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promise

『人は云う。
約束は不安定で曖昧だと。』

『しかし、また人は云う。 今度は、約束は一種の繋がりであると。』



「…なにそれ?何の本なのさ」

呆れている彼は本を音読している少年に問い掛けた。すると、本の活字を目で追っていた少年は顔を上げた。


「人間の不可思議」

少年はそう答えるとまた、本に視線を落とした。

「…は?なに不可思議って;;僕にとったらその本自体が不可思議だよ…」

落胆する彼に、少年は苦笑した。


「意外と面白いと思わない?」

「…どこが?」

「人間の心理vv」

「……………」


にこやかな少年とはうって変わって、彼は言葉に詰まらせた。



『約束を交わすことは自惚れである。しかし、交わさぬ事は非道でもある。』


「なんてとこも面白いよね!」

「…どこが?寧ろ、矛盾してるようにも思えるけど…」

「ん~…そうかもね。でも、交わすのと交わさないのとではどちらがいいのか、って考えたりしない?」

「…しない」


あっさりと答えた彼に、少年は溜め息を吐いた。

「はぁ…;;ねぇ、ルック…キミは人間的感情がないの!?」

半分切れての状態の少年に、彼ールックは頬を掻いた。


「必要最低限の感情はある。けど、キミの読んでるその意味不明な本には共感出来ない」


淡々と話すルックに、今度は少年が落胆した。


「…けっこー面白いと思ったんだけどなぁ…」

そう愚痴る少年の頭をバンダナごと撫でた。


「ならティアは交わすのと交わさないのとではどっちがいいのさ?」


ルックの質問に、少年ーティアは考え込みはじめた。


「…交わす方がいい気がするんだけど、交わさない方もいい気がするんだよねぇ…」

「どっち?」


先を促すルックに、ティアは頭を抱えた。

そんなティアを優しく見つめていたルックは、ふとある事を思い出した。



「そういえば……、誓いの契りもあれも一種の約束を交わす事だよね?」

ルックのその言葉に、ティアは動きを止めた。


「…そぅいえば‥そうだよね!じゃあやっぱ交わすが正解!?」

「…なわけないと思うけど……」


呆れてしまったルックに、ティアは頬を膨らませた。


「じゃあどっちが正解なのさっ!」

「…そんなにムキになるなよ;;」

「ムキになんかなってないよ!」

「なってるだろ…」

「なってないってばっっっ!!」


ティアは腰掛けていたベッドの布団を奪うと、それにくるまってしまった。
それを見ていたルックは溜め息を吐くと、その膨らみに触れた。
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