刀剣乱舞の世界へ飛んで行く
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こんのすけに案内された手入れ部屋の前に着くと、物凄く嫌な臭いがした。
こ「傷ついた刀剣は皆ここに押し込められている状態でございます。」
宗三「小夜は無理な出陣を…辞めて貰うために私は相手をしましたが、結局折られてしまいました。」
岩「今剣を手入れして貰うために俺は…。」
二振が苦しそうな顔をした。あぁ、殺してやればよかったか。
でも…
『もういいんだよ。終わったことだ。ちょーっと岩融、屈んで。』
私もチビでは無いんだけど岩融は本当にデカイからね。
首を傾げる二振に腕を回し一緒に抱きしめ頭を撫でる。
「「!!」」
『よーく、頑張りました!今すぐあの女の所に戻って殺してやろうと思ったけど、やっぱりあんた達が受けた傷を治すのが優先だね。突然来た私を主なんて呼ばなくていいから安心して。私はただ傷を治せるってだけ。だからここにいた皆を絶対に助けるから。』
そう言いきると、二振は「感謝する」と返してくれた。二振の顔は見えなかったけど、少し震えている。
そして震えが止まったと同時に離れ手入れ部屋に向き直る。
『岩融、宗三左文字、協力願う。』
岩「おうよ!」
宗三「お受けしました。」
スパーンと開けた部屋の中は酷い有様だった。多くの刀はほぼ中傷。重傷な刀剣もいる。そこらに散らばっている刀は全て折れていた。
あのビッチ。ゴミ以下だな。
自分の頬をパンパンと叩き気合いを入れる。
こ「皆様お待たせしました!!我らを助けてくれる後任の主が参りましたよ!!」
部屋にいる皆はバッとこちらを見たがその目は怒りと恐怖に満ちていた。
薬研「うるさい!!どうせこいつも同じだろ!!!」
五虎退「や、やだよっ…もうやだっ…」
安定「近づくなら殺すよ。」
加州「消えてくんない?」
皆私に思い思いの罵声を浴びせる。
それを見た岩融と宗三左文字が止めようとするがその前に私が手を叩き声を上げた。
『はいはいボロクソ言ってていいから!!とにかく手入れさせて貰うよ!今その力があるのは私だけだ。人の姿が不快と言うなら…』
印に獣のイメージを送る。
くるっと回れば大きな山犬となった。
その姿に刀剣達は静かになった。
骨喰「犬、神…?」
『あはは。そんな高貴な者なんかじゃないぞ?元人間。今は人ならざる者、っつーことは化け物かな?』
と笑って答えると部屋の空気が少しだけ緩んだ。
『さてと!手入れを始めたいんだけどこんな空気の悪い部屋じゃなくて別の場所で一気にやるとしよう。こんのすけ、どこか皆がゆっくり落ち着ける広い部屋はない?』
こ「この人数全てを落ち着いて納める場所はなかなか…。」
そうかーと唸り外の景色に目を向けると、立派な大木が丘の上に立っていた。
天気も悪くない。
名無しは思いついた様に言う。
『こんのすけ!あの木の下に皆を集めよう。枝しかないけど、凄く綺麗な場所だから。太陽も高くて暖かそうだし。みんなを癒せると思わない?』
こ「おお!良い案ですな!確かにあの大木からは清浄な気を感じます!」
『よっしゃそうときまったらすぐに行動!岩融!私と一緒に皆を運んで!宗三は折れた刀を集めて並べておいてくれる??』
岩「承知した!」
宗三「わかりました。」
私は傷ついた刀剣達を乗せられるだけ背に乗せ、岩融も抱えられるだけ抱え一緒に往復する。宗三左文字はこんのすけと一緒に折れた刀を綺麗に並べて行く。
『さて、これで全員か。こんのすけ!』
こ「はいここに!」
『手入れは一回で何振りできるの。』
こ「前任はアレでも相当本丸に力を入れておりましたからね。手入れは一回で最大の4振り可能でございまする!」
『それでも負傷者が多すぎる………いいや!全員今日中に治してやる!!まず軽傷2枠、重傷2枠手入れ開始!重傷者は私の両脇に寝かせて。軽傷者は私の前足を片方ずつな。』
そう言い、岩融と宗三は重傷の二振を茜の両脇に寝かせる。片方は今剣だった。岩融は悲しそうな表情を浮かべる。確かに傷がかなり深く時間がかかりそうだ。だが名無しは岩融にはっきりと言った。
『大丈夫だよ岩融。今剣だろ?私の毛並みは柔らかい。落ち着いて丁寧に手入れするからな。岩融も疲れたろう。今剣の横で寄りかかるといい。』
