腐れ縁
熊・青「「何で座るっ?!」」
声を揃えた腐れ縁の二人。
ルックはテーブルに頬杖を着いて、言葉を返す。
ルック「何?ココって許可がないと座っちゃ駄目なの?」
青「べ…別にっ…そんな事ねぇけど……」
ルック「じゃあ…何か文句あんの?青野郎の癖に」
青「青野郎言うなっ!ガキの癖に生意気な奴だなぁ~っ!つか、いいのか…?ティアを探しに行かなくてよ」
苛々しているフリックに対し、ルックは鼻で嘲笑った。
青「~~~っ!!」
ルック「良く良く考えたらアイツの行きそうな場所は検討がついてたんだよね。だから焦らなくてもいいんだよ」
熊「…ヘェ~。流石、類友だな…」
ルック「……………」
それまで黙っていた熊ことビクトールが口を挟んだ。
ルック「…類友?今、そう言ったのかい?」
熊「……何でもねぇよ。気にすんな」
ルック「…まあいいや。所詮、熊の戯れ言だしね」
熊「…………」
熊(……コイツ。マジで性格悪りぃなっ)
思っていても口には出さない。
ルックは小馬鹿にしたように鼻で笑い飛ばしていた。
ルック「アンタ達はいっっつも暇そうだね。僕と比べるとかなり失業レベルじゃない?」
青・熊「「うっさいわっ!!」」
ルック「仕事貰えないの?だったら掃除夫にでもなれば?」
熊「やらねぇよっ!!俺達は傭兵なんだよっ!戦の男なんだよっ!!!」
青「格下げし過ぎだろーがよっ!!お前は俺達を貶しに来たのか?!イジメかっ?!?!イジメなのかっ!?」
ルック「君達ばイジメるわけないだろ。邪推は止しなよ」
青・熊「「嘘つくんじゃねぇっっ!!!」」
ルックはヤレヤレと首を振り、立ち上がると二人に向かって告げた。
ルック「僕は慈悲深いからね。君達の数々の無礼を許してあげるよ。感謝しな」
青・熊「「…………」」
なんとも上から目線の発言に、思わず無言になる。
そんな事には一切気にも留めず、立ち去る風使い。
酒場には何故か沈黙が暫くは続いたのだった。
「だから泣くなって;」
やや困りぎみの声が釣り場からした。
どうやら泣いているバンダナ少年を必死に宥めているようだ。
「アイツの口の悪さは今に始まった事じゃねぇじゃんっ!」
ティア「だって…」
「一々気にしてたら無駄に疲れるだけだってっ!!元気だせよぉっ!」
ティア「……ぅん…。シーナは優しいね…」
シーナ「そ…そうか?ははっ!でも確かに俺はティアには甘いかもな!」
シーナと呼ばれた少年はニッと白い歯を見せて笑った。
つられてティアも微笑む。
ティア「うん。それはよく分かる。だから僕はシーナに我が儘が言えるんだもん」
シーナ「…ティア?それは俺だけじゃないだろ。ルックにだって当て嵌まる事じゃねぇの?だから口喧嘩したんだろ?」
ティア「……………」
無言のティアに、シーナは苦笑を浮かべ水面を覗き込んだ。
シーナ「素直じゃないのはソックリだな」
ティア「…素直だもん…。ルックは堅物で優しくないだけなんだもん」
不貞腐れているティアは唇を尖らせた。その様子は水面を覗き込んでいるシーナからは窺い知れないが、何となしにティアの状態が想像出来る辺り、長年の付き合いが物語っている。
シーナ「アイツなりの照れ隠しだったりしてな」
ケラケラ笑うシーナに、ティアは少しだけ笑うと空を見上げた。
晴れた青空には雲一つなく、清々しい日だった。
ティア「……照れ隠しねぇ…」
シーナ「んだ。ルックは昔っから素直じゃなかったじゃねぇか♪」
ティア「…言われてみればそうだよね…」
シーナ「だろ?ルックの冷酷さと天の邪鬼と素直さに欠けてる所を抜かせば良い奴じゃん!」
ティア「うん。そうだよね!冷酷で石頭で天の邪鬼で人間離れしてて素直に欠けるとこさえなけりゃあね!!」
ニコッと笑うティアを、シーナは思わず振り返り二度見した。
シーナ「…………;;」