†National alchemist†
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翌日
葬儀が終わり、私は一人墓標の前に立ち尽くしていた
「父さん…」
呟いて
また涙が滲んだ
「リョウ…そろそろ帰ろう」
「風邪ひくぜ?」
振り返ればそこには彼等がいた
せめて彼等の為に笑っていたい
私を護ってくれる掛け替えの無い人達が
笑っていてくれるよう
「…そうだね…お腹空いたし…帰ろっか」
ゆっくりと歩いて
差し出された二人の手を取る
「因みに今日の夕飯はチキンのシチューね」
「いーね♪」
「リョウのシチューは格別に美味いからな♪」
「言っとくけどシチューだけしか作れないわけじゃないんだからね!」
「「解ってるって」」
言って3人で笑った
せめて
彼等を喪う事にならないように…
「今…なんてっ!?」
食事の席で私は思わずスプーンを取り落とした
「村長がよそ者を置けないって。だからセントラルに行って国家錬金術師資格を取ろうと思ってる」
「よそ者なんて酷いっ…明日もう一度村長にっ…」
「いいんだリョウ」
それまで黙っていたガイルが言葉を遮った
「ここは田舎だし、義父さんが養子に俺達を引き取る事になった時歓迎されてなかった事も知ってる」
この田舎は自分達の閉鎖的な環境を荒されるのを酷く嫌う
きっと私も追い出されそうになったのをレックスが説得してくれたに違いない
「どちらにせよ、今のままじゃ生活できないし…もう俺達は20だ。村から出ても問題無い」
「でも!軍の狗だよ!?戦争になったらっ…死ぬかもしれないん…そんなの嫌…」
さっき喪う事のないようにと祈った所
大切な人達が傷つかないようにと…
ガイルとレックスが困ったように顔を合わせる
でも、これは譲れない
「……解った…私も国家錬金術師になる」
「「駄目だ」」
「どうしてっ!?」
2人同時のセリフに抗議した
「だって、リョウはこの村を出る必要が無いだろ」
「酷いっ…!!置いて行く気だったのっ…!?」
素直にショックを受けた
ずっと一緒だって思ってたから
「私も連れてって…今更置いて行くなんて言わないで」
「リョウ…待っててくれないか?」
「何を…?」
ガイルの言葉に首を傾げる
「俺達が国家資格を取るまで…リョウには家で帰りを待ってて欲しい。帰りを迎えて欲しいんだ」
「そうだな…すぐに取れるかわかんねぇし」
そんな言い方されたら
頷くしか無いじゃない…
「…国家錬金術師の資格を取ったら、俺とレックスで真っ先に迎えに来る」
「ホントに?」
「絶対」
「…待ってるから」
言って席を立つ
「リョウ?」
「どうせ2人の事だから明日には発つつもりなんでしょ?列車で食べる物作らなくちゃ」
沢山文句はあったけど
やっぱり私は『女』で
やっぱり『男』には色々と勝てない事がある訳で
彼等の考えてる事が何か解るから
私は黙る事にした
翌日
町で買った流行りモノの指輪に、今はもう意味のない練成陣を書いて
私達は絆の証とした
練成陣を使わず練成する事も秘密で
ある属性のモノを練成する事も隠して
2人はセントラルへ向かった
約束を
必ず帰ってくるという約束をして…