†指輪†
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「ロイ・・今すぐ忘れさせて…」
ロイは驚きながらも少し戸惑っているようだった
「大丈夫…初めてじゃないから・・」
言うとロイは少し苦笑した
「それとも・・卑怯な女は抱けない?」
「言っただろう・・?自分のモノになるなら構わないと…」
抱き上げられて
「ごめんね・・ロイ…」
一度だけ謝って
一度だけ泣いた
口ではロイの名前を呼んでいたけど
心の中でずっとマーズの名前を呼んでいた
マース・・少しでも私を愛してくれていた…?
それだけが
知りたい
そうして
私はロイと付き合う事になって
それでも
いつもの昼は崩れなかった
ただ
マースが食べる物が
私の物ではなくなったこと
マースの中の世界一が
私ではなくなったこと
そういう話題になった時
いつもマースの前でロイは私にキスをする
そんな時
私はマースの顔色を伺うのだけれども
何も言ってはくれなかった…
そうしていく内に
マースとグレイシアが結婚して
ロイがイーストに飛んで
エリシアちゃんが産まれて
私は独りで
そして
マースが殉職した
「・・幸せにならないと承知しないって言ったのに…馬鹿・・」
煙草の煙を吐き出しながら呟いた
「…君は幸せになったのか・・?」
聞きなれた声
「…なれたよ・・」
立ちあがって
墓標で煙草を揉み消して
ロイの襟を掴んでキスをする
「…グレイシアに会ってくる・・」
「大丈夫か」
「…後で抱いて…」
新しい煙草に火をつけて私は足きだした
ごめん
まだ
マースを愛してる自分がいるの
「千麟!」
突然呼びとめられ、振り返った瞬間に小さな物が投げてよこされる
見覚えのある指輪
内側に彫られていた文字は
『I wish your happiness Maes・hughes』
私が
あの日壊した指輪
どうしてここにあるの・・?
「あの後・・それを修復するように頼まれた…」
どうして
「千麟を・・幸せにしてやってくれと…」
嘘
「あの日・・君が見たのは…誤解だったんだ・・」
「・・う…そ・・」
「君の親友を一緒に夕食に誘って…ただ、躓いた彼女を支えていただけだったと…」
「う・・そ」
「すまないっ・・君を騙していた…」
こんな事って・・
こんな事ってない…
「マー・・ス…」
涙が止まらない
でも
私より辛いのは…
「ロイ…ごめんっ・・ごめんなさいっ…」
謝っても
時は戻らない
私は
ロイも
マースも
グレイシアさえも
傷つけていた
「・・ロイっ…私を愛して・・馬鹿な私を見捨てないでっ…」
「ずっと…愛している」
優しく抱きしめられて
また涙があふれて
私は
愛されていた事に気付いた…―
マースからの指輪は
今も
彼の墓標に
置かれている…
END