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普段通りだから


ルック「……ティア……」


ティア「……ルックが言わんとしている事も……ルックの優しさも……。僕はちゃんと…判ってる」


とても穏やか口調で言ったティアの瞳は、優しい色が浮かんでいた。


ティア「…僕が…この戦争に介入したのは……“人の死”からもう逃げたくなかったから…。だから…いつまでも避けてばかりでは意味が無いって思って。それに、この紋章を受け継いだその時から…僕は強く生きなきゃいけないんだ…って思った。」



ルック「…………」


ティア「……それに…さ。セツナが 必死に“力を貸して欲しい ”って言った時の…一点の曇りすらない澄んだ瞳をしていたから…。どっちが勝つのかな…?ってちょっと気になったからね。」



そう言ったティアは、とても落ち着いていた。


ルック「…それが…理由かい?」


ティア「…うん。これじゃあ…駄目かい?」


小さく小首を傾げたその姿は、ほんのりと頬染めるには十分すぎる代物だった。


ルック「…っ…君が…後悔していないなら…それでいいんじゃないの?」



そっぽを向いたルックに、ティアはクスリと笑った。


ティア「……アリガト…」



「ちょっと小さすぎたかな?」と不安に思ったが、ルックがこっちを向かずに「 別に」と応えてくれたから…。ちゃんと届いたんだ…と、小さく安堵した。





★☆★☆★☆



その後、スッキリ顔のティアはその後の会議にもキチンと出席した。



会議は長時間と続き、大体の事は何とか決まっていった。そして、長時間の会議もお開きになったのだが、 ただ一つ、大きな問題を残して……。





部屋へと続く廊下を一人の少年が歩いていた。その後ろから、赤い胴着を身に纏った少年が走って来る。



ティア「ルック!!」


ルック「…………」



ティア「…ぅえっ?!ちょっ、ちょっと!!ルック?!」



ルックと呼ばれた少年は、赤い胴着の少年を無視し、スタスタと足早に歩く。
そんなルックに必死に追いつこうと駆け出す。すると、ルックは漸く歩みを止め、首だけ振り返った。


ルック「‥何?」

ティア「‥ぇ?…ん、と…」


短くもけして冷たくはない声音に、ティアはもごつかせた。


ルック「‥はぁ‥」


ルックが小さく溜め息を吐くと、壁に背を預け前髪をくしゃりと握った。勿論眉間に濃いシワを寄せて‥‥。

そんな様子でさえ、どこか一枚の絵になる…。そうボンヤリと思っていると、再度無愛想な声が降ってくる。



ルック「だから何?用が有って来たんだろ?」


そこで本来の目的を思い出す。


ティア「ああ…うん。そうなんだけど……」


そして、又、沈黙…。


ルック「…………」



ルックは何を思ったのか、小さく溜め息を溢すと、ティアの傍まで歩む。

その動作を又ボンヤリと見詰めていると、後三歩程で密着出来そうな距離でそれは止まった。
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