岩「!…あぁ。」
山犬の姿をした名無しの毛並みは艶がありもふもふしている為、寄り添う二振の苦悶の表情が和らいでいった。
今剣のそばで寄りかかる岩融も眉間の皺がなくなってきた。
前足を片方ずつ握っていた加州清光、大和守安定はすっかり元の姿に戻っていた。
加州「本当に治した…。」
安定「…さっきはごめんなさい主。」
『ははっ!私はただの化け物さ。それにしても2人とも治ってよかった。疲れただろうから今日はもうゆっくり寝な。此処に残っている子は明日にゃ元気な姿で会えるよ。』
安定「でもこんなに沢山いるのに…!!」
加州「俺たちも手伝わせてよ!!!」
『なぁーに言ってんのw目の下クマだらけだし、顔も青白いぞ?傷は癒せても心までは手入れできないからな。大丈夫!これからたーくさんやる事があるんだから嫌でも手伝って貰うよ。』
と笑ってみせたら観念したのか2人は自室に戻って行った。
『さぁて!どんどんやるよ!次!』
軽傷者は全て治り中傷者も半分を過ぎた頃、最初の重傷者の手入れが終わった。
今「むにゃ?いわとおし…?」
今剣の声に岩融は歓喜をあげる。
高く掲げ2人はおおいに喜び合った、
反対側は江雪左文字。
宗三「江雪兄様…!!!」
どちらも笑顔になった顔を見てこちらも笑顔をもらった。
『よかったね2人とも!さぁ貴方達も部屋へ戻ってゆっくりおやすみなさい。』
そう言っても宗三は浮かない顔をした。あぁきっと小夜ちゃんの事だろう。
『大丈夫だよ宗三。小夜ちゃんならなんとかする。大丈夫だ。』
言い聞かせる様にそう言うと、四振は本丸へ戻った。
『こんのすけ。次の重傷者どこだ?それと、後ででいいから携帯持ってきてくれる?』
こ「ここにおりますよ!携帯ですね!かしこまりました。」
夜が更けても手入れは続く。
ブーッブーッ ブーッブーッ
姿の携帯が鳴る。この番号は。
「こんばんは名無し様。」
『おー!こんばんはー!電話遅くなっちゃったよごめん;;』
「いいんですよ。お怪我は?」
『全然へーき。姿のサポートのおかげだね。』
「そんなことありませんよ。こちらからも、名無し様のお陰でこの本丸は消滅から逃れることができました。本当にありがとうございます。」
『ははっ!どーいたしまして!っと言いたいところなんだけど。姿今どこにいる?』
「??先程まで貴女の本丸におりましたが前任を刀剣達から受け取り連行中ですよ。」
『あーらーそっかー。もうちょっと早く連絡すればをよかったわー。』
「何か用件でも?」
『うん。ちょっと相談。』
「聞きましょう。」
『折れた刀剣がかなりいた。元に戻したい。』
「新たに鍛刀をすれば良いのでは?」
『いんやそれじゃダメだ。今折れているこの子達が戻らなきゃこの本丸は元には戻らないよ。』
「(全くこの方は…どれだけお優しいのか)……できません。」
『!!』
「…と言いたいところですが、上に掛け合って見ましょう。つか、させます。」
急にラフな口調になった姿に名無しは電話越し驚きケラケラ笑った。
『本当にありがとう姿。私、この本丸の皆に認めてもらえる様に頑張るよ。』
「(貴女ならすぐ懐かれると思いますけどね)はい。今後も全力でサポート致しますのでいつでもご連絡下さい。」
『ん。姿おやすみ。』
「!はい。おやすみなさい。」
プツと切れたケータイ画面を見る。
「彼女を選んで本当によかった…。」
そう呟く姿だった。
ーーーー大木の立つ丘は大きな月が優しく辺りを照らし夜でも過ごしやすい風が吹いていた。ーーーー
『季節的には春なのかねぇ。』
こ「そうですね。寒くもなく暑くもなくとても居心地のよい夜です。」
くわっとあくびをする名無し。
こ「主様もお疲れでしょうに。残りの手入れは明日にでも『それはダメだ。』何故です?」
月を見上げ名無しはにこりと笑い言葉を続ける。
『ただの私のワガママなんだけどね。一刻も早く、この悲しくて辛い時を終わらせたいでしょ?明日から全てやり直して皆がいつまでも幸せになれる本丸を築きたいんよ。』
名無しの目は揺らぐことなくまっすぐ天を見続けた。
こんのすけはもう言い返すのをやめ主の側で丸くなる。
『こんのすけももうおやすみ。また明日。』
優しくそう言い胸元に寝かせてくれる主の毛はすぐにこんのすけを夢の中へ導いた。