爆心地の心地良さ
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夕日が沈む帰り道。
転勤と聞いてからは新しいヒーローと仲良くできるか不安だったが、休日やご飯に誘ってもらえてるということは少しは歓迎されてるのではないだろうか。
爆豪さんとご飯に行ってからは例の事件の事でとやかく言われることは無くなった。
時効と捉えていいのか、今は誰一人口にしないし、この間は事件を解決したお陰で信頼も取り戻せた気がする。
『本当にありがとうございます』
「…急にどうした」
『何となく言いたくなっただけです』
「そーかよ」
ほんとにポロッと本音が出た。
────────────────────
爆豪さんの自宅に戻ると、お昼のように彼の手伝いをした。
今夜はカレーらしい。ルーの箱には鬼辛と書かれている。初めて見た…。
私辛すぎるの苦手なのですが…。
いざ食べようと盛り付けられたお皿には美味しそうなカレーが乗っているが、これは鬼辛。
とってもいい匂いだけど、鬼辛。
躊躇してるところにコトっと机に蜂蜜が置かれた。
「調節して食え」
『あっ、ありがとうございます!』
置かれたのは新品の蜂蜜。爆豪さんは辛党だからこんなの家にあるはずがない。
『もしかして買ってくださったんですか…?』
「…っ!だったらなんだよ」
『わざわざすみません!』
「…ちっちぇ事考えると禿げんぞ」
『なっ!禿げませんよ!』
「うっせ、食えよ」
鍋2個洗うのめんどいんだよと、彼は言った。
ちっちゃい事考えると禿げる。
私がコンビニでアルバイトをしていた時に店長によく言った言葉だった。懐かしい。
人に言われたことがないからとても新鮮だ。
社会人になってからは小さいことも気にしなくてはいけなくなった。当時学生だったから大人の事情も知らずポロッと言っていた言葉がこんなにも重いなんて知らなかった。
また大人になってしまったんだなと感じながら蜂蜜を1周かけた。カレーはまだまだ辛かった。
────────────────────
ご飯も食べて、お皿も洗い終え、お酒を飲もうかと思ったら、彼の携帯が鳴り響いた。
「クソが…!」
電話を終えた彼がヴィランだと、言った。
幸いお酒は飲んでない。
「すぐ帰ってくっからてめぇはここに居ろ」
『わっ分かりました!』
素早く身支度を終えヒーロースーツを着た彼は当たり前だがヒーローだ。
休日に呼び出されるほど、やばいのだろうか。
もし怪我をしてしまったら…命を落としてしまったら…。
ヒーローの家族はこんなにも辛い気持ちで見送るのか…。
「行ってくる」
『行ってらっしゃい…!お気をつけてください…!』
「俺を誰だと思ってんだよ」
『ヒーロー…爆心地です』
「そんなシラケたツラしてっと帰ってこねーぞ」
『ご冗談を…!絶対帰ってきてください!』
「…笑え、辛い時は笑えばなんとかなる」
拍子抜けだ。爆豪さんの口からそんな適当な言葉が出てくるなんて…。
適当の様で奥が深い。私も警察なのに…ヒーローの戦場なんて何度も見ているのに…。
見送るんだから笑顔で。絶対帰ってくる。爆心地は強い。
『ごめんなさい…行ってらっしゃい!』
「あぁ、行ってくる」
見送った彼の背中はとってもとってもかっこよかった。
彼を見送った後、人の家でやることも無く目の前のお酒に口を付けたが全く味がしなかった。
飲みなれたビールは乾杯を知らずに空き缶になる。
決して彼を気にしてない訳では無いが、どうやら少し酔ってしまったみたいで眠くなってきた。
テレビではヴィランの影響で電車が止まってると報道されている。もう寝てしまおうか…。
爆豪さんなら呆れた顔をして泊めてくれるかな…。
微睡みと格闘してると、玄関が開く音がした。
「何寝とんだ」
『すっ、すいません』
おかえりなさい。
嬉しくて頬が上がった。
おかえりなさい。私たちのヒーロー。
