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小さなニースの物語

「しかし、ずいぶんデカい魚を釣ったもんじゃのう」

ニースが泣き止んだ頃に、そう話しかけられた。

「トロワおばちゃんが釣った」

「お姉さんだからね?ニース」

「なんと、2人は親子じゃなかったのか」

おじいちゃんが勘違いするのも無理はない。2人の顔は親子のように似ていた。

「助けてくれたお礼に、このお魚あげる」

ニースの申し出に、おじいちゃんは首を振って断る。

「こんなデカい魚はジジイ1人じゃ食いきれんわ」

「じゃあ、、、」

何かお礼をしたいニースは必死に考える。

「トロワおば、、、お姉さんがのう、今度ワシの村に来た時に、商品を特価で売ってくれるそうじゃ。それで充分じゃよ」

納得はできなかったが、子供のニースには自分に出来る事は思い浮かばなかった。

そのうち、ニースはおじいちゃんの腰にある片手剣に興味を持った。

「私も戦えるようになったら、自分の命を、トロワおばちゃんを守れるかもしれない」

子供の単純な発想だ。

そんなニースを見たおじいちゃんが言った。

「お嬢ちゃんがもう少し大きくなったらワシの所へ来なさい。」

言葉の意味はよく分からなかったが、ニースはおじいちゃんと数年後に会う事を約束して別れた。
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