指輪
セツナ「…じゃあ、その人とルックの関係って判りますか?」
そう切り出したセツナに、さっきまでの過去を懐かしみ穏やかな笑いは一瞬で消え去った……。
セツナ「え…っと?あの…、どうかしたんですか??;;」
突然の沈黙と、二人の変わり方に僅かながらに焦りを感じた。
戸惑いながらも声を掛けてみると、フリックが静かな眼差しをジョッキを握る自身の手に注ぎつつ口を開く。
フリック「…それ…、アイツにも訊いたのか?」
そう静かな口調で訪ねられ、セツナは一瞬戸惑った。
セツナ「…アイツ?って…あぁ、ルックの事ですか?はい。昨夜、偶々ルックに逢っただけなんですがね。真相がどうしても知りたかったんで、訊いてみましたよ。でも……」
フリック「答えてくれなかったんだろ?」
セツナ「ぇ?なんで…」
セツナが最後まで言い終える前に、フリックに先に結末を言われてしまい、セツナは驚きに目を見開いた。
その反応にフリック達は苦笑した。
フリック「アイツが答えるわけねーよ。なぁ、ビクトール」
断言したフリック。
同意を求められたビクトールは頷いた。
熊「あぁ。ルックがリーダーの話を自分からする訳がねーよ」
又しても断言する。
セツナ「…何でですか?」
“ 話す訳がない ”それが引っ掛かったセツナは、首を傾げた。
セツナのその疑問は、ビクトールからではなく、フリックから返された。
フリック「ルックとリーダーは互いに信頼し合ってはいるが、その反面、リーダーはルックと距離を置こうとしてたんだよ。それが結果、終結と共にリーダーは旅に出た」
淡々と――まるで絵本でも読み聞かせているかの様に喋るフリックは、声とは裏腹にどこか寂しげだった…。
熊「旅に出たのも、真の紋章を制御出来る様にだし。それを受け入れたのも他ならぬルック自身だ」
何時の間に頼んだのか、新しいビールを呑み始めていたビクトールはそう語った。
セツナはただ黙って二人の話に耳を傾けた。
フリック「…俺達は、ルックとリーダーがどんな話をしたのか、その時の約束事だって有ったのかも、その内容だって何も知らねぇよ。だがな…。その話題については多分…触れられたくは無いんだって事位は判る。だからこそお前に訊かれた時、答えなかったんじゃねぇのか?」
セツナ「――!?………」
フリックに言われて初めて気が付いたセツナは、自身がしてしまった昨夜の失態を苦く思った。
フリック「ルックの奴は知っての通り、自分から話すタイプじゃないしな。それに加え、リーダーも然う然う悩みを打ち明ける訳じゃなかったからな。どんな理由があっても、きっとアイツ等は二人だけで解決しちまうんだよ」
熊「解決出来れば、だがな。今回の事は…どうやらまだ解決の糸口すら掴めてねぇみてぇだがな」
セツナ「……………」
酒を煽りながらフリックの言葉に続く
ビクトールの言葉は、深い事情を知る人間の感想に似ていた。
否…、似てるんじゃない。
彼もフリックもちゃんと知ってる。
深味のある二人の科白に確信する。
僕には話すまいとしているこの二人の
言動…。それがどうして僕に知られては不味いのか…、理由は判らないが、何かを必死に隠そうとしている――…。
フリック「とまぁ、これは俺の考えなんだがな。事実がどうなのかは、実は知らねーんだ!憶測でものを語るのは良くないんだがな、しかしまぁ…、第三者目線で言わせて貰ったっつー感じだな」
と、苦笑しながら頭を掻いたフリックは、セツナを見据えた。
フリック「……二人の事は知ってるが、深くは知らない。悪いが、俺達がお前に教えてやれるのはここまでだ」
締め括りも静かで、それ以上を訊く事は出来ないと悟ったセツナは、小さく笑った――……。
セツナ「…そう、ですよね!話してくれなければ、流石に判りませんよね。それに、話さないって事はあまり訊かれたくないって事の意思表示みたいなものだって、じいちゃんが言ってましたし!それなのに無理に訊くのは良くないですよね!」
熊「そーゆーこった!!まぁ、あんまし気にすんなよ!」
セツナ「そうですね!さぁて、気持ちの悪いモヤモヤも晴れた事だし、お腹も空いてきたし、お昼御飯にしーよおーと♪」
明るい何時ものテンションで話題を終わらせたセツナは、真剣な話に飲む事を忘れられたオレンジジュースに口を付けた。それは氷が溶け、薄まってしまっていたが、今は特にそれも気にならず、一気に飲み干すと側を歩いていた店員を呼び止めた。
セツナ「あ!すみませーん♪オレンジジュースお代わりと、あとオニギリと唐揚げと枝豆とー…焼き鳥もお願いしまぁす♪♪勘定は、この二人にツケといて下さぁい!」
店員「はーい♪♪」
フリック「?!ち、ちょっ…、セツナ!!おまっ、何言ってんだよ!!」
熊「オニギリとジュースだけにしとけよっ!!どんだけ食う気だよっ?俺等の財布が空になるだろーがよっ!!」
青い人と熊は顔を青褪めさせ、アタフタと慌てふためき、注目されるのも気に止めず、心の限り叫んだのだった――…。