転勤と聞いてからは新しいヒーローと仲良くできるか不安だったが、休日やご飯に誘ってもらえてるということは少しは歓迎されてるのではないだろうか。
爆豪さんとご飯に行ってからは例の事件の事でとやかく言われることは無くなった。
時効と捉えていいのか、今は誰一人口にしないし、この間は事件を解決したお陰で信頼も取り戻せた気がする。
『本当にありがとうございます』
「…急にどうした」
『何となく言いたくなっただけです』
「そーかよ」
ほんとにポロッと本音が出た。
────────────────────
爆豪さんの自宅に戻ると、お昼のように彼の手伝いをした。
今夜はカレーらしい。ルーの箱には鬼辛と書かれている。初めて見た…。
私辛すぎるの苦手なのですが…。
いざ食べようと盛り付けられたお皿には美味しそうなカレーが乗っているが、これは鬼辛。
とってもいい匂いだけど、鬼辛。
躊躇してるところにコトっと机に蜂蜜が置かれた。
「調節して食え」
『あっ、ありがとうございます!』
置かれたのは新品の蜂蜜。爆豪さんは辛党だからこんなの家にあるはずがない。
『もしかして買ってくださったんですか…?』
「…っ!だったらなんだよ」
『わざわざすみません!』
「…ちっちぇ事考えると禿げんぞ」
『なっ!禿げませんよ!』
「うっせ、食えよ」
鍋2個洗うのめんどいんだよと、彼は言った。
ちっちゃい事考えると禿げる。
私がコンビニでアルバイトをしていた時に店長によく言った言葉だった。懐かしい。
人に言われたことがないからとても新鮮だ。
社会人になってからは小さいことも気にしなくてはいけなくなった。当時学生だったから大人の事情も知らずポロッと言っていた言葉がこんなにも重いなんて知らなかった。
また大人になってしまったんだなと感じながら蜂蜜を1周かけた。カレーはまだまだ辛かった。
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ご飯も食べて、お皿も洗い終え、お酒を飲もうかと思ったら、彼の携帯が鳴り響いた。
「クソが…!」
電話を終えた彼がヴィランだと、言った。
幸いお酒は飲んでない。
「すぐ帰ってくっからてめぇはここに居ろ」
『わっ分かりました!』
素早く身支度を終えヒーロースーツを着た彼は当たり前だがヒーローだ。
休日に呼び出されるほど、やばいのだろうか。
もし怪我をしてしまったら…命を落としてしまったら…。
ヒーローの家族はこんなにも辛い気持ちで見送るのか…。
「行ってくる」
『行ってらっしゃい…!お気をつけてください…!』
「俺を誰だと思ってんだよ」
『ヒーロー…爆心地です』
「そんなシラケたツラしてっと帰ってこねーぞ」
『ご冗談を…!絶対帰ってきてください!』
「…笑え、辛い時は笑えばなんとかなる」
拍子抜けだ。爆豪さんの口からそんな適当な言葉が出てくるなんて…。
適当の様で奥が深い。私も警察なのに…ヒーローの戦場なんて何度も見ているのに…。
見送るんだから笑顔で。絶対帰ってくる。爆心地は強い。
『ごめんなさい…行ってらっしゃい!』
「あぁ、行ってくる」
見送った彼の背中はとってもとってもかっこよかった。
彼を見送った後、人の家でやることも無く目の前のお酒に口を付けたが全く味がしなかった。
飲みなれたビールは乾杯を知らずに空き缶になる。
決して彼を気にしてない訳では無いが、どうやら少し酔ってしまったみたいで眠くなってきた。
テレビではヴィランの影響で電車が止まってると報道されている。もう寝てしまおうか…。
爆豪さんなら呆れた顔をして泊めてくれるかな…。
微睡みと格闘してると、玄関が開く音がした。
「何寝とんだ」
『すっ、すいません』
おかえりなさい。
嬉しくて頬が上がった。
おかえりなさい。私たちのヒーロー。
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