金カムの世界へ飛んで行く
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「私は名無しと申します。中尉殿の仰った通り、私はこの世界の人間ではありません。何がどうなったのやら気付いたら森の中で倒れていました。そしてふらふらと歩いて行くと街に出て猫の少年と出逢いました。そこからは見ていらした通りで。」
鶴「ふふふ。そうだね。続けて。」
「続けてとおっしゃいますが;;;何から話せばいいのです?」
鶴「ではその後から教えてくれるかね?」
「その後、少年のご両親に私の事情を話し、ご厚意で住み込みで働かせて頂きました。そして今日です。まさかあの甘味屋に軍曹殿と少尉殿が来るとは。」
月「ここからは私が報告致します。」
いつのまにか拘束を解かれていたようで軍曹は名無しの横に立ち中尉に報告を進めていった。
いんや痛かったー容赦ねーわーとか思っているうちに報告が終わったようで2人してこちらを見てきた。
「あ、はいなんでしょう?」
月「今の話聞いてなかったろ?」
「す、すいません;;;」
鶴「まぁいいいい。それで、君の目的は一体なんだね?我々の妨害かね?」
ニコニコしながらも言ってるセリフが合ってない。本当に妨害だったらどうすんのよ。ここで死んじゃうんだろうなぁ。
名無しは一呼吸置いて静かに中尉に視線送る。
「私はこの世界の行末をある程度知っております。ですが私はこの世界が好きなのでこのまま変わらないでいてもらいたいのです。その為にも私は元の世界に帰りたい。元の世界には私の家族もいますから。」
鶴「君、夫がいるのかね?」
「はい。子供もおります。だから私の世界で今どうなってるのか考えるだけでゾッとするのです。この世界が変わらない為にも私の為にも、元に戻る方法を探して帰りたい。それが私の目的です。」
名無しははっきりとそう告げた。
しばらくの静寂のあと。中尉の笑い声が響く。
鶴「気に入ったぞ。名無し。」
ちょっと先を読みながら喋んのムカつくなこの中尉。
そして再び何故か両手を軍曹に拘束される私は立たされる。
中尉はその目の前に立ちにっこり笑ってこう告げた。
鶴「名無し。君の目的、我々第七師団が協力しよう。」
うわぁ嫌な予感。と茜は感じた。
鶴「君はいろいろと知っている未来人のようだ。そんな者をやすやすと逃すわけなかろう?逆にこのまま逃したところで君1人で元に戻る方法を見つけられるとは到底思えない。こんな時代だ。女なぞ一捻りよ。だが我々の保護下にいれば何も怖くない。君の目的にも近づきやすいんじゃないのかね?」
「は?」
口達者に女を卑下し私を監視下に入れたいと言った中尉に怒りが露わになる名無し。だからか。軍曹が拘束したのは。
鶴「最後まで聞きなさい。君を保護する代わりにいろいろと知っているその情報、教えてくれるかね?」
あぁ情報知りたかったのか。ないない。
「……今それを言ったことによって行末が変わってしまったらどうするんです?不利な事が変更できるとしたらそれは良いかもしれませんが貴方にとって有利な事まで変わってしまったらどうするのです?中尉ならそこまでお考えのはずでは?それとも、そんな事まで考えてなかった?」
ニヤリと笑ってそう言い切った名無しに月島がカチンとくる。
月「貴様…!」
鶴「ダメだ月島。待て。」
殴ろうとする月島を止めて中尉は名無しを見据えた。揺れない瞳に中尉はニタリと笑った。
そしてまた大袈裟に降参ポーズをするではないか。
鶴「いやぁ参った参った!お嬢さんに噛みつかれるとは全く思わなんだ!本当に君は面白いなぁ!よし!」
パン!と手を叩く。
鶴「君の目的にはちゃんと協力しよう。だがこちらにも条件がある。君は今から衣食住全てを第七師団に預けろ。…!そうだそうだ!今から君は私の養子になるのだ!」
「いや、は?」
月「中尉…!?」
鶴「私の娘になればこんな男所帯でも手を出す奴はいまい。鶴見名無し。そう鶴見名無し!君はこの世界ではそういいなさい。わかったね?」
突然の思いつきのようにペラペラ話す中尉に軍曹共々動揺を隠せない2人。
鶴「わからない事があったら月島軍曹に聞きなさい。もちろんお父さんである私でも構わないぞ?よく見ると君は鯉登少尉と年齢が近そうだな!仲良くなっておくといい。それと、」
「いやちょっと待って!話が全く着いていけない…っ!?」
反発の声を上げようとしたのに中尉の人差し指がそれを制止した。
鶴「それとも、断ったらあの甘味屋がどうなってしまうか、何てことは君なら予想できていたよな?」
そのフレーズを聞いて名無しは中尉に殺意の篭った視線で睨みつけた。
「やってみろ…私が死んでも絶対に殺してやる…!」
今にも飛びかかりたいのに月島軍曹が抑え込んでいるのでびくともしない。
名無しの殺意にニヤケが止まらない中尉にその殺意は削がれた。
なんで笑ってられるんだ。殺すと言っているのに。狂ってる。
諦めた名無しは一気に力を緩めて中尉から視線を逸らす。が。
「貴方は、私の人生までコントロールするおつもりか…!」
最後の彼女の台詞に今日一のニヤリ顔が出てしまった。
名無し。よろしく頼むよ。
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