はじめて君としゃべった
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公園から全速力で駆けて来たにこは立ち止まった。
さすがに疲れてしまった。
歩くのも億劫になって来た。
祖父が迎えに来てくれたらいいのになあ
そう思いながらふと道の反対側を見ると、にこと同じくらいの歳の男の子がベンチに座りながらこちらを見ていた。
「あ、あのっ……だいじょうぶ?」
息が上がり今にも座り込みそうなにこに男の子は遠慮がちに、だが心配そうに話しかけた。
―あたらしいともだちだ!
瞬間的にそう思った。
今しがたまで疲れていたのに、そんな事は忘れてしまう。
「こーんにーちはー!」
きっと彼とも仲良くなれる。
公園でたくさん友達が出来た事で、にこは自信に満ちていたが、それだけではなかった。
偶然的に会った目の前の男の子ににこは強烈に興味を持っていた。
挨拶をしながら小走りで近づくと、そのまま隣に座る。
目の周りにカンクロウの様な隈取りと、にこの瞳とよく似た色の髪が印象的だ。
一方男の子の方は大層驚いた様子で、にこの事を凝視していた。
と言うより、固まっていた。
「はーーー!つかれちゃった!
ねぇなにしてるの?
おうち、かえらないの?」
ようやく座れた。
最後に座っていたのは昼前のブランコだろうか。
自分の体重を支えていた脚が楽になり、にこは開放感を楽しんだ。
「……だれ?」
状況を飲み込めていない様子の男の子は、にこに恐る恐る名前を聞いた。
「あたしはにこ!
木の葉隠れの里からきたの!
ふたつ にこ!
木の葉ってしってる?
火の国にあるんだよ!
ここよりもおひさまのじかんがみじかいの!」
昼間、公園で里の子供達へしたのと同じように自己紹介をし、先程覚えたことを矢継ぎ早に話す。
男の子の顔を覗き込んだ。
「みどり……あお?
きれいな目のいろだね!
それと髪はにことおんなじ!
ねぇ、おなまえは?」
「ぼ、ぼくは、ぼくは…………
ぼくは………………
我愛羅……」
我愛羅と名乗った男の子はおどおどと答えた。
――我愛羅!!!
このこが我愛羅!!!
まるで頭の中にぱあっと光りがさした様だった。
遊びに夢中になってテマリとカンクロウに聞くのを忘れてしまった人の名前を思い出す。
驚いた。
普段あまり細かい事を気にしないにこが、珍しく気になっていた人が目の前にいる。
なぜだろう。
気持ちが高揚して、目がキラキラと輝き自然と笑顔になる。
次の行動はにこ自身何故そうしたのかわからなかった。
だが、とても自然だった。
「我愛羅!あいたかった!!」
はじめて君としゃべった。
君は笑っていた。