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「んっ…?」
「気がついたか?」
目を開けると見知らぬ少年がこちらを覗き込んでいた
「さっきまでホークアイ中尉がいたんだけど、会議があるからって出っていった」
「貴方は…?」
ゆっくりと起きあがりその少年を見据える
金髪金眼…確か…
「「エドワード・エルリック」」
少年の声と私の声が重なる
「…鋼の錬金術師…」
「なんだ知ってんじゃんか。そういうあんたは?」
「私は…アズサ・ミカサギ…世話になったみたいね。ありがとう」
「それ言うなら大佐に言えよ。俺達は大佐に言われて中尉を呼んだだけだからな」
「俺達…?」
ここにはエドワード一人しかいない
複数形の言葉に私は首を傾げた
「兄さん!あ…気がついたんですね」
「あれ。俺の弟のアル」
「うそ…」
私はその言葉に絶句した
だって
アレには中身が無い
聞き覚えのある鎧の重音ではなく
中身の無い軽音…
「…どうして中身が無いの…?」
「っ…!?」
「何言って…」
驚愕した二人に私は躊躇い無く両手を合わせて圧を鎧に向かってかけた
予想した通り反響音は乾いていた
「練成陣無しっ…!?」
驚愕したかのようなセリフに対して、私は黙って回答を待った
すると彼は観念したかのように語った
人体練成を試みた事を…
そして今度は私に問うた
「お前…このクナイで何しようとしてたんだ?大佐に・・」
おおかたベッドに寝かされた時に外されたのであろうケースをさしてエドワードは言った
「…殺そうとしてたわ・・」
「なっ…!?」
「大佐も知ってる。私はイシュヴァールの生き残りで、奴の命を狙ってるという事も…」
「どうしてですか?」
それまで黙っていたアルフォンスが声を出した
確か、この兄弟は一度あの人に狙われている
「復讐なんて…」
「貴方に私の気持ちは解らない。私が貴方の気持ちを解らないと一緒よ」
辿るように言うと鎧は一瞬たじろいだ
「でもっ…」
鎧は尚も食い下がった
「頭で理解しても、感情で理解できなければ意味なんて無いわ。所詮自分の事を理解できるのは自分だけよ…それ以外はただの自己満足にしか過ぎないわ。少なくとも私はそう考えてる」
「あんた…寂しいヤツなんだな…」
エドワードがポツリと呟く
「そこが私のフィールドなんだもの…貴方達がいるフィールドとは全く違うわ。理解できなくて当然よ。私だって母親を練成しようとした貴方達の気持ちなんて解らないもの…」
「それは…大切な人を無くした事が無いからだろっ…行くぞアル」
不機嫌に退室したエドワードを背中で感じながら、私は一人笑った
鎧が何かいいたげにとまどっているが、すぐに後を追った
「無くしたことなら…あるわよ…ハヤテ…」
忘れていたあの日の光景が
残像となって今もちらつく
「ハヤテ…私…奴を殺れると思う…?…・・ハヤテ…私を助けてっ……」
いつのまにか漏れた嗚咽が
狭い部屋に響いていた…
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あとがきより注釈抜粋
ハヤテ→『狛司 覇夜弖』 ハクジ ハヤテ
アズサの師匠の名前です。
ブラックハヤテ号のことではないのですが、当時気が付かなかったと書いておりました。
ややこしくなりすみません。