†National alchemist†
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「リョウ…大丈夫か…?」
「ん…ガイル…?…気持ち悪い…」
起きあがって周囲を見渡す
何も変わっていない
「実験は失敗したの…?」
まさか
父は絶対の自信を持たない限り実験はしない
それを私達は誰よりも知っている
不安にかられて胸の前で組んでいた手を離し
何気なく檻に触れた時だった
突然の光と共に鉄の檻は分解され
鉄の塊となって地面に落ちた
「リョウ!?何したんだ!?」
ガイルに起こされたレックスが叫ぶ
「し・・知らない…!触れたら勝手にっ…」
私自身、今起こった事が何なのか解っていなかった
「勝手にって…練成が勝手に起こる訳無いだろう!?」
「でもっ・・組んでた手を離してこれに触れただけで…」
ガイルがはっとして私を見た
「義父さんの言ってた『錬金術においての完璧』って…これの事か!?」
「まさか…」
言ってガイルとレックスが実践する
結果は二人とも私と同じだった
「何でこんな事にっ…父さん!父さん!?」
叫んでも返事は無い
「くそっ…とにかく灯りをっ…!?」
「っ…レックス…?」
叫んだレックスの周囲を水の塊が漂った
「おい…これ…」
狼狽するガイルの掌には炎が静かに身を燻らせていた
「何なのこれ…」
確かに理論上、空気中から水や炎を作り出す事は可能だ
水は空気中の水分を集結させればいいし
炎は摩擦から起こる熱を増幅させればいい
水や炎の構成は父から教わって理解はしている
でも、意とせずして練成が行われるなんて…
そんな事ありえない
「どうしてこんな事になったの…」
後ずさりながら檻に触れた時、突然電流が駆けぬけ
天井までたどり着くと照明に光を与えた
「…何よこれ…父さ…」
「「見るな!!」」
振り返ろうとした私に二人の静止が入る
ガイルに抱きとめられ
レックスが前に立ち
それでも振り返った半身は
血まみれの床を捉えた…
「と…さん…?ぁ…や…いやぁっ!!!!離してガイル!!父さんっ…父さんっ!!」
「ガイル!リョウを連れて行けっ!」
「いやぁぁっ!!!!」
レックスに言われてガイルが私を抱き上げて小屋を出て行く
たった一人の肉親だった
母が幼い時に家を出て、それ以来男手一つで育ててくれた
こんな形で無くすなんて…
「ガイル、リョウ、義父さんには木棺を作ったから…」
小屋から出てきたレックスが静かにそう言った
「レックス!父さんはっ…」
「合わない方がいい…リバウンドであちこちが破損してる」
レックスに掴みかかるようにして叫んだ私を、どうしようもないといった瞳でガイルが引き剥がした
レックスが言葉を選んだのはすぐに解った
もしかしたら人の形をしてないのかもしれない…
それでも
会いたい…
「俺…村長の所行ってくる」
「レックス、俺も…」
立ちあがったガイルの手を咄嗟に掴んでしまう
「リョウ…?」
「お願い…どっちか傍にいて…今・・独りにしないで…」
自分がどれだけ我侭か解ってる
ガイルもレックスも辛く無い訳が無い
でも…
「ガイル、お前このまま家に帰ってリョウを休ませろ。俺一人でいい」
「…解った」
「我侭言って・・ごめんなさい…私…」
呟くように言った私の頭にレックスの手ふが柔らかく置かれる
「リョウ、俺達が護るから…安心しろ…」
「…うん・・」
レックスは一度微笑んだ後、村長の家へと足を向けた
私はいつも護られてばかりだ
このままじゃいけないと思うけど
いつも思うだけで流されてる…