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指輪

一部始終を話終えると同時に、ナナミ達は口を揃えて……



『変だ』


と感想を洩らし、顔を青褪めさせた。

そんな仲間達の反応を見て、セツナも力強く頷いた。


セツナ「…ですよね。僕にも何がどうなってんのかよく判らなくて…」


そう言いながら、不安げな仲間達の様子をセツナは見詰めていると、他とは違う反応を示している奴が居るのに気付いた。
そこでセツナは、徐に彼に近付き、彼の顔を覗き込んだ。


セツナ「?…シーナ、どうかしたの?」


セツナが声を掛けても、シーナはジッと石板を見据えていた。しかし暫くすると、直ぐに視線をセツナに向けた。


シーナ「…ルックが見てたのって、この石板だよな?」


セツナ「え?…あぁ、うん。そう。その石板だよ」


そう答えたセツナから瞳を移動し、シーナは又石板を見た。
それに釣られる様子に、セツナも石板に目を向けると、さっきまで口々に思った事を口にしていた仲間達も二人と同様、石板に目を向けた。


シーナ「どの辺り見てたか判るか?」


セツナ「??え…っと。確か……」


セツナは先程の光景を思い返した。


セツナ「…上…の方だったよ?」


指を指しながらそう告げると、シーナはセツナが指差す方を見詰めていた。


シーナ「上?上って…」


“ 天魁星 ”

の文字。


ナナミ「…?別に変わったとこはないよね…」


フリック「…あぁ。普通の石板だな…」


ビクトール「?」


当然の反応を示す仲間達だが、やはりシーナだけは違った。


セツナ「?…シーナ??さっきからどうしたのさ?」


理解不能。
そんな言葉が全面に出ているセツナに気付くと、シーナはいつもの笑みを浮かべた。


シーナ「ん、いや!なんでもねぇよ!」


フリック「…は?なんでもない…って;なんか判ったんじゃあねーのかよ??」


セツナ同様に、困惑気味に首を傾げたフリックは、シーナに訊き返すとシーナは嫌がる風もなく、案外すんなりと答えた。


シーナ「…上の方を見てみろよ」


フリック「上?上って……」


一斉に視線が集中した。


ナナミ「なに?なに??」


シーナ「…わかんねぇ?ここ。」


シーナは皆が判る様に石板に近付き、く指を差した。すると――


フリック「…あっ!」


ビクトール「…成る程な…」


フリック、ビクトールは納得した。
しかし、セツナとナナミは首を傾げるばかり…。


ナナミ「何?何なのっ??」


痺れを切らしたナナミは、判りやすい説明を求めた。


シーナ「天魁星」


短く尚且つ、簡潔に告げられた言葉に、セツナは不思議そうにシーナを見据えて更に説明を求める。



セツナ「天魁星…?それが何か??」


シーナ「天魁星はな、かの英雄の宿星でもあるんだよ」


「?」


フリック「まぁ、そう言う事だ」


苦笑しながら説明するシーナ達に、セツナとナナミは未だに納得出来ず、ひたすらに困惑し続け、更に疑問を一つ増やした。

彼等は『かの英雄』を語る時の、その表情は懐かしさからか、穏やかに微笑んでいる。しかし、石板を見詰める彼等の眸には暗が掛かり、時折…哀しげに揺れるのだった…。
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