金カムの世界へ飛んで行く
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鶴「鯉登少尉!」
あの女タダじゃおかないと追いかけようと門を出かかった時に兵舎の上階から我が中尉のお声がかかりビタッと止まってすぐさま振り向いた。ちょいちょいと手招きをしていらっしゃったので、あの女を捕まえ損ねたもどかしさはあったものの中尉のお部屋へ向かった。
扉を開けて中に入ると月島もいた。よかった。月島がいなかったら2人きり…になりたいが無理だ!(キエェ
鶴「まだ何も話してないが何故叫んでいる?」
月「いつもの事なのでお気になさらず話を進めましょう。」
鶴「そうか?では、鯉登少尉。」
名を呼ばれビシッと敬礼する少尉。
鶴「先程の女性について詳しく報告してくれ。」
コクンと頷き冷静に話し始めた鯉登。
だが。
鶴「うーん。わからん!」
中尉の前ではどうしてもエゲツない薩摩弁になってしまう鯉登。うなだれる。
そして月島に耳打ち。
月「代弁致します。先程の女性は女学生の者かと思われます。木から降りられなくなった猫を助けていました。名は知りません。降ろして話を聞こうとしたら」
鶴「飛び蹴りされて逃げたと。」
鯉「!?!?ないごて◯△◻︎☆×!?!?」
月「何故それをご存知のなのかと言っております。」
鶴「知っているも何も!最初から見ていたぞ?」
鯉「△◻︎☆×◯!?!?///」
鯉登はへなへなと赤面し涙目になりながら崩れ落ちる。
だめだ。女子なんかに飛び蹴りを食らう部下などきっと必要ないと外される。お役ごめんじゃ。
絶望を感じとった鯉登。
だが。
鶴「よくやったぞ。鯉登少尉!」
もはや月島も一緒に??と首を傾げている。
ニヤニヤしている鶴見中尉に褒められるような事をしただろうか?
鶴「あの女性はいずれまた私達の前に現れるだろう。鯉登少尉!次は確実に捕まえるんだぞ?」
なんの予知夢を見たのか。確信を匂わせる中尉にただただ敬礼するのみだった。
数日が経ってーーーーーーーーー。
「いらっしゃいませー!」
すっかり看板娘まで昇格した名無しは今日もせっせと働いている。店長も女将さんも良くしてくれて給料まで貰っている。感謝しかない。このご恩は一生返して行かねば。お客さんも老若男女身分人種問わず皆が声をかけてくれる。名無しもそれに一生懸命答えるからすっかり人気者だ。
女の子のお友達もできた。もうここから離れたくないくらいに過ごしてしまっている。
あの日が来るまでは。
いつも通りに仕事をこなして常連の友達と女子トークで盛り上がっていた所。
女友①「きゃ!将校様と軍曹様よ!///」
「え?だれ?」
女友②「そっかwいつもあのお二人が来る時って名無し買い出し行ってたもんねw」
女友③「ほぼ毎日いらしてお団子をお買い求めになるのよ!はぁー///素敵…///」
そうきゃっきゃしている友人達にどれどんなもんかと視線を同じ場所に移すと。
サササッ!
女友①「えっちょっ」
女友②「やっだ名無し何してんのよw」
女友③「いたいいたいw」
「お願い!私を隠して!」
シーッと懇願する名無しに仕方なく友人達は匿う。どうやらバレていないようだ。
将校と軍曹はお買い物を済ませて帰ろうとしていた。よしそのまま行け!去れ!
そう思っていてもダメなもんはだめ。
「おらぁ!なんだこの店はぁ!!舐めてんのか?あぁ??」
入れ違うように店の前に湧き出てきたのは現代で言うとこのヤンキーだ。
ゴロツキが3人程か。店の前で大声を出して喚いている。
それを聞きつけて店長と女将が出てきた。
この店長もなかなか怖いと思うんだけどな見た目。まぁ女房と子供がいるってとこで少し圧をかけているんだろう。余計に胸糞悪いが。
「お客様は神様だろうが!?あぁ!?たいしたモン作ってねぇくせに売れないだとぉ!?」
店「店先で堂々と喚き散らし、他の客に迷惑をかけるお前たちのような奴ら客なんかではない。帰ってくれ。」
至極淡々に応える店長。
「そんなんでおいおい帰ると思ってんのか!?あぁ!?てめぇの女房と子供がどうなってもしらねぇぞ?」
とニタァと笑うゴロツキ共。
やばい。これはまずいのではないか?
