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指輪

『――約束するから‥‥。いつか‥必ず、此処へ‥‥。ルックの元に帰って来るから‥‥』


だから待って居て欲しい――と、彼は切なげな眼差しで僕に言った‥。
いつ果たされるか判らないのに。なのに‥、僕は彼の帰りを待つ事を決心した。

何年‥何百年‥何千年‥‥何万年掛かるか判らない儚い約束が果たされる時を、僕はひたすら待ち続けた――‥‥。




アイツの心に酷い傷を負わせたあの‥、忌まわしい戦争が終結し、やっと赤月帝国にも平和が訪れ、今はトラン共和国と改名し、全ての人々に笑顔が戻った。

――やっと終わった…。そう安堵したのも束の間。別の国で激しい戦争が始まっていた。

運悪く、この僕もまた宿星として、この戦争に介入する事にもなり、忌々しさに軽く舌打ちしたのを覚えてる。


今度は都市同盟とハイランドとの激しい攻防戦。
この戦争には既に、青と熊、そして軍師見習いが揃っていた。見慣れた顔触れに、溜め息が出つつも、我が師の手前、仕方無しに新たなリーダーに宜しくとだけ伝えた。

しかし、僕の内心は不安で一杯だった。宛てのない旅に出たアイツが、いつこの地に足を踏み入れるかが不安で堪らなかった。

彼にはまだ、戦争には近付いて欲しくない――。

その一心だった…。
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