キミモノガタリ
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「にこ、見てごらん。」
「うわぁ……!」
―広い……
祖父に促されにこが身をずらすと、馬の頭の先には果てしなく広がる風の国の砂漠が広がっていた。
地平線の向こうまでキラキラと光る砂が続く。
山に囲まれた木の葉で育ったにこは、こんなに開けた場所には来たことがなかった。
にこの乗る馬車は商隊の先頭にいた。
数百メートル進めばそこから先はにこにとって見知らぬ世界
「よし、ここで少し休憩しよう!」
にこの祖父が商隊に声をかける。
早朝の澄んだ空気が漂う火の国の森の最終地で一行は足を止めしばし時間をとることにした。
ここから先は馬車の荷台が進まなくなる為、車輪にソリを着け馬にも休憩させる。
「にこちゃん!!」
馬車が停ると同時ににこは御者台から勢いよく飛び降りるのに祖母はハラハラした。
「だいじょうぶ!」
元気よく祖母の方を見上げると、にこは一目散に砂漠へと駆け出した。
よく晴れた冬の空。
砂漠の砂の色と空のコントラストが美しい。
にこの丸くもちもちした頬を風が優しく撫でていく。
「うわぁ……」
にこが足元の砂に足を入れると、サラサラと心地よく足が沈んでいく。
木の葉の公園は毎日遊びに行くが、公園の砂場とは全く異なる感触ににこは気持ちが舞い上がった。
手袋を脱ぎ、次は手を入れてみる。
手のひらのシワに、爪の間に、砂が入り込んでいく。
にこは、まるで砂に自分が何者なのかチェックされている様な妙な気持ちになった。
馬車にソリを取り付け休憩も終わった一行は風の国の都を目指した。