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腐れ縁

シーナ「うがっ!テメェ…マジムカつくわっ!!


ルック「はいはい。ほら、行くよ。じゃなきゃ、今度こそ置いて行くからね」


あっさりと流されたシーナは、ブツブツ文句を垂れながらも、ルックの後を追う。

ティアはルックに手を引かれながらも、密かに笑った。


ルック「…………」


シーナ「…………」



それをコッソリ盗み見ていたルックとシーナは、互いに安堵していた。



シーナ(…大丈夫そう…だな)


ルック(…大丈夫、みたいだね…)


心の内に、同じ事を思っているとは全く気付いてはいない二人――。

しかし、思う事は同じで…。結局は似た者同士なのだ。二人の頭の中は、常にティアの事ばかりだった。



ルックは繋いだままの掌から、ティアの確かな温もりを感じ、胸の奥がジンワリと暖かくなるのを感じていたのだった…。



ティア「ねぇ…」


シーナ・ルック「「ん?何(さ)?」」



同時に同じ発言――。

ティアは目を丸くし、途端に可笑しそうに吹き出した。



ティア「ぷっ…ははっ!…ちょっ…仲良しすぎだからっ…」


ルック「………。シーナ。君が真似をするからこうなるんだよ」


シーナ「ちょっと待て。俺じゃない。ルック、お前の所為だろ」



互いに怒りのぶつけ合い。罪の擦り合い…。
ティアは腹を抱えて笑い続けた。

仲良し3人組は、ルックの部屋の前までの道程を、騒ぎ立てながら進んだ。

そんな奇怪で物珍しげな光景を、道行く人達から驚愕の眼差しを向けられ続けた。



しかし、今の3人にとってそんな視線はどうも感じない。
ただこの愉しい時間が倖せで、満ち足りていてそんなちっぽけなもの、興味もなかった――。



ドアの前まで来ると、ルックは不機嫌な顔のままドアを開け、二人を招き入れた。


ルック「…汚さないでよね」

ギロリと睨みを利かせ、室内の窓を大きく開け放った。


ティアはベッドの縁に腰掛け、ニッコリ笑う。


ティア「大丈夫だってば!ね?シーナvV」


シーナは椅子に腰掛け、それに頷いて返す。


ルック「……紅茶、で良いよね?」


若干の不安は拭えないらしいが、ルックは手慣れた様子で紅茶を淹れ始めた。

それを見ていたシーナは感心する。



シーナ「へぇ…。ルック、お前って手際良いのな」


ティア「そりゃそうだよ!いつもあのレックナートに扱き使われてんだもん!ね、ルック?」


ルックよりも先に答えたティアは、悪気はない…。
あまりその事情には詳しくないシーナでさえも、少し同情した。

ルックは無言のまま、テーブルにカップを3つ置いて、空いてる椅子に座る。



シーナ「………。(やっべ…この話題は地雷かっ…なるべく触れないように…)」

瞬時に悟ったシーナは、無言で紅茶を一口飲んだ。


ティア「てかさ、デザートは?茶請けも無しなの??話が違うじゃん!」


一向に出てこないデザートに、ティアは不満の声を漏らす。


ルック「…僕は紅茶と場所を提供した。デザートとか茶請けなら君達二人のどっちかが用意するのが妥当だろ」


冷静な文句に、シーナはごもっとも…と思った。
しかし、ティアだけは違った。


ティア「えー!僕は用意したくないよぉ!!シーナ、代わりにお願いvV」


ウィンク付きでの可愛らしいお願いに、シーナは肩を落とす。



シーナ「来ると思ったぜ…」

そう呟きながら立ち上がり、ドアへと向かう。
その背に、ティアは注文を投げた。



ティア「僕、ケーキね♪あ、プリンも良いなぁvV」


シーナ「はいはい。両方買って来ますよ」


ティア「わぁ~い♪」



大喜びのティアに苦笑を浮かべるシーナは、ルックを振り返る。
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