†Afterimage†
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おはようございます」
「おはよう。少尉」
共同執務室に入ったアズサをハボックが迎えた
「中佐、これ13:00(ヒトサンマルマル)までに仕上げろって大佐から…昨日の報告書みたいっスね」
「ありがとう少尉」
これくらい自分でできるだろうに…
そう思いつつ、アズサはペンを取った
近づくチャンスを自ら与えている事には気付いているはずだ
いつまで無能を演じていられるか…
そう思うと口元が緩んだ
「そういや中佐、就任早々大活躍だったらしいっスね。なんでも中佐のお陰で殉職せずにすんだって大佐が言ってましたよ」
「そう…」
「俺から言うのもあれですけど、ありがとうございます」
「…どうして・・貴方がお礼をいうの…?」
私は困惑した
言って欲しいわけではないが
礼を言われる相手が違う
「まだ大佐には死んでもらっちゃ困るんでね」
煙草を咥えたまま彼はニッ、と笑った
「そう…余程人望のある人なのね」
呟いて報告書に取りかかる
感傷に浸るな
相手は私の仇だ
どんな人生がそいつにあっても、それとて私の知る事ではない
書類は
定刻までに完成した
カンッ…と小気味の良い音をたててクナイが木にささった
それに反応するかのようにして奴が目を覚ます
「Good after noon. Incompetent colonel. Please get a person's autograph.」
(こんにちわ。無能大佐。サインを頂けますか)
「…Good afternoon. My competent subordinate.Just a moment…」
(…こんにちわ。私の有能な部下。ちょっと待ってくれるかい)
「Nein」
言って立ちあがったロイの頬をクナイが掠めた
「待てません」
呟くと同時に両手を合わせ地を蹴る
「やれやれ…休む間も無いな…」
そう言って指先を合わせた右手が差し出される
「っ…!?」
発火布!?
まさか
油断していた
無能を演じているのだと甘くみていた
―殺られる―
しかし
次の瞬間に予想できた死の衝撃は襲ってこない
パキンと指を鳴らす音がしたかと思うと、衝撃を少しでも和らげる為に公差させた腕が捉えられる
「悪いクセだな」
『悪いクセだ』
「殺されると思ったのかね?敵を前にして目を瞑るなんて…」
『敵を前にして目を瞑るのは、お前の悪いクセだ』
「…は・・やて…っ…」
目の前の敵が一瞬違うモノに見えた
視界が揺れる
「昼寝の最中に発火布をつけている訳ないだろう?よく見ていない証拠だな」
『攻撃の時によく見ていないから仕損じるんだ』
「あっ…ぃやっ…!!」
頭が割れるように痛む
「…アズサ中佐…?」
忘れてた何かを思い出す
消えては映りを繰り返す映像
「しっかりしたまえっアズサ!」
倒れそうになる体をささえようとしてとっさに奴の服を掴む
「ハヤテっ…!!!」
目を閉じた瞬間
一面の紅が私を襲った…―
「アズサっ…アズサ中佐っ…!!」
読んでみるものの返事は無い
完全に気を失っていた
「うぉい大佐!!真昼間から何やってんだよ…!!?」
どうしようかと考えあぐねていたロイに、なんの偶然か通りかかったエドがあたふたとしたながら声をかける
「鋼のっ…」
「っ…って訳じゃなさそうだな…」
ロイの困惑した表情を見てエドは悪態をつくのを辞めた
「中尉を呼んできてくれないか…?私だけじゃ…どうにもなりそうにないんだ…」
「解った」
エドが駆け出して行くのを見てから、ロイはアズサを抱き上げた
「君を苦しませるのは…私だけじゃないのか…?」
苦悶を浮かべ、ロイは急ぎ足で仮眠室へ向かった…