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腐れ縁

ティアはルックとシーナの腕を掴むと、ニッコリ笑った。



シーナ・ルック「「っ…ティア?」」


揃って驚きの声を上げた。その二人に、ティアは口を開く。



ティア「お腹空いたって言ったじゃん!早く行こうよ!」


ルック「…………」


呆れた顔のルック。


シーナ「…しょうがねぇな!」


ニッと太陽の様に笑うシーナ。


そんな二人の腕を引っ張ってその場を後にしたのだった――。




********


ティア「ほぉ~ら…。注目されてるぅ」


ブー垂れるティアに、ルックは眉間にシワを寄せ溜め息を一つ吐くと、コーヒーを一口飲む。


シーナ「………。気にしたら駄目だって…」


ティア「こんなに注目されてるのに気にするなって方が無理なんだよ」


頬杖をついて、シチューをクルクル掻き回しながら不満に唇を尖らせる。


彼らの座った席は入口から程遠い、窓際の場所だった。
昼時もありやや込み合っていたのだが、偶然に空いた席に通され今に至る…。

しかし、ティアの言った通り注目の的だ――。


ティアは不満そうな顔を隠そうともしない。



ティア(…だぁから言ったじゃん…。注目されるってさっ!)


シーナ「……;;ティア、デザートでもどうだ;??」

シーナはスッとメニュー表を差し出す。
それを横目でチラッとだけ見て……



ティア「……いらない」


シーナ「……;;」


不機嫌なティアに困り果てたシーナは、ルックに視線だけを送る。



シーナ「…………」


ルック「……………」


ウルウルとした目が救いを求めてると瞬時に悟った。しかし、ルックにさえもどうする事も出来ない……。

一方からは助けを求める視線が。
もう一方からは不機嫌なオーラが……。



ルック「………;(どうしろって言うんだよっ)」


苛々しげに指でテーブルを突っつく。


ティア「…ルック、煩い」


ルック「……」(ピクッ…)


途端に動きを止めた行き場のない指先――。

シーナはハラハラと両者を見守る。



ルック「…君さ、何で苛ついてんの?」


最初に口を開いたのはやっぱりルックだった。
ティアは目だけをルックに向け、あからさまに溜め息を吐き出した。



ティア「……別に」


シーナ(…嘘だ。何か気にしてる癖に…)


内心でそうツッコむシーナ。


ルック「別に?…嘘の下手な奴だね。そんなにあからさまに機嫌が悪い癖にさ」


ティア「…………」


口を閉ざしたティアを、ルックは何の情も宿していない様な冷たい目で見据えた。


ルック「…気に入らないならもうココから出るよ。長居しても、君の機嫌が悪くなる一方だからね」


ティア「……………」


シーナ「……………」



言い方のキツいルックを、シーナは止めない。
彼の口調は今に始まった事じゃない。

それは解放戦争の時の者なら誰もが知ってる事――。

ルックは先に席を立つと、二人を見下ろす。



ルック「…デザートなら部屋でも食べれるだろ」


ティア「…ルック…」


顔を上げ、ルックを見詰めた。
シーナはヤレヤレ…と肩を竦め、立ち上がる。


シーナ「話は部屋でも聞けるしな。そん時ゃ、ちゃんと話してくれよ!」


ニッといつもの様に笑うシーナ。ティアは嬉しそうに顔を綻ばせた。
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