†年上の彼女†
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東方司令部の前で一人の少女が暇を持て余していた。
彼女の名は朝宮。
エドワード・エルリックの3つ年上の恋人である。
そして彼女はその恋人を待っていた。
付き合って一年。
今日はその大切な記念日だというのに・・
「あ~っ!もう!!何やってるのよあのチビッ!!」
叫びながら人一人出てくる気配の無い扉を睨んだ。
そして睨んだ先に青軍服が二つ並んであるいてくることに気がついた
黒い髪の男と金髪の女性。
朝宮は意とせずその男に見とれてしまっていた
そして、その男が自分の目の前で停まるまで朝宮はその事に気付けなかった
「…私に何か?」
男はたいしていぶかしがるわけでもなく、むしろ少し妖しげな笑みを浮かべて口を開いた。
男の声が耳朶を打つ。
その声は大人の男性特有の低い声で、そして甘い声だった。
「べ、別に、何でも無いですっ・・ごめんなさい…ジロジロ見てしまって」
何だか照れてしまってまとこに顔を見ることができない
そんな様子を見てか、男が小さく笑った。
「あのっ…軍の方・・ですよね…?」
(そんな事制服を見れば解るじゃない!)
「エドワード・エルリックがどこにいるか解りますか…?」
先ほど呼びに行ってくれた男が去ってから随分経つ。
せっかくなので朝宮は聞いてみることにした。
「君は彼の知り合いか?」
聞かれてドキリとする。
別に自分たちの関係を隠す必要はどこにも無いのだが…。
「は、はい。・・何だか性格の悪い上司がいて、よく面倒を押しつけられるっていつも言ってたので…もしかしたら何かしてるんじゃないかって…」
(初対面で何言ってるのよ私!もしこの人がその上司だったら大問題じゃない!)
「ほぉ…それは危篤だ・・ちなみにその上司の名は?」
「ぇ・・えっと…確か・・ロイ・マスタング大佐って方らしいです…あの・・それで・・エドの事なんですけど…」
「あぁ…鋼のならすぐに来ると思うよ。私が来たのを見て突然柱に隠れたりしていたから」
「はぁ…?」
正直意味がよく解らなかった。
(この人と仲悪いのかな?)
ある意味それは的を射ているのだが、今の彼女に気付く余地は無い。
「大佐、車が」
頭の中で『?』を回していた朝宮の思考断ち切るかのように金髪の女が男に言った。
「た・・大佐…?」
もしかしなくてもと頬を汗が伝う。
大佐と呼ばれた男の顔がニヤリと笑ったのを見たような気がした
「あぁ…自己紹介をしていなかったな・・私の名はロイ・マスタング。以後お見知りおきを…お嬢さん」
そう言って男―もといロイは朝宮の手を取り、その甲に口付けて去って行った。
「・・うわぁぁ…どーしよー」
「何が『どうしよう』だよ」
「エド!?」
朝宮が慌てて振りかえると、自分の目線より少し下にエドの超不機嫌な顔があった。
実のところ朝宮の方が少しばかり背が高かった。
「だってさぁ、マスタング大佐ってすごくカッコ良くない?なんていうかさぁ…『大人の男性』って感じで・・あんな人に愛されたらそれだけで幸せだろうなぁ…」
乙女手を組んでロイが去った方を見つめる朝宮をエドは更に不機嫌な顔で見つめた。
「あっそ」
「あ、もしかして妬いてる?」
スタスタと歩いていくエドを追いかけて朝宮は言った。
「んな訳ねーだろ」
「・・何か今日のエド冷たーい」
「うっせーな!!そんなに大佐がよけりゃ、大佐に相手してもらえばいいだろ!!」
「何・・言って…」
「あぁ!どうせ俺はガキだよっ!!大佐みたいに女に囁く甘い言葉なんてもっちゃいねーよ!悪かったな!!」
「な…何よその言い方!?」
長々と待たされたあげくに急にキレられては、こちらも我慢の限度を越える。
「大体アンタが悪いんじゃないっ…今日が何の日だか解ってて私を待たせてたんじゃない!!」
「俺だって色々とあんだよ!!」
「私にだってあるわよ!!」
「俺の比でもないだろっ!!」
「何よっ…国家錬金術師が誰よりも忙しいっていうの!?調子に乗らないでっ…年下のクセにっ!!」
