†Call me,Call you†
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『明日着くから』
電話越しに聞こえた声はかなり久しぶりだった
あれから半年
2人が帰ってくる
私はそれだけで心踊った
『そっちに着いたら会わせたい奴もいるんだぜ』
「何それ?」
レックスの声に私は笑った
『おい!電話変わってやっから!』
『レックス落ち付けって…』
電話口から様々な言葉が飛び交う
彼等は相変わらずだ
『…もしもし?』
「…どちら様?」
聞きなれない声に首を傾げた
『レックス…何も話してないのか?』
『リョウ!悪いっ…列車でちまう!また説明す…』
言い終わらない内に電話が切れた
忙しない
解るのはお客が来るという事だけ
「綺麗な声の人だったな…」
男性特有の低い声
夜の静けさのような柔らかさがあった
どんな人だろうかと興味が湧く
「明日の夕飯何にしようか…やっぱりチキンのシチューかな…」
2人ともこれが好きだった
お客の好みは解ら無いけど
この際どうしようもない
明日が酷く待ち遠しい
そう思いながら見上げた空は
やっと日が傾いたばかりだった…
言葉がでなかった
二人を見ては言う事が無かった
「「ただいま」」
「おかえり…独りで淋しかったんだから‥」
言って二人の腕に抱き着いた
「相変わらずだな」
ガイルがクスリと笑う
「ロイ!んな所に隠れてねーで出てこいよ!」
「ロイ?」
「ホラ、昨日電話で出た奴」
二人がニヤニヤと笑った
「な、何?二人ともニヤニヤして…」
戸惑いながら聞いた私は、その笑みの意味をすぐに理解する事になる
開けっ放しの扉からゆっくりとそれは現れる
制服の青がなんて似合う人だろうと思った…
漆黒の髪に
漆黒の瞳
涼しげな顔立ちの中に見える温かさ
昨日聞いた声が想像させる姿に同じだった
「初めまして…ロイ・マスタングです」
「あ‥えっと…リョウ・グラッセルです」
差し出された手を握り返して私は自分でも赤面していくのが解った
なんて綺麗な笑顔をするんだろう…
限りなく自然に近い作り笑い
「リョウ…優しい名前ですね」
「あの‥普通に喋っていいですよ…?」
「ロイ、リョウを口説くな!」
照れてた私を後ろから抱きすくめたのはガイル
それと同時に左手をレックスに取られる
なんとも言えぬ素早さに
私は一瞬何が起こったのか理解しそこねた
「俺達の姫だからな」
レックスの言葉に私はまた赤面する
「ただし…」
フッと耳に息を吹き掛けられ
思わずガイルに肘を喰らわせてしまう
「っ‥ちょっと凶暴…」
「確かに…注意しよう」
軽く笑って彼は言った
恥ずかしい
「こいつは、俺達と一緒に試験に合格したんだ♪すげーだろ?俺達3人だけしか受からなかったんだぜ!」
揚々とレックスが語る
「その話はまた夕飯の時に聞くわ。先に荷物を置いてきなよ?部屋はそのままにしてるし、ロイさんには…父さんの部屋を使ってもらうつもりだから…」
言った途端に二人の表情が真剣身を増した
「その事だけどな、実はロイは全部知ってるんだ。俺達が練成陣を使わない事…それで、研究書の解読を手伝ってもらおうと思って…」
ガイルが言った
父の研究書は何故だか所々が焼かれたり
破れたりしていて読み取る事が出来なかった
「じゃあ…明日から篭る?」
聞いてガイルは頷いた
二人は一度篭ると丸一日は出てこない
食事の時間も惜しんで没頭する
だからその辺りの事は私の仕事だった
「とにかく荷物を部屋に置いてきて。シチューを温めるから。二人の好きなチキンのシチューよ」
「解った♪」
揚々として階段を上がっていく2人を見て
どうしようもなく懐かしい気分になった
半年会わなかった時間が
こんなにも長かったなんて思いもしなかった