2月14日。




まやが仕事帰り白い小さな袋を手にして帰って来た。



中にはキレイにラッピングされた小さな箱。



もしかして俺にくれるチョコなのかと思い、中を開けようとテーブルに置いたソレを手にした。



「ちょっと！なに勝手に人の開けようとしてるの？」



部屋着に着替え終えたまやがそう言って俺の手からソレを取り上げた。



「え、俺に買ってきてくれたチョコなんじゃないの？」



まやの一言に目が丸くなった。



「違うよ、お客さんから貰った私への逆チョコ」




チラチラと俺に見せびらかしたあと、まやはニコニコと笑い包装を解いていく。



「え、じゃあまやからのチョコは？」



ちょっと凹み気味にそう言うと



「そんなのないよ」



思いがけない一言に俺は更に落ち込んだ。



「ずっと一緒にいて何がバレンタインよ。忙しくて作る時間も買う時間もないって」



昔なら忙しくても作ってくれた。



見た目はイマイチだったが気持ちは嬉しくて凄いはしゃいだっけな。



時が経てばこんなに変わってしまうものなのか？



俺への愛情はもはやなくなってしまったのか？



そんなことを考えながらまやを見ていると、中に入っていたらしき手紙を見て頬がうっすらと紅く染まった。