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あたしは
あの男を殺す為に存在してた
母を
父を
兄を
武器を手にした兄弟たちを殺した
『軍の狗』
言い方は悪いけど
その他大勢はどうでもいい
言ってたらキリが無い
だから
あたしの家族を殺したあの男を殺せれば
それでいい
その男は焔を扱い
人懐っこそうな顔つきとは裏腹な
残虐な男
そいつの名は
ロイ・マスタング
東方司令部の大佐
焔の錬金術師
あたしの
上司になる男
「大佐」
「あぁ…来たか」
東方司令部 ロイ・マスタングの執務室
その忠臣たるリザ・ホークアイが一歩だけ入室して上官を呼んだ
一方呼ばれた方は珍しく机の上で手を組んでいた
いつもなら
書類の整理に終われている彼である
「入りたまえ」
そうして入室したのは
黒髪紅眼の女
少女というには不似合いで
女性と呼ぶにはまだ未熟
何かに熱を込めた
紅の瞳
第一印象は
【危険】
触れれば切れそうな
白銀の刃
「失礼します」
一瞬見ほれていたロイは
彼女の敬礼で我に返った
「そこにかけなさい」
指し示した先には一人用の黒いソファー
女は素直にそこへ腰掛けた
「足を組んでも?」
初めて会う上官の前で普通は言わないセリフに
ロイは一瞬たじろいだ
ホークアイがいたなら間違いなく正されるであろう
しかし
ホークアイは彼女の入室と共に退室している
彼女の仕事は案内役だからだ
「君がそのスカート丈を気にしないのであれば好きにするといい」
ロイは苦笑して言った
軍の制服はパンツタイプとスカートタイプとわかれている
女の場合は後者だった
「では、失礼」
「君は度胸があるな…」
ロイは一言そう呟くと手もとの書類に目をやった
「アズサ・ミカサギ…21歳…君は東洋人か…?」
「いいえ。師匠に改名を」
「そうか」
生い立ちを深く追求する必要も無い
そうふんでロイは再び書類に目を通した
「大佐」
「何かね」
「大佐を殺しに来ました」
「物騒だね」
それだけ言って顔をあげると
目の前には東の島国特有のナイフ『クナイ』が目に入る
「私はイシュヴァール人です」
「にしては肌の色にその特徴が見えないな」
目の前のクナイに脅えた風もなくロイがいった
「私、アルビノなんです。髪は染めました」
「私を殺すためだけに?」
「えぇ…東の国の師匠に教えを請いました」
「おもしろい」
言ってロイは手首を手套で叩いた
クナイを握った手が緩みそれを落とす
「刃を向けるなら本気で向けたまえ」
不敵に笑うロイ
「…それは・・挑発ととってもよろしいですか…?」
「あぁ…就任を歓迎しよう。暁の錬金術師、アズサ中佐…」
「ありがとうございます…マスタング大佐」
敬礼をして踵を返す
「ところでアズサ中佐」
ふいに声をかけられ身体ごと振り向く
「はい」
「今晩暇かね?」
「…特に用はありませんが」
「食事でも一緒にどうだね?」
私は一瞬言葉を無くした
自分を殺しに来た女を普通食事に誘うか?
それでも私は平静を装って言った
「大佐のご命令とあらばご一緒致します」
「では決まりだ」
「…職権乱用…」
「何とでも言い給え」
にこやかに笑ったその顔があまりにも憎らしい
返事の変わりにクナイを机の上に投げつける
「今日は遠慮しておきますが…明日からは遠慮無く狙わせていただきます」
そう言葉に乗せても、彼は静かに笑っただけだった…