†お昼を一緒に…†
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
君に…
聞いてみたいことがある
それを口にだすのは
どうも野暮だと思う。
そして、私らしくも無い。
こんな事を言う私を
君は
笑うだろうか…?
―・・梓…―
「マスタング大佐!またサボリですかぁ?」
軽快な声が、明らかにこんな所にいる場合じゃないマスタングを呼びとめた。
「まったく…そんな事だからホークアイ中尉に怒られるんですよ?」
彼女の名は梓。
日頃鉄壁な表情をしている彼に気がねなく話しかける大変変わった少女であった。
因みに、彼女はマスタングの部下で、鋼のやホークアイ中尉とも面識があり、ホークアイ中尉に至っては、彼女を妹のように可愛がっていた。
よって、彼がこんな所にいる事をすぐにばらされてしまう可能性の高い人物である。
「リザ中尉には黙っていてくれるか…?」
ここのところ常に監視付きだった彼は、いい加減休息を必要としていた。
といっても、一般人の比ではないが…。
「そうですねぇ~」
梓は少し考えるように親指を口元にあてて唸った。
「そうだ!お昼、おごってください」
梓は無邪気に笑っていった。
「君は上司を脅しているのかね…?」
あきれたようにマスタングが言う。
それを梓は笑顔を崩さず辿る。
「いいえ。等価交換です♪」
再びにこりと微笑まれては、いかにマスタングといえども了承しないわけにはいかなかった。
「やったぁ♪約束ですよ?大佐!」
何故だか嬉しそうに跳ね回る彼女を見て、マスタングも密かに口元を緩めた。
そして、その瞬間…
「うおっ!!!?い、今…マスタング大佐が笑ったっー!!?」
と、驚きの声があがる。
「あら、エドワード君。お帰りなさい。相変わらずちっこいねー」
本人は大して悪びれもなく言った。
「ちっこいいうなー!!」
「カワイイじゃない」
いつもの様に返されては、エドもそれ以上言うのを辞めた。
それよりも不可解な現象があったから…
「な、今、マスタング大佐…笑ってたよな!?」
好奇心たっぷりに聞くエドの横でマスタングはバツが悪そうにそっぽを向いた。
「えぇ、大佐はいつも笑ってるわよ?ね、大佐」
「なにぃっ!!?」
同意を求められるものの、マスタングは答えるわけにはいかなかった。
自分より随分下の位置で石化しているエドの前では尚更…
「あ、そんな事よりお昼!大佐、街の方においしい所あるんです☆さ、行きましょう」
マスタングはそうして梓に引きずられるようにして街へ繰り出す事になった…。
因みに…
エドワードが石化から開放されたのは、マスタングの逃走を発見して探し回っているホークアイ中尉に助けられてかららしい…。
マスタングが去って、約30分後の事である。
「あーおいしかった♪ごちそうさまでした」
パン、と手を合わせた梓は、マスタングにお礼を言う為満面の笑みを浮かべる。
「ごちそうさまでした、大佐☆」
その表情に、食後のコーヒーを楽しんでいたマスタングの口元が緩む。
「あ、大佐!今笑いましたね?」
ぷーっと顔を膨らませ、何がおかしいのよと言わんばかりの顔でマスタングを見つめる。
そんな表情でさえ愛しく思えるからこそ口元を緩めるのだ…
という事は口が裂けても言えないマスタング大佐。
言葉に出す代わりに彼がした事は
梓の頬に触れてその名を呼ぶ事
「・・梓…」
「はい?」
「君は…私をどう思うのだね…?」
「どう…とおっしゃいますと?」
ほえ、と首を傾げた梓をマスタングはまっすぐ見つめた。
「私は君を……・・いや、辞めておこう」
言いかけてマスタングは席を立った。
伝票を持ってレジへ向かう。
「ちょ…ちょっと待ってくださいよ~マスタング大佐ぁ~」
先ほどまでの甘い囁きに多少なりとも緊張していた梓は、あわててマスタングの後を追った
梓がおいついた時は、既に会計を終え、店の外に出た後だった。
「待ってくださいよ!大佐!!気になるじゃないですかぁ~」
そう言ってマスタングの腕にしがみつく。
「やっぱり、上司にどう思われてるかって・・凄く…気になるじゃないですか…大佐がおっしゃってくださったら・・私も言いますから…」
少し顔を赤らめて梓が言う。
マスタングも少し覚悟を決めることにした
歩みを止め、梓の方を向いた。
言葉にするのはどうも難しい
いつも出てくるような軽口が見当たらない…
マスタングは梓の顎に手をかけ、上を向かせた
「大佐?」
そして
優しくキスをした
短いキス
梓の思考は暫し停止した
「えっ…えぇっ!?…い、今…大佐の顔が真正面にあって、唇が触れて、なんだか温かくて…えと・・えっと…」
「いちいち状況を説明してくれなくていい…私が恥ずかしくなってきた…」
マスタングの頬が少し紅に染まる
「で、君は私の事をどう思っているのかね?」
「え…えっと…そぉの…」
とにかく顔が熱い。
「・・大佐の事…嫌いじゃないです・・で、でも!その…恋愛とか、そういうのだと…えっと…えっと…解らないです!!」
言って顔を上げると、マスタングの少し悲しそうな顔が目にうつる。
「ご、ごめんなさいっ…私・・」
なんだか悪い事をしているような気になってしかたない。
「いや、聞けてよかったよ…私にも、まだ望みはあるという事だからね」
マスタングは激しく困惑する梓を見つめ、片手で頬に触れ、再度口付けようとする
「あ…あの…マスタング大佐・・」
「なんだね?」
「えっと…えっと…」
―――カチッ・・―――
頭の後ろで激鉄を起こす音
「大佐…何をしておいでですか…?」
「リザ中尉…」
マスタングの端正な顔がみるみる間に青ざめていく
「こんな道の往来で、大佐ともあろう人が何をしているんですか!!梓!貴女も嫌なら嫌と言わないと、この人は何をするか解らないわよ?」
「私を一体なんだと思っているのかね?」
「優秀なサボリ常習犯と心得ていますけど…」
そういって車に押し込まれたマスタングは、優秀な部下によって執務室に拘禁されたのでした…
END
1/1ページ