腐れ縁
ティア「あー!何かスッキリしたぁっ!!」
大きく延びをしたティアを、冷や汗を流しながら顔を引き攣らせて笑った。
シーナ「;そ…そうか…?そりゃあ……良かったっ…ははっ…」
ティア「さあて!どうするかなぁ…」
ニコニコと爽やかに笑っているティア。
そんな時、釣り場の出入口から…。
「へぇ…。スッキリ出来て良かったね。暇なら相手してあげようか?」
ビクゥッ!!
シーナ「っっ!!る…るっるっっ」
ワナワナと震えるシーナとは対照的に、呑気に欠伸までしているティア。
ティア「ルック?」
ルック「ただし、冷酷で石頭で天の邪鬼で人間離れしてて素直に欠けてるんだけど……良いかい?」
ニッコリスマイル★
あまりの恐ろしさにぶっ倒れそうになるシーナ。
血の気の引いた顔が更に引き攣る…。
しかし、コイツだけは違う。
ティア「えー。マジで?うーん…。性格悪いのと遊ぶのぉ?」
シーナ「っ!!」
ルック「………」
無言の怒りのオーラを纏わせ、冷笑を浮かべているルック。
シーナ(たっ…頼むからっ俺にはフルなよっ…)
と切実に願うシーナ。ところが……
ティア「シーナ、どうするぅ?」
シーナ「俺にフルなあああぁぁっっ!!!!」
思わず叫んだ。
ティアは目を丸くし、不思議そうにシーナを見詰めていた。
シーナ「どう答えろってんだよっ!相手はルックだぞっ?!俺にどうしろって言うんだよぉっ!!!」
ルック「……。相手が僕だと何なんだい?文句あんの?」
シーナ「うぐっ…;おまっ;ちょっ……」
ブラックスマイルをシーナへ向け、訊ねてくるルック。
本音をぶちまけたい一心は在るものの、今それを言ってしまうと確実に切り裂きを食らうのは目に見えている…。
シーナはグッ…と言葉に詰まらせた。
ルック「どうなんだい?」
あくまで優しく訊ねているつもりのルック氏に、シーナは助けを求める。
ティア「そんな怖い顔するもんじゃないよっ!シーナだけじゃなくて、他の人だって恐縮しちゃうじゃんさっ!!」
シーナ(ティアアアァァッ!!)
まさかのティアからの助け舟に、シーナは内心感激した。
ルック「生まれつきなんだからどうしようもないだろ」
やや不貞腐れ気味に眉根を寄せ、腕を組むその様にティアは大袈裟に肩を竦めた。
ティア「まあ…今更、君の顔がどうたらって話してても仕方無いよねぇ」
シーナ「………;;」
ルック「…君、まだ怒ってるのかい?」
ティア「べっつにぃ~。もう怒ってないっすぃ~」
ルック・シーナ「「………」」
(ガッツリ根に持ってんじゃん……)
とは思ったが、口には出さない2人だった。
ティア「てかさ、ちょっとお腹空かない?僕、めっちゃお腹空いたんだよねぇ…」
シーナ「んあ?あー…そういやぁ…もう昼頃だもんな」
ルック「ならレストランにでも行けば良いじゃんさ」
ティア「んー…何か注目されそう…」
そう言いながらティアは、チラッと二人を見た。それに気付いたルックとシーナ首を傾げ、互いに顔を見合せた。
シーナ「?何で注目されんだよ?…あ!俺が美形だからかっ!」
満面の笑みで答えたシーナを、ルックは冷やかに睨んだ。
ルック「…自意識過剰過ぎなんだよ。ティア、別に注目何か今に始まった事じゃないんだから気にしなきゃいいだろ」
シーナ「そうそう♪皆、トランの英雄を一目見たいだけなんだよ!」
ティア「…………そうじゃないんだけど…;」
何も分かっていない二人の的外れな返答に、やや呆れたティアだった。