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小さなニースの物語

そこには、シャキッとはしているが、どこから見ても『おじいちゃん』と呼ばれる年齢の男性が立っていた。

「なんじゃ、助けに来たのに不安そうな顔じゃのう」

当たり前だ。トロワは勝手に勇者が現れたと思っていた。

まさか、おじいちゃんとは。

「これでも昔はバリバリの冒険者だったんじゃぞ!」

そう言って片手剣を構える。

おじいちゃんでも、あたしよりは戦えるか。そう思い込もうとした。というか、おじいちゃんにどうにかしてもらうしかない。

「勇者サンシード以来、この地に代々伝わりし伝説の剣『リズヴィット』の威力を思い知るが良い」

セリフだけは勇者っぽい。

え?伝説の剣?まさか本物の勇者!?

「ま、これはレプリカじゃがのう」

イラッとした。笑えない冗談だ。

長々と喋っていたせいで、おじいちゃんはグランパの奇襲を受けてしまう。

この人は大丈夫?今のうちに逃げた方が良いのでは?

トロワはニースの側に近寄る。

しかし、彼はおじいちゃんとは思えない身のこなしで危なげなくグランパを倒す。


「お嬢ちゃん怪我はないか?もう大丈夫じゃ。」

安心したニースは泣き出してしまう。

トロワも今頃になって腰が抜けて動けない。

声の主がおじいちゃんだと知った時は不安になり、奇襲を受けた時には彼を置いて逃げようととさえ思ったが、そのおじいちゃんにニースとトロワは命を救われた。
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