腐れ縁
この場をどう切り抜けるか、それを思案しているティアの腕を引っ掴んだ少女に、ティアはギョッとした。
ティア「――っ…!」
少女「ティア様の身の上のお話は知っていますっ!右手に忌まわしい紋章を宿してしまっている事をっ!!支えを失っているのでしょっ?!でしたら、私がっ…私が」
ティア「っ!いい加減にしろっ!!」
少女「――っ!?」
ビクゥッ!と身体を震わせた少女は、驚きに声を失った。
いきなりの怒鳴り声――。
それもティアの…初めて聞く怒鳴り声に、少女の大きな瞳が更に見開かれ、硬直している。
ティア「……っ。これ以上、話す事はない。もう…付き纏わないでくれっ」
少女「っ…ティア…様っ」
漸く絞り出した声がその掠れた様な音で。
ティアは一瞬だけ、その少女を見たが、直ぐに顔を背けルック達の元へと駆け出した…。
それをただ呆然と見ているだけしか出来ない少女を、ルックの冷眼が射抜く――。
その冷たさに気付いた少女は、更に身体を硬直させた。
ティアが二人の元へ辿り着いたのを、シーナは見届けてから少女へと向き直る。その際、ティアは少女を振り返らない……。
少女「ぁ…っ…ティア…様…」
ティア「……………」
シーナ「…ワリィな;もう行って良いだろ?ティアもこの様子だし…さ?」
少女「――っ!」
少女の返事も待たずに、ルックはティアの腰に腕を回し歩かせた。
少女はその場に力なく座り込み、ワナワナと身体を震わせた。
シーナ「………」
シーナはそんな少女を見て、フイッと身体を翻し二人の後を追った。
少女を見たシーナは、口元は笑っているのに目がちっとも笑っていない…。そう、まるで怒りに殺気だった色を瞳に宿したかの様な鋭い目だった。その目で自分を見下ろす…。そんな彼に、恐怖を覚えたのだった――。
ルック「……もっと早くに、キツく言えば良かったんだよ」
ティア「…だって…」
ルックはティアの手を握ったまま、眉間にシワを寄せた。
少し俯き気味のティアからは、その顔は見えないが…長い付き合いの中で、彼がどんな表情を浮かべているか位容易に想像がついた。
ルック「甘過ぎるからこんな目に遭うんだ。少しは気をつけたらどうなんだい…」
ティア「……肝に銘じときます…」
深く反省の色を見せたティアに、ルックは苦笑を浮かべた。
ルック「随分、しおらしいじゃん。今回の事が余程効いたみたいだね」
ティア「………」
無言のティアにも気に止めず、部屋に向かう二人の背中に向けて聞き慣れた声がぶつかる。
シーナ「おーーいっ!俺を置いてく事ねぇだろっ!」
非難の声に、ティアは慌て振り返る。
ティア「!あっ…ごめんね;シーナッ!!」
ルック「置いてかれたくなけりゃ、さっさと来なよ」
ルックもまたゆっくりだが振り返り、彼が辿り着くのを待つ。
そんな二人に、シーナはあの太陽の様な笑顔で笑う。
シーナ「ティア!お前、素で忘れてただろっ!ヒッデェッ!」
ティア「ごめんってば;;」
ルック「ティア、あんな尻軽男に謝る必要ないよ。遅いアイツが悪いんだから」
シーナ「ルック!テメェは少し悪いと思えっ!!冷たすぎだろーがよっ!」
ルック「うっさい。喚くな」
シーナ「うっわっ!何コイツ…マジ腹立つんですけどっ!」
二人の元に追い付いたシーナは、真っ先にルックの顔を睨み付けた。しかし、相手はルック…。
彼はシーナを嘲笑った。
ティア「――っ…!」
少女「ティア様の身の上のお話は知っていますっ!右手に忌まわしい紋章を宿してしまっている事をっ!!支えを失っているのでしょっ?!でしたら、私がっ…私が」
ティア「っ!いい加減にしろっ!!」
少女「――っ!?」
ビクゥッ!と身体を震わせた少女は、驚きに声を失った。
いきなりの怒鳴り声――。
それもティアの…初めて聞く怒鳴り声に、少女の大きな瞳が更に見開かれ、硬直している。
ティア「……っ。これ以上、話す事はない。もう…付き纏わないでくれっ」
少女「っ…ティア…様っ」
漸く絞り出した声がその掠れた様な音で。
ティアは一瞬だけ、その少女を見たが、直ぐに顔を背けルック達の元へと駆け出した…。
それをただ呆然と見ているだけしか出来ない少女を、ルックの冷眼が射抜く――。
その冷たさに気付いた少女は、更に身体を硬直させた。
ティアが二人の元へ辿り着いたのを、シーナは見届けてから少女へと向き直る。その際、ティアは少女を振り返らない……。
少女「ぁ…っ…ティア…様…」
ティア「……………」
シーナ「…ワリィな;もう行って良いだろ?ティアもこの様子だし…さ?」
少女「――っ!」
少女の返事も待たずに、ルックはティアの腰に腕を回し歩かせた。
少女はその場に力なく座り込み、ワナワナと身体を震わせた。
シーナ「………」
シーナはそんな少女を見て、フイッと身体を翻し二人の後を追った。
少女を見たシーナは、口元は笑っているのに目がちっとも笑っていない…。そう、まるで怒りに殺気だった色を瞳に宿したかの様な鋭い目だった。その目で自分を見下ろす…。そんな彼に、恐怖を覚えたのだった――。
ルック「……もっと早くに、キツく言えば良かったんだよ」
ティア「…だって…」
ルックはティアの手を握ったまま、眉間にシワを寄せた。
少し俯き気味のティアからは、その顔は見えないが…長い付き合いの中で、彼がどんな表情を浮かべているか位容易に想像がついた。
ルック「甘過ぎるからこんな目に遭うんだ。少しは気をつけたらどうなんだい…」
ティア「……肝に銘じときます…」
深く反省の色を見せたティアに、ルックは苦笑を浮かべた。
ルック「随分、しおらしいじゃん。今回の事が余程効いたみたいだね」
ティア「………」
無言のティアにも気に止めず、部屋に向かう二人の背中に向けて聞き慣れた声がぶつかる。
シーナ「おーーいっ!俺を置いてく事ねぇだろっ!」
非難の声に、ティアは慌て振り返る。
ティア「!あっ…ごめんね;シーナッ!!」
ルック「置いてかれたくなけりゃ、さっさと来なよ」
ルックもまたゆっくりだが振り返り、彼が辿り着くのを待つ。
そんな二人に、シーナはあの太陽の様な笑顔で笑う。
シーナ「ティア!お前、素で忘れてただろっ!ヒッデェッ!」
ティア「ごめんってば;;」
ルック「ティア、あんな尻軽男に謝る必要ないよ。遅いアイツが悪いんだから」
シーナ「ルック!テメェは少し悪いと思えっ!!冷たすぎだろーがよっ!」
ルック「うっさい。喚くな」
シーナ「うっわっ!何コイツ…マジ腹立つんですけどっ!」
二人の元に追い付いたシーナは、真っ先にルックの顔を睨み付けた。しかし、相手はルック…。
彼はシーナを嘲笑った。