叫んで朝宮は『はっ』となる。エドの顔が少し歪んだ。
「ごめん・・私…」
なんて事を言ってしまったんだろう。
そんな事関係無いのに・・。
「なぁ…やっぱ・・辞めようぜ・・俺達、合わないんだよ」
「…何で…そんな事・・」
「お互い、色々あるから中々会えないし…今みたいに、どうでもいい事ですぐにケンカするし・・」
「辞めてよエドッ!」
「何でだよ?お前も、俺みたいなガキとじゃなくて・・もっと…―」
「私は!・・私は、エドが好きなの…確かに大佐はカッコイイけど…でも!私にとっては年下でもチビでもエドが一番なのっ…エドが好きなの」
バカだ私。
涙が止まらない。
エドの気持ちが確かめたくて
ちょっと妬いてほしくて
それだけだったのに…
なんでこんな事になったんだろう…。
嫌な沈黙が場を支配する
「…チビは余計だ・・」
エドの顔が少し赤い。
「エド?」
「…・・やる…」
返事の代わりに小さな包みが投げてよこされた。
中を開けるとそこには指輪が一つ。
「欲しがってただろ・・それ」
「うん・・でも…私、エドに何も…」
困惑する朝宮にエドがニッと笑い、その手を引いて突然唇へキスをした。
「俺は、これもらった♪」
朝宮の顔が朱に染まる。
どうしよう
エドからのキスなんて初めて・・
「あ、わりぃ!俺まだ調べ物が残ってんだ!!晩飯には必ず行くからっ…」
両手を合わせて頭をさげるエド。
朝宮は仕方ないというように口を開く。
「はぁ…その代わり!晩御飯に遅れたら承知しないからね」
「あぁ!」
「その前にっ…」
言って駆け出そうとしたエドの髪を勢い良く掴む。
エドは涙目になって振り向いた。
「エドは、私の事好き?」
「あのな…」
「私は言った。エドも言って」
「…・・…・・好きに決まってんだろ・・」
「ふふ・・行ってよし!」
小さな声で照れながら言うエドに愛しさを感じずにはいられない。
私は駆け出して行くエドの背中を見つめながら、もらった指輪を左薬指にはめた。
サイズは調度良い
これは
私が
―エドの彼女である証・・―
END
彼女の名は朝宮。
エドワード・エルリックの3つ年上の恋人である。
そして彼女はその恋人を待っていた。
付き合って一年。
今日はその大切な記念日だというのに・・
「あ~っ!もう!!何やってるのよあのチビッ!!」
叫びながら人一人出てくる気配の無い扉を睨んだ。
そして睨んだ先に青軍服が二つ並んであるいてくることに気がついた
黒い髪の男と金髪の女性。
朝宮は意とせずその男に見とれてしまっていた
そして、その男が自分の目の前で停まるまで朝宮はその事に気付けなかった
「…私に何か?」
男はたいしていぶかしがるわけでもなく、むしろ少し妖しげな笑みを浮かべて口を開いた。
男の声が耳朶を打つ。
その声は大人の男性特有の低い声で、そして甘い声だった。
「べ、別に、何でも無いですっ・・ごめんなさい…ジロジロ見てしまって」
何だか照れてしまってまとこに顔を見ることができない
そんな様子を見てか、男が小さく笑った。
「あのっ…軍の方・・ですよね…?」
(そんな事制服を見れば解るじゃない!)
「エドワード・エルリックがどこにいるか解りますか…?」
先ほど呼びに行ってくれた男が去ってから随分経つ。
せっかくなので朝宮は聞いてみることにした。
「君は彼の知り合いか?」
聞かれてドキリとする。
別に自分たちの関係を隠す必要はどこにも無いのだが…。
「は、はい。・・何だか性格の悪い上司がいて、よく面倒を押しつけられるっていつも言ってたので…もしかしたら何かしてるんじゃないかって…」
(初対面で何言ってるのよ私!もしこの人がその上司だったら大問題じゃない!)
「ほぉ…それは危篤だ・・ちなみにその上司の名は?」
「ぇ・・えっと…確か・・ロイ・マスタング大佐って方らしいです…あの・・それで・・エドの事なんですけど…」
「あぁ…鋼のならすぐに来ると思うよ。私が来たのを見て突然柱に隠れたりしていたから」
「はぁ…?」
正直意味がよく解らなかった。
(この人と仲悪いのかな?)
