†Foll dwon me†
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土がかけられていって
彼の棺が埋まって行く
最後に嘘みたいに白い石が置かれて
彼の墓は完成した
「…リョウ…君の家に帰ろう…」
「いゃ…誰も居ない…あの家に帰るのは…いや」
「…ならば私の家に来るか?ほっておいたら…後を追いかねない…心配なんだ」
「…ぁりがと…も…少しだけ…ここに居させて…」
瞳から涙はあふれるのに
何故か意識はしっかりとしていて
頭では理解してるのに
感情が理解してない
嫌にはっきりとした頭の中で
私は人体練成の理論を組み立てようとしている
それは
こんがらがった頭では考え切れなくて
そんな私が
嫌にはっきりとした意識が
どうしようもなくたたずむ私を
どこか遠くで見ている
ねぇ
今はロイが支えてくれないと
立ってられないよ…
「ここを好きに使ってくれたらいい」
そんなロイの声を遠くで聞いていた
「…夕飯は何がいい?外は出にくいだろうから私が何か作ろう」
「…ごめ…なさぃ…何も…らなぃ…」
「じゃあ。何かして欲しい事は?」
ゆっくりと微笑まれて
それが何故か
ひどく儚く見えて
そこで初めて
彼の痛みに気付いた
「ロィ…?」
両手を伸ばして彼の頬に触れる
「ごめんなさい…」
「謝らないでくれ…君は何も悪くない」
言葉と同時に抱きしめられて
震えた声が
耳元で聞こえた
「ガイルに…君の事を頼まれた」
それは解ってた
予想できてた
「…だが…ガイルの影を引きずった君に…何をしたらいいか解らないんだ…」
だから
彼の笑みが
痛かったんだ
守ろうとしてくれてるから
彼の腕は温かいんだ
「傍に居て…それだけで…いい…」
ロイが
辛く無い訳じゃない
私だけに
かまけてる場合じゃない
自分の痛みも
悲しみも
癒さないで
塞がないで
押し殺して
私を
見ている
ごめんなさい
まだ
守られたままだ…―
そうして
私は
いつしか
ロイに
抱かれて
眠るように
なっていた
あくまで
自然に
気付けば
躯を合わせていた
愛してるから?
違う
きっと
求めてるだけ
亡くした物を
求めて
身体で
補おうと
しているだけ
「…」
「どうした…?リョウ」
ベッドの中で寝入りかけてたロイがそう言った
「ロイ…お願いがあるの…」
「ん?」
「私に国家錬金術師の試験を受けさせて」
驚いた顔をしてロイが私を見つめた
「何を急に…第一、君は錬金術を…」
言いかけたロイの口を片手で塞いで、枕もとのスタンドライトに触れる
電気の走る音がして
少しの点滅の後に電球が明かりを点した
「…ガイルやレックスは…やっぱり内緒にしてたのね…」
「まさか…君も…あの実験に…?」
黙って頷く
まだ
守られていた
この事が軍に知れたら
間違いなく
実験室送り
だから
万が一の事を考慮して
ロイには
秘密にしてるだろうと
思っていた
「…守られるのは…もう…嫌なの…」
守られたまま
無力になくしていくのは嫌だから…
「君が…そう言うなら止めはしない…早速明日にでも申請しに行こう」
「…ごめんなさい…」
言うと彼は苦笑した
「謝る必要は無い…私は君を任されているからね」
「…だから…抱くの…?」
聞いてはいけない事を
聞いたような気がした
「…違う…そうじゃない」
言ってロイが覆いかぶさるように両手をつく
「私は愚かだから…こんな方法しかしらない…君に愛されたいんだ…」
呻くような
呟き
「無理よ…私は…もう誰も愛したくないの……明日…試験を受けたら家に帰るわ」
「そうか」
それっきり
ロイは何も言わなくなってしまった
少し哀しげな顔をして
眠ってしまった
「…サイテー…」
自分に向けて小さく呟く
こんなにも愛されているのに
想われてるのに
どうして
あの人の影を追うのだろう
違う
追いかけてるからじゃない
私が
怯えてるから
再び失う事を
恐れているからだ
だから
私は
彼を
愛さないフリをしてる
本当は
愛し始めている
ガイルが
過去の人になって…
私には
それが
恐い