†Call me,Call you†
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そうして時間が経ち、私は夕食の片付けをしていた
「すまないね。何の手伝いもしないで…」
声をかけられて振り返れば、すぐ後ろにロイさんが立っている
「ロイさんはお客さ……」
「ロイでいい…私は君の事をリョウと呼んでいるしね」
人差し指を唇にあてられ、私は一瞬戸惑った
顔が赤くなるのが解る
「…ロイ…」
「敬語も無しだ」
「…年上ですし…」
「ガイルやレックスには使わないだろう?」
「…」
何を言っても勝てない
こんな優しい目をされては
何も言えなくなる
見つめれば見つめるほど吸い込まれそうな黒い瞳に
無意識に引き寄せられる
「髪が一房紅いんだな…」
「変でしょ…」
「いや…綺麗だ」
言って彼の唇が髪に触れる
「水の中にある焔のようだ」
「ぇ…」
「くぉらロイ!リョウを口説くなっつてんだろうが!!」
突然の叫びは階段の手すりから身を乗り出したレックスから発された
階段を駆け下りてきたレックスは噛み付かん勢いでロイを引き剥がす
「落ち付けレックス。まだ何もしてないだろう」
「まだって何だ!?何かする気だったのか!?」
「…いや。言葉のあやだ…とにかく、何もしてないのにそれはないだろう?」
苦笑気味に彼が言う
「お前は何もしてない時がヤバイんだよ!」
「レックス!!そんな言い方しなくてもいいじゃない!失礼よ!」
反射的に口をついてレックスを叱る
振り返ったレックスはひどく顔をしかめていた
「お前なぁ…」
「レックスは過保護すぎるの!ガイルなんかレックスに輪をかけて過保護なんだから!」
そう言うとレックスは渋面を浮かべて押し黙った
あぁ
傷つけたのかもしれない
上手い言葉が見当たらなくて私はポツリと呟いた
「嬉しいけど‥もう19なんだから…///」
「そーだな…わりぃ……お、そうそう。今週中にはここを出るから用意しとけってガイルが」
「ホント?セントラルに行くんでしょ?楽しみにしてるから♪」
言って洗い物に取り掛かる
「君達の姫は可愛らしいものだ…」
ロイの声が後ろでしていると思った時だった
「おやすみお姫様」
という声と共に頬に温かい物が触れた
「ローーイっ!!!!」
癇癪を起こしたようなレックスの叫びと、ロイの笑い声
それが彼の唇だと気付くのにどれだけの時間を要したのだろうか…
理解した瞬間に私は今まで以上に顔赤くした
「ったく…あのヤロウ‥油断も隙もあったもんじゃねーな……おいリョウ!あれに惚れんなよ?ちゃんと女がいるんだからな」
「夕飯の時に聞いた。レックス…私のお父さんみたい」
「おと…」
レックスがまた渋面を浮かべる
「帰って来てくれて本当によかった…独りは寂しかったから‥」
レックスが柔らかく笑った
「おやすみ…リョウ」
「おやすみ、レックス」
つられるように笑い返して階段を上るレックスを見送る
独りだった時間が長く感じたから
一緒に居れる時間が酷く短く感じる
何も贅沢なんて言わない
ガイルと
レックスと
3人で穏やかに暮らせる日常があれば
他は
何も要らない