金カム短編
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「月島軍曹」
月「なんだ」
「今思ってること同時に言ってみません?多分ぴったり当たると思うんです。」
月「そうか。やってみよう。」
「せーの」
「「黙っていればカッコいいのに」」
「さすがです軍曹殿」
月「いやいや名無しも見事な一致具合だ。さて。」
「では私はこれで。」
ガシッ(肩をしっかり掴まれた音)
「いやだ!前回も私だったじゃないですか!!!」
月「あれは公平にじゃんけんで決めたんだ。今回も公平に行こうじゃないか。」
「じゃんけん弱いの知っててずりぃ!!」
月「コラ!口が悪いぞ!せーの、だっさなきゃ負っけよーじゃんけん!」
「「ぽん!」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
月「ほらさっさと連れてこい。」
「鬼軍曹め!!!(泣」
何で私が…
何をじゃんけんで決めたかと言うと。
あちらで写真を物憂げに眺め溜息を漏らす高身長で変な眉毛の顔の良い男。つまり鯉登少尉に声をかけて連れてくるという至極簡単なお仕事をじゃんけんで決めていた。
簡単だ。簡単なんだよ。
でもね。
女性①「ちょっとあの御方将校様よね?すっごく素敵じゃない?///」
女性②「褐色の肌に身長も高くていらっしゃって…南の方の御出身かしら?素敵…♡」
女性③「ねぇあれ!誰かの写真?溜息なんてついちゃって…♡」
女性④「きっと婚約者の写真よ!!あぁ、写真のご令嬢が羨ましい!」
この方々がいたら話は別だ。
鯉登「はぁ…お会いしたい…(憂い」
女性達「「「「はぁぁ////」」」」
「やっぱり無理っす」
月「公平、だろう?(圧」
くっそこんな時だけ押し付けやがって。
なんで月島軍曹も私も嫌がっているのか。
月島軍曹は私が来る前に毎度この展開を繰り返していて、女性達に鯉登の本性を見せないようにうまく連れて行くのが面倒になったのだ。
そして私が初めてそれを請け負った時。半分は優しさだったけど。
あの時の女性達の目が恐怖でしかない。「何あの女。」「まさかあの御方の相手!?」「あり得ないわよあんな男っぽい女なんか。」と散々言われてすっかり嫌になった。
本人はそんな事も知りもせず私が呼びに来たのをいい事にパァァと明るい表情をし「どうした?やっと好きになってくれたか?」とかふざけた事ぬかすから呼んだらササッと逃げた。月島軍曹にもこの事を伝えたが「アレは鶴見中尉の写真で物憂げになっているのを女子達が勘違いしているだけだ。それが事実なのはわかっているのだから女どもの話など気にしてどうする。」の一蹴りだ。上司の事アレって言ってるし。
今回もそんなパターンなのか。あーもーやだー。
しばらく悶々として両頬をパチンと叩いて気合いを入れる。
月「(そこまで嫌か…?)」
スタスタ歩きだし鯉登の元へ行った名無し。
そして上司にはっきりと伝える様な通った声で喋った。
「少尉殿。こんな所にいらっしゃったのですか。もう発つ時間です。」
鯉「おお!名無し!」
女性①「え!?女なの!?」
女性②「うそ殿方と勘違いしてしまったわ!」
ほらまた始まったよ。なんで毎度私が貶されなきゃならないんだ。
そらぁこの時代の平均女性の身長はとうに超えているだろうよ。軍曹よりでかいもの。おまけにヒールだし。てかヒール履いてる時点で女だってわかるだろ。さてはワザとでかい声で言ってんな?
鯉「聞いてくれ名無し!今そこの甘味屋が有名だと聞いてな!それで鶴見中尉d」
この人は相変わらず無邪気な笑顔をこちらに向けて話しかけてくる。
が、もう視線痛いから。早く行きましょうと声をかけようとしたら。
「あ、あのっ…///」
鈴のような可愛らしい声が聴こえて振り向くと、どこぞの貴族っぽいお嬢さんが立っていた。
まった高そうな着物のお嬢さんだ。
「(あ、そーいやあのハイカラさんの服、団子屋に置いてったままだな…)」
なんて余計な事をふと考えてしまっている間にそのお嬢さんは少尉殿の前に。
「あ、あの将校様、ですよね…?///私は神谷家の一葉と申します…っ///」
ともじもじしている彼女はそっと手紙を鯉登少尉に差し出す。
目を見開く少尉殿。
モブ女達はキャーとお顔を隠しながらも手の隙間からバッチリ見ている。
おいおいこのフラグは。
「(今の時代は恋文か…;;;さてどうしたもんか…)」
と苦笑しながら月島軍曹のお顔を伺うとこちらも苦笑。邪魔にならないように戻って来いと合図されたので静かにペコっと頭を下げて立ち去ろうとした。
が。
ガシッ
待て待て何故肩を掴むんだボンボン。
こっちは空気を読んで退席しようとしていたのに。
鯉「ここにいろ。」
「?いや邪魔でしょう?」
鯉「こ こ に い ろ !」
「(チッ…)はい」
だーもーめーんーどーうー
月島軍曹にアピールしても頑張れのジェスチャーで返された。後でなんか奢らせてやるこの。
どうやらお嬢さんは少尉殿が緊張しているので部下を引き止めているのだとクスクスと笑っていた。
再度お嬢さんの方に顔を向けた鯉登の表情は先程と打って変わり、スマートで紳士的なイケメン少尉殿に早変わり。
「(うーわー…)」
名無しは口をあんぐりで軽く引いていた。
その一連を見ていた月島軍曹は笑いを堪えるのに必死になっている。
鯉「すいません。部下に指示を出しておりまして。…これは?」
いつものキエエはどうした。薩摩弁どこいった。中尉どんー中尉どんーしか言う事なさそうな少尉殿は一体どこへ行った。
一葉「貴方様に思いを込めて綴りました///この街にいらっしゃった時から私…貴方様を一目見て恋に落ちたのです…っ///」
鯉「!」
「!」
フラグを見事に回収されたのと、やはり改めて告白シーンを見るのでこちらも久しぶりに驚いた。
鯉「ありがとうございます…ですが、私達はお互いのことを何も知らないのですよ?」
「そんなこと!これから少しずつ知っていけば問題はありません!私は、貴方様の事を全て愛す事ができますっ…!」
おうおう愛すだって。すっごいなゴリ押すなこのお嬢さん。まさしく熱烈。こんな事まで言われちゃったら少尉もきゅんてくるんじゃ…あれれー?
