はじめて君としゃべった
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太陽が人々の真上に昇る頃、にこは里の中心から少し外れた所にいた。
遊具がまばらに置かれたそこはこの里の子供たちの遊び場だが、今は誰もいない。
昼時だから皆家にいるのだろう。
にこはどんな友達が出来るのか期待に胸をふくらませながら待つことにした。
風もなく穏やかな時間。
ブランコを漕ぐとそれは木の葉のものと何も変わらず、にこは安心した。
空を仰ぐと伝書用の鷹が飛んでいる。
ここだけ見ると木の葉の様だが、視線を外すと見慣れぬ景色にやはりここが外国なのだと実感する。
少しすると遠くの家の方から賑やかな声が聞こえてきた。
―――――きた!
里の子たちは競争しながら広場の中へ入って来ると、サッカーを始めた。
学年が違うのか、みんなにこより少し大きい。
何度も頭の中でイメージした、大丈夫。
緊張しながらブランコを降りたにこが大きく叫ぶ。
「いーーーれーーーーて!!!」
初めて聞くその声にその場にいた全員の動きが止まり、こちらを見る。
10人ほど居るだろか。
断られたらどうしようか。
乗り手が居なくなったブランコが背後で音を立てて揺れている。
なぜかやたら大きく感じるその音を聞きながら、にこはここ最近で一番の緊張に手に汗をかいていた。
「「「いーーーいーーーーーよーーーーー!!!!!!!」」」
受け入れてくれた!
成功だ!
これでこの子達とは友達だ!
これくらいの歳の子はこんな事ですぐに友達になれる。
羨ましい限りである。
にこは子供たちの方で駆け寄った。
「あんた見ない顔だけど、どこんちの子?」
金色の髪をお下げにした勝ち気そうな女の子が話しかけてくる。
「あたしはにこ!
ひのくに木ノ葉隠れの、ふたつ にこだよ!
おじいちゃんおばあちゃんのおしごとで、砂の里にきたの!
……おねえちゃんは?」
「へぇ……木の葉の……。あたしはテマリ。こっちは弟のカンクロウだ。よろしくな!」
少女はテマリと名乗り隣にいた弟も紹介した。
「木の葉のこどもがおれたちの里にくるなんてめずらしいじゃん。テマリ、こいつチビだけど我愛羅とおなじくらいかな。」
カンクロウは珍しいものを見るようにしげしげとにこを観察した。
木の葉って火の国だよな?―
我愛羅とおなじくらい―
忍なの?―
木の葉ってどんなところ?―
ぼくのなまえは―
自分を取り囲むようにギャラリーが出来、皆思い思い喋りながら兄弟とのやり取りを見ていた。
にこは自分一人に注がれる注目に何とも言えない居心地の悪さを覚えた。
我愛羅というのは誰だろう……
この中の人なのだろうか……
「ほらみんな、にこがこわがってるだろ。にこは小さいからあたしと同じチームだ!木の葉にもサッカーはあるのか?」
気恥しさから小さくなっていたにこを見兼ねて、テマリが助け舟を出してくれた。
その一言でにこはテマリのことが好きになった。軽率かもしれないが、一人っ子の彼女にとって「姉」という存在は憧れなのだ。
テマリはこの国の風の様にカラッとしていて気持ちが良い。
「うん!みんなでよくあそぶよ!」
「そうか、なら大丈夫だな!よし!みんないくぞ!!!」
テマリの掛け声と共に子供たちは広場に散った。
―さっき、ききそびれちゃったけど我愛羅ってだれなんだろう……
にこはカンクロウが言った一言が気になったが、今は目の前の遊びに全力になる事の方が大事だった。