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夜
強制的に着せられたカクテルドレスをまとい
いわゆるロマンティックな場所へと私は来ていた
何故私がこんな事を…
「どうしたのかね?口に合わなかったのかい?」
「……仇を前にして悠長に食事などできません」
「それは明日からの話だろう?君は今、上司と食事にきているのだぞ」
「……職権乱用…」
呟くとまた彼は静かに笑った
「そういえば…その髪は染めたと言っていたが…実際の色は何色なのかね?」
「…銀です…」
「アルビノというのはやはり色素が足りないのだな…」
ふむ、と唸って暫し考え込む
その時だった
突然甲高い音がテーブルを貫いた
女性達の悲鳴が響く
銃声だった
「ここで会ったが百年目!死ねや!!ロイ・マスタングっ!!」
なんとも陳腐なセリフの後にボーイに扮装していたらしい男が銃を連発した
まともに当ててしまえばいいもの、なんと射撃術のない男か…
他の客に数人被害を出しつつ男の銃はこちらを狙っていた
「マズイな・・長引くと客に被害が…」
盾にした机の影で奴が呟く
そんな事解りきってる
「大佐、発火布は?」
「アフター5にそんなモノ持ってくるわけ無かろう」
「役立たず」
「なっ・・」
呟いて机の影から飛び出る
ボーイに紛争していた男は5人
ボスは射撃の下手な男
あれを押さえればいい
「アズサ中佐!!」
「役立たずは大人しくしててくださいっ!!」
まっすぐ標的に向かって走る
テーブルクロスを引っつかみ、狙いをハズさせる
一度だけ両手を合わせ、クロスを持ったままその手を両端に向けて広げる
紅の光が走り、クロスが両端にいる男達へと向けて飛ぶ
空気圧を使ってボスを押さえる間の目くらまし
焦ったボスの銃の乱射は絶対にあたる事は無い
テーブルの合間を駆けぬけながら一度だけ姿勢を落とし、動揺した男の懐へと入り込む
「ヘタクソ」
囁くように呟いて、腹に触れるか触れないかの位置で手を止め、収束させた圧をかける
ドン、と鈍い音がして男は目を見開くと次の瞬間には昏倒していた
同じ頃、右の壁では低いうめき声が聞こえていた
きっと大佐が動いたのだろう
そう思って左に注意を向けた時だった
目くらましだけで止めておいた男達の銃口が奴を狙っていた
一発目の銃弾が油断していた大佐の二の腕を抉る
「っ…!?」
「…あの無能っ…」
呟くと同時に忍ばせたクナイに手が伸びていた
両手に触れ
投げたクナイに圧をかけて速度を速め
男達の手首を射抜く
そしてそれと同時ぐらいに、憲兵隊と軍の人間がながれこんできたのだった…
「……よくそれで生きて来れたわね…」
制圧を確認した私は奴に近づいて言った
床に落ちているテーブルクロスを千切り、肩口近くで結ぶ
「どうして私を助けた?」
それまで無言だった奴が勝ち誇ったように聞いた
「自惚れないで下さい…大佐がそうとう無能だという事が解ったので助けたまでです」
「答えになってないな」
「…言わなきゃ解りませんか・・?私以外の奴に獲物は渡しません…・・だから、私以外の手にかかって死ぬなんて許さない」
言うと奴は声を出して笑った
「アズサ中佐、知ってるかね?憎悪と愛は紙一重だという事を…」
「一生言ってて下さい。今日はとんだ日でしたね。失礼します」
一度だけ敬礼して奴の元を離れる
入れ違いにホークアイ中尉と会った
大佐は無事だと告げると一度だけ敬礼して中に入っていった
明日からは私がアレの命を狙うのだ
今日は
ただの警告
無能な上司を装う
残虐な男への
―警告―