そう切り出したセツナに、さっきまでの過去を懐かしみ穏やかな笑いは一瞬で消え去った……。
セツナ「え…っと?あの…、どうかしたんですか??;;」
突然の沈黙と、二人の変わり方に僅かながらに焦りを感じた。
戸惑いながらも声を掛けてみると、フリックが静かな眼差しをジョッキを握る自身の手に注ぎつつ口を開く。
フリック「…それ…、アイツにも訊いたのか?」
そう静かな口調で訪ねられ、セツナは一瞬戸惑った。
セツナ「…アイツ?って…あぁ、ルックの事ですか?はい。昨夜、偶々ルックに逢っただけなんですがね。真相がどうしても知りたかったんで、訊いてみましたよ。でも……」
フリック「答えてくれなかったんだろ?」
セツナ「ぇ?なんで…」
セツナが最後まで言い終える前に、フリックに先に結末を言われてしまい、セツナは驚きに目を見開いた。
その反応にフリック達は苦笑した。
フリック「アイツが答えるわけねーよ。なぁ、ビクトール」
断言したフリック。
同意を求められたビクトールは頷いた。
熊「あぁ。ルックがリーダーの話を自分からする訳がねーよ」
又しても断言する。
セツナ「…何でですか?」
“ 話す訳がない ”それが引っ掛かったセツナは、首を傾げた。
セツナのその疑問は、ビクトールからではなく、フリックから返された。
フリック「ルックとリーダーは互いに信頼し合ってはいるが、その反面、リーダーはルックと距離を置こうとしてたんだよ。それが結果、終結と共にリーダーは旅に出た」
淡々と――まるで絵本でも読み聞かせているかの様に喋るフリックは、声とは裏腹にどこか寂しげだった…。
熊「旅に出たのも、真の紋章を制御出来る様にだし。それを受け入れたのも他ならぬルック自身だ」
何時の間に頼んだのか、新しいビールを呑み始めていたビクトールはそう語った。
セツナはただ黙って二人の話に耳を傾けた。
フリック「…俺達は、ルックとリーダーがどんな話をしたのか、その時の約束事だって有ったのかも、その内容だって何も知らねぇよ。だがな…。その話題については多分…触れられたくは無いんだって事位は判る。だからこそお前に訊かれた時、答えなかったんじゃねぇのか?」
セツナ「――!?………」
フリックに言われて初めて気が付いたセツナは、自身がしてしまった昨夜の失態を苦く思った。
フリック「ルックの奴は知っての通り、自分から話すタイプじゃないしな。それに加え、リーダーも然う然う悩みを打ち明ける訳じゃなかったからな。どんな理由があっても、きっとアイツ等は二人だけで解決しちまうんだよ」
熊「解決出来れば、だがな。今回の事は…どうやらまだ解決の糸口すら掴めてねぇみてぇだがな」
セツナ「……………」
酒を煽りながらフリックの言葉に続く
ビクトールの言葉は、深い事情を知る人間の感想に似ていた。
否…、似てるんじゃない。
彼もフリックもちゃんと知ってる。
深味のある二人の科白に確信する。
僕には話すまいとしているこの二人の
言動…。それがどうして僕に知られては不味いのか…、理由は判らないが、何かを必死に隠そうとしている――…。
フリック「とまぁ、これは俺の考えなんだがな。事実がどうなのかは、実は知らねーんだ!憶測でものを語るのは良くないんだがな、しかしまぁ…、第三者目線で言わせて貰ったっつー感じだな」
と、苦笑しながら頭を掻いたフリックは、セツナを見据えた。
フリック「……二人の事は知ってるが、深くは知らない。悪いが、俺達がお前に教えてやれるのはここまでだ」
締め括りも静かで、それ以上を訊く事は出来ないと悟ったセツナは、小さく笑った――……。
セツナ「…そう、ですよね!話してくれなければ、流石に判りませんよね。それに、話さないって事はあまり訊かれたくないって事の意思表示みたいなものだって、じいちゃんが言ってましたし!それなのに無理に訊くのは良くないですよね!」
熊「そーゆーこった!!まぁ、あんまし気にすんなよ!」
セツナ「そうですね!さぁて、気持ちの悪いモヤモヤも晴れた事だし、お腹も空いてきたし、お昼御飯にしーよおーと♪」
明るい何時ものテンションで話題を終わらせたセツナは、真剣な話に飲む事を忘れられたオレンジジュースに口を付けた。それは氷が溶け、薄まってしまっていたが、今は特にそれも気にならず、一気に飲み干すと側を歩いていた店員を呼び止めた。
セツナ「あ!すみませーん♪オレンジジュースお代わりと、あとオニギリと唐揚げと枝豆とー…焼き鳥もお願いしまぁす♪♪勘定は、この二人にツケといて下さぁい!」
店員「はーい♪♪」
フリック「?!ち、ちょっ…、セツナ!!おまっ、何言ってんだよ!!」
熊「オニギリとジュースだけにしとけよっ!!どんだけ食う気だよっ?俺等の財布が空になるだろーがよっ!!」
青い人と熊は顔を青褪めさせ、アタフタと慌てふためき、注目されるのも気に止めず、心の限り叫んだのだった――…。