私が見た鯉登少尉の顔は赤面でも照れ顔でもなく。
無だった。
何故?こんな可愛らしいご令嬢が熱烈アタックしてるのに。わたしには到底できない。
なんで私で例えたかは謎だけども。
「どうかっ…お友達からで構いませんっ…!きっと目的があって旅をなされているのでしょう…ですので、まずは文通から親しくなって頂けないでしょうか…っ!/////」
そうもじもじしながら告げるご令嬢。
鯉登少尉は何て答えるんだろ。あの表情が読み取れなかった名無しは内心少しドキドキだった。
そして鯉登が口を開く。
鯉「貴方はないごてそう簡単に愛しちょっちゆとな。おいには理解できもはん。」
嬢「…何とおっしゃったのかしら?」
うわぁこの人何考えてんの。さっきまでの紳士口調はどこ行ったのよ。いつもの薩摩弁今出すの!?
鯉「おいは相手ん事をよう知ってから愛を告ぐっ。知らん相手に簡単に愛を告ぐっしは信用なりもはん。」
嬢「えっと…全くわかりません…;;;ちゃんと日本語で…;;;;;海外のお言葉でしょうか?;;;;」
鯉「今も貴女は全くおいん事をわかっちょらん。」
今の言葉に名無しは何とか理解した。
冷たい口調で貴女は私の事をわかっていないと。受け入れようともしていないと言ったんだ。
鯉「どうか他を当たちたもんせ。そいにおいは今好きなしがおっ。」
と言ってぐいっと引っ張ったのは名無しの腕。
その拍子に軍帽が取れて素顔が見えてしまった。
「っ!?痛いんですが…;;;」
嬢「えっ…女性…?」
モブ女達「((((やっぱり!!!))))」
そして鯉登は引っ張ったその手で名無しの肩を抱いた。
これには名無しも目を見開いた。
鯉「わっぜ強うてみごっかおなごなんじゃ!な!名無し!」
「は?何言ってるかさっぱりですいいから手を放して下さいよ少尉殿。」
鯉「いだだだだ!」
ギリギリと手の甲をつねってやって静かに抵抗。そしてご令嬢一礼。
「隠すつもりは無かったのですが上官命令で待機しておりました。どうぞ後はおふたりでごゆっくり。少尉殿あと5分で出発ですと月島軍曹が言っておりましたので伝えましたよ。では。」
そしてスタコラとその場を後にした名無しに慌てる鯉登。
ご令嬢は言葉はわからなかったものの、鯉登の仕草や表情ですぐに理解した。
嬢「あの方がお好きなのですね…。」
そう言うと振り向いた鯉登の表情があまりにも無邪気な笑顔で眩しいと思った。
鯉「はい!彼女は私の全てを理解してくれましたから。」
そう少し照れくさそうにはにかむ。
あぁ、あんな表情には私はさせてあげられない。いつの間にか一葉は手紙を持っていた手を降ろしていた。そして深々と頭を下げて名無しを追いかけて行く鯉登を見送るのだった。
嬢「どうぞ、お幸せに…。」
鯉「ちょっ、待てっ!名無し!」
「は?待ちませんよ。みんなを待たせてるんですよ?」
鯉「早い!歩くの早い!おいより短い歩幅のくせに!」
「馬鹿にしましたね?後でチーグルにケツ噛ませてやる覚悟しろ。」
鯉「上司にその物言いはなんじゃ!」
「人を馬鹿にしといてその言い方は何です!?上司だからって限度があるでしょうが!大体ね!なんであんたが告白されるイベントに私が付き合わなきゃ行けないんですか!なんですか?新手のパワハラかなんですか!?」
鯉「パワ…何だって?」
「大体迷惑なんですよ!何で毎度毎度貴方の呼びに行くだけなのにあっちこっちで貴方目当ての女性達がぐちぐちぐちぐちと……もう!胸糞悪い!!!!」
鯉「… 名無し、妬いているのか?」
心底意味のわからないって顔で鯉登を見上げたが、鯉登は何故か少し顔が赤く口元が綻んでいる。
そして先程の発言を思い返す。
アウトだ。
名無しもボフンと顔に熱が集まった。
鯉「(うっわ…わっぜむぞか…///)」
「違います!勘違いしないで下さいキモい!」
鯉「あ!お前また!待て!!」
「待たない!チーグルー!!!!!」
集合場所で先に待機していた月島達。
名無しの相棒の虎が急にいなくなったかと思ったら名無しを乗せて全速力をしてその後ろを鯉登が追いかけているから、皆頭に???だった。
月島は後で鯉登から散々話を聞かされる事になるのはまた後ほどの事。
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