†絵の中の大佐†
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最近
いつも
お昼頃になると
何故だか
こっちを見ている人がいて
井出達から
軍人だって事は解る
それだけで…
私はある日
勇気を振り絞って
「何か?」と聞いてみた
すると
「いや、気にしないでくれ」
という返事が笑顔と共に返って来て
どうもそれだけで会話を終わらせるのは問題だと思い
色々と聞いてみたりした
私も
相当遠慮が無いな…と自分であきれた
話を聞いていると
彼は東方司令部の司令官『ロイ・マズタング大佐』だそうで
私は軽々しい口をきいた事を即座に謝った
だって
彼はあまりにも若くて
とてもそんな地位にいいるようには見えなかったから
すると彼は
「これから私を知ってくれないか?」と言い
「私もこれから君を知ることにしよう」
と言った
そして
「君の名前は?」
と笑顔で言われ
「朝宮です…」
と答えると
「可愛らしい名前だな…。また君に会いにくるよ」
と言って去って行ったのが
私達の始まりだった
始まりと言っても
この場所で
お昼頃に
何気ない話をする事
私は、彼が来るまでの間いつも絵を書いていた
そう
私は画家を目指している
「朝宮、はかどってるかね?」
そう言って私の隣に腰掛け、缶ジュースをいつも私に差し出してくれる
それだけで
どうしようもなく緊張する
「はい…でも…大佐がいらっしゃると筆が進まなくなります…」
「それは私が邪魔をしているという事かね?」
大佐は苦笑していい、私は自分の軽率さにあきれながらあわてて立ちあがった
「違います!あのっ…」
あせって立ちあがったせいで、画板に挟んでいた絵がバラバラと足元に落ちてしまった
「あぁっ!!?」
見られてしまっては困る物がそこにあるというのに…
「きゃあぁっ!!見ないで下さいっ!!」
といって集めだしたのだが
その絵の内数枚は既に大佐の手の中にある
「いつもは完成品を見せてくれるのに…余程マズイものと見える…どれ」
意地悪く
無邪気な子供のいたずらのように笑って言った
「ほぉ…これは私か?」
顔があつくなるのがわかる
「えっとっ…ごめんなさい!!」
とりあえず即座に口をついたのは
謝ることだった
なんか謝り倒してるな…
私は
大佐がこちらを見る前から
ずっと彼を目で追っていた
ずっと彼を描いていた
「謝らなくてもいい・・」
「でも…でも…」
私の気持ちに大佐が気付いたかもしれない
そしたら
もうこんな風に会えない
「朝宮」
名前を呼ばれると同時にキス
触れるだけの
軽いキス
「た・・大佐っ…!?」
「これからも私を描いてくれるか?」
「え・・?」
大佐の言っている意味が解らず、私は首を傾げた
大佐はまた苦笑して言葉を選ぶように言った
「…朝宮、私の傍にいてくれるか?」
一瞬頭が白くなる
「…私で・・いいんですか…?」
「『君が』いいんだ」
自分の中で反芻して
また顔が熱を持つのが解った
「はい!喜んで!大佐」
彼はそう応えた私を突然抱きしめて囁いた
「…朝宮、今度から私を呼ぶ時は『ロイ』だ…」
「た…大佐!ひっ…人が見てます!!」
「君が私を呼ぶまで離さない」
「うぅ~…ロイ…」
恥ずかしくて
でも、どうしようも無いので
小さく名前を呼んだ
「良く出来ました。明日の昼、またここで会おう…今度は君の手作りなんかを食べてみたいな・・」
そう催促されては断るわけにもいかず
私は早起きをして
翌日のこの場所にお弁当を持参したのだった…
END