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指輪

着々と仲間が集まる中、僕は石板に目を向けた。


“ 天魁星 ”


僕の目はそこで止まったまま、動かない。


「………」


今何処に……。
何をしているの…?


不安な気持ちのまま、今までを過ごしてきたが、まさか自分が…こんなにも弱いなんて思いもよらなかった…。


「――キミは……」

泣き出しそうな程、彼との思い出に浸っていると…


「ルック!!」


突如、大声で名前を呼ばれ、柄にもなく肩が震えた。恐怖からではなく、歓喜から…。


まさか…、


「――っ、…ティ…ア…?」


恐る恐る振り返ると、其所には……。


「ルック!なにしてんの?!今日は遠征に行くから、って言ったじゃんかぁ!」


頬を膨らまし、走って来るのは…、この軍のリーダーの………


ルック「…、……セツ…ナ…」


セツナはいつもと違うルックを見据え、小首を傾げた。

セツナ「…なに?どうしたのさ??」


珍しく心配そうにするセツナに対し、ルックは瞳を反らし、気付かれない様に吐息した。そして――……、


ルック「…何でもないよ。遠征…だっけ?忘れてた。支度してくるから少し待ってて」


淡々と早口に告げたルックは、早々に移転魔法を唱えると淡い光と共に消えた。



セツナ「…ルック?なに?なに??何がどーしたの??;」


ルックの反応にただ困惑し立ち尽くしていたセツナの元に、集団が近付いて来た。


「――?セツナ、どうしたんだ?」


「何してるの?ルック君は??」


フリック、ナナミを筆頭に、ゾロゾロと此方に向かって来るのを困惑した眼差しで見詰めた…。


セツナ「…な、ナナミぃ…;フリックぅ!!;」


情けない声を出すリーダーに、仲間達は唖然とした。


「…な、なにっ?どうしたんだ!?」

「何かあったの?!ねぇ、セツナ!」

「何だ?;いつもの病気の発作か??」


フリックとナナミが心配してくれる中、ビクトールだけが変な心配をした。


セツナ「…熊。後で覚えてろっ。それがですねぇ…。僕にもよく判らないんですが…、ルックの様子がいつもと違くて…;」



セツナは先程の出来事を話して訊かせた――。
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