「…………」


中々良い性格だと思った。
ルックは、メグの意外な一面を垣間見た瞬間だった――。

ナナミやニナみたく、元気一杯の判りやすい(扱いやすい)性格ならルックも適当にあしらって事を済ませるだろうが、このメグと言う少女は厄介な人種に部類される……。


ルック「………」


“変な誤魔化しは通用しない…。”
ルックの頭がそう判断した瞬間、彼は深く息を吐き、メグを見据えた。



ルック「…それでもソイツは僕とデートしたいって?」

メグ「うん。本人はね、この一回のデートでルック君の事を諦めるって」


ルック「その言葉に信憑性はあるとは思えないけどね。一度デートしてあげて、変に勘違いされそうなんだけど」


メグ「う~ん…。まあ、有り得なくはないよね。でも大丈夫じゃない?」


ルック「…………;」



全くの他人事だと言わんばかりのメグの返答に、ルックは深く肩を落とす。


メグ「あっ!でも、その時はルック君がハッキリしてあげれば良いんじゃない?私だって、恋話は好きよ?でも、相手側に恋人が居る場合は協力したくないんだもん


ニナ・ナナミ「「………;」」

あまり見た事の無い友人の一面。
動揺を隠せないニナとナナミは互いに顔を見合わせた。



メグ「恋人同士なのに関係を裂く様な不粋な真似はしたくないのよ。だから、今回もあまり気乗りしないのよねぇ…」


ルック「……本当、君って意外とサバサバしてるよね。今初めて気が付いたよ…」

メグ「うん?そうかな?」

ルック「そうだよ。それより、デートしろって頼みに来てる時点で、僕は“その恋人”と喧嘩してしまうって気付いてる?」


ニナ・ナナミ「「あっ」」


大人しく観て居たニナとナナミは、揃って声を上げメグを同時に見る。

注目の的になったメグは、吃驚した顔を見せた。



(((気付いて無かったのか…)))


そう誰もが呆れの溜め息を吐きかけたその時――。



メグ「気付いて無いと思ってたのっ?!まさか、そんな訳無いじゃない!とっくに気付いてたわよ」


ルック・ニナ・ナナミ「「「驚きソッチ?!」」」


同時に同じ発言でツッコんだ…。

メグは眉を寄せ、頬を膨らませる。



メグ「何よぅっ!ナナミちゃんは兎も角、私が気付かない筈無いでしょっ!私、そんな馬鹿じゃないもんっ」


ナナミ「ちょっ…!メグちゃんっ!私だってっ」


慌て否定しようとしたナナミの肩をポンッと、叩かれる。


ナナミ「?」


振り返れば、哀れみの目で此方を見詰めるニナが……


ニナ「…ナナミちゃんは絶対に気付かないわよ。賭けても良いわ」


ナナミ「そんなにっ?!


ショックを受けるナナミ。ニナは相も変わらず、哀れんでいる。


ルック・メグ「「………」」


その漫才に、ルックとメグの瞳が冷やかさを帯びているとは露知らず…である。

しかし、気を取り直したルック。


ルック「……。気付いてたなら尚更疑問だよ。相手の願いを聞き入れたら僕達がどうなるか位、判るだろ?」

真剣なルック。

メグもまた、直ぐに意識は漫才からルックへと向く。


メグ「喧嘩になるし。悪く行けば、破局よね。一応、浮気に入るんだし」


ルック「だったらこの話は無かった事に、だろ。僕は浮気は真っ平」


メグ「だよね」


ルック「……」



判ってて何故?とルックは思った。
しかし、メグの新たな一面を見せられてからは、彼女が他に考えが有るように思えて仕方が無かった。

ので、黙って彼女を見据える……。
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