鯉「おい貴様ら!!そこで何をしている!」
あーぁ戻ってきちゃった。けれどこの2人がいれば店長達は守ってもらえる。私は騒ぎが終わってから出るとしよう。
そう思い様子を見ることにした。
中尉にお使いを頼まれた月島について行きいつもの団子を購入して兵舎へ戻ろうとしたら甘味屋の前が急に騒がしくなった。
振り向くと最近巷で騒いでいると噂されているゴロツキと思われる。3人ほどだろうか、店の店主と女将が出てきて追い出そうとしているもののどうにもしつこい。
鯉「なぁ月島ァ。あいつら消したら中尉どんはお喜びになるだろうか。」
月「まぁ、そうですね。中尉は以前から排除したいと申してましたし、良い機会なのでは。」
そうときまれば早速始めようではないか。意気揚々と踵を返して店の前へ。
鯉「おい貴様ら!!そこで何をしている!」
鯉登少尉の声にそこにいた一同ビクッと驚く。だが。
「あぁ?ずいぶんと若い将校さんだなぁ?」
どうやらゴロツキ共のリーダー格は鯉登少尉を見ても動じないようだ。
ニヤニヤ笑いながら少尉を舐めるように見定める。
「おやぁ?第七師団の新顔ですかぃ?ずいぶんと綺麗な顔じゃねぇかw」
鯉「貴様…喧嘩を売っているのか?」
「いやいや滅相もない!俺たちはただ団子を買いに来ただけなんですよォ?そしたらこの店の店主が売らないの一点張りでよぉ。こちとら困っているんだ。」
月「貴様らの素行は我が第七師団にも届いている。今ここで警察に連行しても良いんだが?」
「いやいや勘弁して下さいよォ。第七師団様は民間人を守るのもお務めではないですか。我々もただの民間人ですって。」
何も言ってこない鯉登と月島。それをいいことにさらに告げるリーダー格。
「それともあれですか?俺たちの強さをご存知の上第七師団に勧誘とかですかい?こりゃまいったまいったw」
それに対しても無言の2人。
「ま!今日はもう退散致しましょう。おい店主。この借りはきっちり返して貰うからな!覚えてろよ!!」
そう悪態を吐きその場を去ろうとする不良共。
だが。
「え。やだ。覚えときたくない。」
鯉登&月島「!」
ドゴォッ
あれ?今なんか飛んできた?先頭にいたリーダーが急にいなくなったと思ったら地面に転がっていた。
顔にはくっきりと履物の跡。
「あーなんだっけ。ほら、この指見てみろ。だっけか。」
いつのまにか胸倉を掴まれているもう1人のゴロツキは言われるがまま彼女の親指を見るとあらわになった喉元の男性にしかない軟骨をどつかれた。
「がっはっ…ヒュー、ぉぇ…」
「おおうまくいくもんね。あーとーはー?」
グリンと後方にいた最後の1人にニヤァと笑ながら近づいた。
「ヒッ!く、くんな!殺すぞ!!」
と所持していた小刀だろうか。こちらに突きつけて来た。余計にイラッとした名無しはさらに煽る。
「あぁ?おらやってみろよー。生まれたての子鹿みたいに足震えてる見たいだけどー?」
「ひぃぃ!こ、このっ!」
ガシッ
女将「い、いやっ!」
「こっちに来てみろ!この女が死ぬぞ!!」
「あ!このクソッ…!」
これは動けない。女将さんが危ない。
どうしよう。あの野郎は怖気付いてはいるが逆に何をやらかすかわかったもんじゃない。
「…チッ」
名無しが動かないと判断したのだろう。そいつはハハっと高らかに勝ち誇ったように笑った。
「ハッ!これならもう手出しはできねぇなぁー!」
月「それはどうかな?」
「え?」
すっかり名無しに気を取られていたこいつは気付かなかった。
背後にいる人物に。
鯉「キェエエエ!」
ドスんドスんと男の頭に軍刀が振り下ろされた。それは刃は出ていないもののかなりの衝撃だったらしい。男の頭部は見事にへこんだ。生でみるとやはりすごい力なのだと実感する。
声を発した月島軍曹は最初に名無しが仕留めた2人を余裕な顔で確保していた。
見事ゴロツキをやっつけたのだった。
周りから上がる歓声。
名無しはその歓声を潜り抜けすぐに女将のところへ行き抱き起こす。
「女将!怪我は!?ごめんなさい!私が調子に乗ったせいで…!(半泣」
女将「あらあらwさっきまでのかっこいい名無しちゃんは何処へ行ったの?私は大丈夫よ。」
「うぅ〜ごめんなさぁい;;;」
女将「ほらほら泣かないのぉw」
店長「名無し!本当にありがとう。」
「店長!私、すいません!;;;お店の前でこんな…!;;;;;」
店長「何言ってんだよ。お前はこの店を守ってくれて女房も救ってくれた。命の恩人さ。ありがとう。」
「うぅぅぅ。優しくされると泣いちゃうんですからぁ;;;」
ガシリ
月「いい雰囲気の中申し訳ないのだが。」
「…。」
月「先程の動き、常人には不可能だ。少しお話しを聞かせて頂けないだろうか。」
くるっと振り向いた名無しはいつもの営業スマイルで答える。
「やっだぁもー!あれは女将を守りたい一心で私も何やったか覚えていないんですぅー。ですから何もお話する事は…」
鯉「そいつじゃ。この間の飛び蹴り娘。」
「チッ」
鯉「こん小娘…!」
カチンと鞘から出そうとする鯉登の前にすかさず月島がボソッと名無しにだけ聴こえるように呟いた。
月「我々はこの甘味屋を守りたい。意味はわかるな?」
甘味屋に手を出されたくなければついて来いってことか。そんなんあのゴロツキ共とやってる事一緒じゃないか腹立つわぁ。
ブスッとしながらも黙った名無しに月島は承諾の意を取ったのか供に店長と女将の元へ行く。
月「申し訳ないが、こちらのお嬢さんをお借りしてもよろしいですかな?」
えっと2人は動揺したけれどすぐに名無しが割って入った。
「私が未来に帰れる方法が見つかるかもしれないんです。ですから…」
そうボソッと2人にだけ伝えるとしばらくの沈黙の後、お許しが出た。
店長「すぐに帰ってくるんだぞ。」
女将「待っているからね。」
そう優しく告げてくれた2人を後に名無しは月島と鯉登に同行した。
絶対あの人に会うんだろうなぁ。
今はちょっとめんどくさいなー。