ある意味それは的を射ているのだが、今の彼女に気付く余地は無い。
「大佐、車が」
頭の中で『?』を回していた朝宮の思考断ち切るかのように金髪の女が男に言った。
「た・・大佐…?」
もしかしなくてもと頬を汗が伝う。
大佐と呼ばれた男の顔がニヤリと笑ったのを見たような気がした
「あぁ…自己紹介をしていなかったな・・私の名はロイ・マスタング。以後お見知りおきを…お嬢さん」
そう言って男―もといロイは朝宮の手を取り、その甲に口付けて去って行った。
「・・うわぁぁ…どーしよー」
「何が『どうしよう』だよ」
「エド!?」
朝宮が慌てて振りかえると、自分の目線より少し下にエドの超不機嫌な顔があった。
実のところ朝宮の方が少しばかり背が高かった。
「だってさぁ、マスタング大佐ってすごくカッコ良くない?なんていうかさぁ…『大人の男性』って感じで・・あんな人に愛されたらそれだけで幸せだろうなぁ…」
乙女手を組んでロイが去った方を見つめる朝宮をエドは更に不機嫌な顔で見つめた。
「あっそ」
「あ、もしかして妬いてる?」
スタスタと歩いていくエドを追いかけて朝宮は言った。
「んな訳ねーだろ」
「・・何か今日のエド冷たーい」
「うっせーな!!そんなに大佐がよけりゃ、大佐に相手してもらえばいいだろ!!」
「何・・言って…」
「あぁ!どうせ俺はガキだよっ!!大佐みたいに女に囁く甘い言葉なんてもっちゃいねーよ!悪かったな!!」
「な…何よその言い方!?」
長々と待たされたあげくに急にキレられては、こちらも我慢の限度を越える。
「大体アンタが悪いんじゃないっ…今日が何の日だか解ってて私を待たせてたんじゃない!!」
「俺だって色々とあんだよ!!」
「私にだってあるわよ!!」
「俺の比でもないだろっ!!」
「何よっ…国家錬金術師が誰よりも忙しいっていうの!?調子に乗らないでっ…年下のクセにっ!!」
叫んで朝宮は『はっ』となる。エドの顔が少し歪んだ。
「ごめん・・私…」
なんて事を言ってしまったんだろう。
そんな事関係無いのに・・。
「なぁ…やっぱ・・辞めようぜ・・俺達、合わないんだよ」
「…何で…そんな事・・」
「お互い、色々あるから中々会えないし…今みたいに、どうでもいい事ですぐにケンカするし・・」
「辞めてよエドッ!」
「何でだよ?お前も、俺みたいなガキとじゃなくて・・もっと…―」
「私は!・・私は、エドが好きなの…確かに大佐はカッコイイけど…でも!私にとっては年下でもチビでもエドが一番なのっ…エドが好きなの」
バカだ私。
涙が止まらない。
エドの気持ちが確かめたくて
ちょっと妬いてほしくて
それだけだったのに…
なんでこんな事になったんだろう…。
嫌な沈黙が場を支配する
「…チビは余計だ・・」
エドの顔が少し赤い。
「エド?」
「…・・やる…」
返事の代わりに小さな包みが投げてよこされた。
中を開けるとそこには指輪が一つ。
「欲しがってただろ・・それ」
「うん・・でも…私、エドに何も…」
困惑する朝宮にエドがニッと笑い、その手を引いて突然唇へキスをした。
「俺は、これもらった♪」
朝宮の顔が朱に染まる。
どうしよう
エドからのキスなんて初めて・・
「あ、わりぃ!俺まだ調べ物が残ってんだ!!晩飯には必ず行くからっ…」
両手を合わせて頭をさげるエド。
朝宮は仕方ないというように口を開く。
「はぁ…その代わり!晩御飯に遅れたら承知しないからね」
「あぁ!」
「その前にっ…」
言って駆け出そうとしたエドの髪を勢い良く掴む。
エドは涙目になって振り向いた。
「エドは、私の事好き?」
「あのな…」
「私は言った。エドも言って」
「…・・…・・好きに決まってんだろ・・」
「ふふ・・行ってよし!」
小さな声で照れながら言うエドに愛しさを感じずにはいられない。
私は駆け出して行くエドの背中を見つめながら、もらった指輪を左薬指にはめた。
サイズは調度良い
これは
私が
―エドの彼女である証・・―
END