†The Origin†
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
雨が降っていた
何だか酷い胸騒ぎに襲われて
いつもより早く目が覚めてしまう
着替えて
顔を洗って
食事をして
いつもと変わらない朝だと
そう信じようとしていた矢先
珍しく
呼び鈴が鳴った
扉を開けると
雨に打たれたロイの姿
黒いコートを羽織って
青い礼服に
黒の喪章
彼は私を見止めると
悲痛な面持ちで一度だけ敬礼した
「…っ…うそっ・・」
それが何を示すかすぐに解った
「二人とも…なの…!?」
ロイは答えない
それが全てを肯定していた
「嘘でしょ・・!?連れてって…私を二人の所に連れて行ってっ!!」
何も答えないロイは
そのまま私を車へ促した…
「………」
ただ
唖然と立ち尽くした
「・・レックスの遺体は・・爆散して連れ帰れなかった…」
「・・…ガイ・・ル…?ガイルっ!!お願いっ!!返事をしてっ!!ガイルっ…」
血が滲んで汚れてる包帯
身体の半分以上がそれに覆われていて
私はそれでもガイルにしがみついた
返事を期待していた
温もりを感じたかった
なのに
ガイルの身体は
冷たくて
硬い
「帰るまでもたなかった・・」
「どうして…どうして助けてくれなかったのっ!?…彼を返してっ!!レックスをっ・・ガイルを返してよぉっ!!」
言っても仕方ないのは解ってる
ロイが悪いわけじゃない
彼が甦る訳じゃない
それでも
生きてる者を恨まずにはいられなかった・・
これで私は独りになった
私達が幸せになることなど許されないのだと
現実が物語っている
あの日からずっと
私達は罪を背負っていた…
私の父は村の中でもあまり目立たない人だった
けれど、錬金術には国家錬金術師に勧誘されるほど長けていて
それでも資格を取らなかったのは
何かの実験をしていて、それを国家に知られたくなかったかららしい
そして父は
孤児だったガイル・スタッドとレックス・ダインを引取り、私と共に育ててくれた
言ってしまえば良くできた人だった
彼等と共に父から錬金術を学んで日々を過ごして
適度な不自由と
適度な幸福
こんな毎日が続くと思ってた
19の夏までは
そう信じてた…
「お姉ちゃん!錬金術!」
「錬金術見せて!」
村の子供達が畑で私にこぞってそう言った
「何度も言うけど、錬金術は便利な魔法じゃないの!遊びでするものじゃないんだから」
「えーけちー」
また子供達が口を揃えて言った
この子達には『等価交換』などと言っても理解できないようで
『錬金術=便利な魔法』
と物語の中の空想と直結している
昔は私もそうだったから、この子達も直に解ると思う
それまでは繰り返し同じ事をいうしか無い
「ホラ、こんな所で遊んでないで、さっさと帰って家の手伝いしなさい」
「・・は~い」
渋々と子供達が駆け出して行く
それでも振り返った子供達に落胆の色はない
次に控える好奇心に駆られて気持ちも駆け出している
私はそれが眩しくて目を細めた
1/2ページ