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いつもより浮かない顔をしている君。
きっと何かあったのだろう。
別に聞かなくてもいいことなのに、
気になって仕方がないのは
きっと俺が君に片思いしているからだと思うんだ。
君は俺のお雛様
“どうしたの”と聞けば、君は少し驚いた顔で“なんでもないよ”と言う。
ここは普通なら“何もないよ”なはずなのに。
何もなくないから、なんでもないようなフリをする。
そう話すと、君は困ったようにこう言った。
『大したことじゃないよ。ただ、少し寂しいなって思って』
『寂しい?』
『氷室君はお雛様って知ってる?』
あぁ、あの日本独自の物か。
テレビで見たこともあるし3月に近づくととデパートで売られているのを見かけるので、一応知ってるし見たこともある。
もしかして…
『片付けたのか、お雛様?』
『うん……』
それで寂しい、ね。
男であり、且つ帰国子女の俺にはよく分からない気持ちだな。
『他の女の子はよく出すのが面倒だとか言ってるけど…』
『そりゃ、大変だよ。でも出来上がったときは嬉しくて…』
『へー…』
それぞれ違うんだなとあまり興味がない返事をした。
自分も男の子だからということで兜はあったが、ケースをそのまま持ってくるだけで大して大変だとは思わなかった。
また片付けるときに寂しいなんて気持ちは全く。
『まぁ、家によって違うからね』
『うん。さすがに七段出すのは辛いよね』
『そうだね……………え?七段!?』
聞きなれない数を聞いて思わず聞き返す。
デパートにはそんな大きな物はなかったし、テレビで見たことはあったがかなり大きいものだったような気がする。
『組み立てる、のか?全部…?』
『そうだよ?15人いるの!』
『そうか……』
それは大規模な作業なんだろうな。
なんて思うも、彼女の顔はまだしょんぼりしていてそんなこと言えなかった。
『最初はね、怖いなって思ってたの。ほら、お人形さん動きそうだし。でも…いなくなったらなんかガランってしちゃって』
ゆりはハァとため息をつくと、静かに呟いた。
『この前までここにあったのになぁって』
俺は彼女の頭を優しく撫でた。
正直、俺にはまだ理解できなかったがゆりに寂しい想いはさせたくなかった。
彼女は少し驚いた顔をすると、すぐにニコッと笑った。
『ありがとう、氷室くん。変なこと言ってごめんね』
『 Don’t worry 、大丈夫だよ。今は寂しいだろうけどさ。早く片づけてよかったじゃないか』
『え?』
『俺のとこにくるのが遅くならなくて済むだろ?』
少しの間、沈黙が流れる。
氷室がウインクすると、徐々に言葉の意味を理解し顔を赤く染めた。
『ちょ、あの、それって……!』
『ゆり、顔真っ赤だよ?』
クスクス笑われ、恥ずかしさも混ざり顔だけでなく、身体までも熱くなる。
やっぱり彼は帰国子女なんだなって思った。
“約束の代わり”とか言われて頬にキスされたときは、恥ずかしすぎて立ってられなかった。
(俺、実際に見たことないんだよねお雛様。今度見せてくれる?)(え、いいけど来年になるよ?)(いいよ。君の家に行けるのなら)(へ?!)