†Puzzlement†
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「っ…ツイネ婆!!」
里の落ち場所にいたのはごく僅か
「…これだけ‥?他は…?」
「安心せぃ。若いのの大半はケイヤ達と任務じゃ‥ただ、やはり何人かは…」
「…‥」
分かっていた事だ
全員を救えないこと
「里はまた、建て直せば良い。みなが無事ならなんとでもなろう」
「うん‥」
少しでも守れたならいい
私は無力ではない
「…‥ツイネ婆…‥…大佐は‥?」
そうだ
いない
奴の姿がない
「…婆!怪我人の手当と、戦える者を編成して周囲の警戒を!里に戻るっ…」
「アズサ」
やんわりとした声が駆け出そうとした足を止める
「なに‥?」
「お前が手を下さなくてもほおっておけば死ぬんだよ」
分かっている
ツイネ婆の口から聞きたくなかった言葉
「お前は悪くないよ、アズサ。あの男の運が悪かったのさ」
「ツイネ婆‥私の悪いクセ…知ってる‥?」
振り返らない
振り向けない
「敵から目を反らすこと……ハヤテには‥ずっと…注意されてて…‥今日、やっと気付いた」
何度言われただろうか
目を見開いたまま
何を捉えていたのか
「嫌な事言わせてごめん。ありがとう…‥行ってきます‥」
里が燃えている
記憶の残骸が、一瞬だけ、あの日の私の姿をそこに映した
幼く
力を扱うことも出来ず
崩壊した家に取り残された場違いな包丁をにぎりしめ
軍服を纏った男に突き付ける
あぁ‥今思えば…
憔悴しきった顔には
狼狽と困惑と…
「大佐っ!大佐ぁっ!!」
煙で何も見えない
この辺りのはずなのに
「…けほっ‥アズサ中佐…?」
「大佐!」
安堵の息がもれる
「私の事など忘れてたのかと思ったよ」
正直忘れてたけど、まさか言う訳にもいくまい
「‥大佐、里が襲われました」
「そのようだな」
「…‥この混乱に上じて、大陸へ帰って下さい。今なら逃げられます。」
「何を言っているんだ」
そう言いながらも、もう答えを知ってる顔で彼は言った
だから
「許す訳じゃない」
許す訳はない
「それだけは覚えておいて下さい」
奴が小さく笑った
「解ってるさ」
メキメキと音を立てて燃える小屋
「行きましょう」
彼の縄を解いて出口へ導く
「入るのには面倒な里ですが、出るにはたやすい道です」
「アズサ中佐‥一緒に来てはくれないのか?」
からかってるのかと思えば、真剣な顔
その瞳に戸惑う自分が映っているのが滑稽だ
「行けません。成すべき事がありますから‥」
それに
まだ
「貴方への気持ちの整理もつかないままですし」
殺す事は出来ない
憎みつづける事も
ハヤテが刻んだ答えが
自分を見直す機会を与えてくれたから
「早く行って!まだ里は安全じゃない」
「アズサ」
突然名前で呼ばれて
「‥帰ってきてくれ…待っているから」
強く抱きしめられて
問い掛ける間もなくすぐに体を離すと、彼は里を出る道を駆け出して行った
その背を少し見送って、火をあげる里に戻る
体はさっきの熱に戸惑って少し震えるけど
レンヤとケイヤが戻るまでの間、自分のすべき事をする為に…
今は全てを忘れることにした
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メモ:2008/12/21 再始動