キミモノガタリ
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「クロモジさん、そろそろですね。」
「……あぁ。」
クロモジ、にこの祖父は少し緊張していた。
警護に就いていた中忍に声を掛けられ気取られないよう返事をしたが、長年連れ添っている彼の妻には気付かれていた。
忍を引退したとは言え、昔は砂隠れとも戦ったこともある。都には忍者が少ないため気が楽だったがこれから行く所はそうではない。
クロモジは国外にも名が通っていた為、彼の事を知る者に出会った時のことを考えると少し気が重くなった。
入構に関しては事前に書簡を送っているし、行商を初めてから何度か訪れてはいるがやはり「忍」は抜けないのだ。
「うわあーーーーーー、おっきなお山ねえ」
砂の里をぐるりと囲む天然の壁。それは顔岩の崖より低いか高いか、小さなにこにはわからなかった。
「にこちゃん、ここから先が砂隠れの里だよ。」
驚いた声を出したにこに先程の中忍が教える。
「あうんの門はどこ??」
「にこちゃん、この里には門は無いんだ。その代わり見てごらん。あの狭くなっている通路が門の代わりなんだよ。」
中忍が指を指したその先には里内へ繋がる道が、そしてこちら側を監視するように壁面には守備隊がいる。
「今は同盟だけれど昔はここに潜入するの、なかなか大変だったわよねぇ」
現役の頃を思い出しながらにこの祖母は懐かしいわねとカラカラと笑った。
「あぁ、今日は堂々と砂隠れに入れるからな」
自分に言い聞かせるようにクロモジは答えると、里へと足を進めた。
砂漠に砂が舞う。
ここから始まる
長い長い
キミモノガタリ。